AmazonをSWOT分析すると、不確実な中で判断する難しさと有用性が見えてくる

ネットビジネスの巨人AmazonとSWOT分析の有用性

Amazonは、誰もが知る世界一のオンライン小売業者です。
Amazonは、当初オンライン書店から事業を始めましたが、物理的な商品であればなんでもネットショップで取り扱うことを目指していることから、「エブリディ・ロープライス」という価格戦略で世界的に展開している小売業最大手のウォルマートと比較されることがあります。

企業概要 地球上で最もお客様を大切にする企業を目指しています

しかし、Amazonは、オンラインショッピングまたはEコマースといった、情報通信技術の急速な進展による市場機会をいち早く見出し、インターネット時代に最適なサプライチェーンを構築することに成功した点で大きく異なります。
さらに、小売業以外への進出も目覚ましく、AWS(アマゾン・ウェブ・サービス)といったクラウド事業など、時代の先を見据えたイノベーションを次々と展開しています。

そんなネットビジネスの超優良児であるamazonを、今回はSWOT分してみたいと思います。
SWOT分析をすることで、どんな巨人にも弱点や脅威が潜んでいることがわかるはずです。

経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。

SWOT分析とは

SWOT分析とは、組織が有する「内部環境」と組織を取り巻く「外部環境」という2つの側面から現状を把握し、今後の戦略方針や改善策などを立案するために行う診断手法です。SWOT分析は組織の診断だけでなく、個人の診断手法としても広く活用されており、業種や業態を問わず幅広い分野に対応できる診断手法でもあります。

さらに内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」という枠組みに分け、この4つのフレームワークに焦点を当てて分析していきます。

SWOT分析の「SWOT」とは、4つの軸となる「強み(STRENGTHS)」「弱み(WEAKNESSES)」「機会(OPPORTUNITIES)」「脅威(THREATS)」それぞれの頭文字からきており、「SWOT分析」の読み方は「スウォット分析」と読みます。

SWOT分析(-ぶんせき、SWOT analysis)とは、目標を達成するために意思決定を必要としている組織や個人のプロジェクトやベンチャービジネスなどにおいて、外部環境や内部環境を強み (Strengths)、弱み (Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威 (Threats) の4つのカテゴリーで要因分析し、事業環境変化に対応した経営資源の最適活用を図る経営戦略策定方法の一つである。組織や個人の内外の市場環境を監視、分析している。 フォーチュン500のデータを用いて1960年代から70年代にスタンフォード大学で研究プロジェクトを導いた、アルバート・ハンフリー(英語版)により構築された。
Wikipedia SWOT分析

詳しくは過去記事があるので、そちらを参考にしてください。
SWOT分析とは何か?分析のやり方を簡単な例を使って解説しました。

それでは、AmazonのSWOT分析をのぞいてみましょう。

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Amazonの強み

オンラインショッピングやEコマースといったITへの先行投資による参入障壁の構築がAmazonの最大の強みです。

Amazonは設立から10年間ほどは、IT投資が先行していたため赤字が続いていましたが、そのような大規模投資は、ライバル企業の参入をためらわせることになり、結果としてAmazonと同規模のライバルの出現を妨げるのに成功しました。

そんな、IT投資の結果、利用者の利便性は格段に飛躍することとなり、ライバル企業との差別化に大きく貢献することになりました。
例えば、購入履歴からのレコメンドサービスや、購入者によるコメント投稿といった評価のしくみ、決済のしやすさの追求といったことが、利用者のオンラインショッピングの楽しさにつながり、リピーターの増大と定着に貢献することになったのです。

また、人件費を究極まで削減するために在庫管理にロボットを活用するなどの、物流のしくみもAmazonの強みの一つと言えるでしょう。

Amazonの弱み

Amazonの無料配送と配達日指定の仕組みは、ロジスティクスにおいて物流業者への圧力となっているため、近年、物流業者とのパートナー関係を維持できないケースが出てきています。

オンライン・ビジネスなので固定費が低く抑えることができるといえども、あくまでも小売業なので、成長が止まりライバルが出現したときに、利幅の薄さが足かせになる可能性は否定できません。

Amazonにとっての市場機会

オンラインショッピング市場が、今後もグローバルに成長することが見込めていることから、規模の成長が見込めるでしょう。
また、規模の経済で効率的に利益を拡大することで投資のための原資を得ることができるので、新しい市場への参入やイノベーションへの投資が可能となります。

同様に、Kindle や Amazon echo にとどまらず、今後もAmazonブランドの商品が開発されることが予想されます。
クラウド・サービスを展開するにとどまらず、アプリケーション・サービスに進出することも可能です。
このように、ブランド名を活用した横展開が可能であることは、経営基盤の更なる安定とキャッシュフローの成長の可能性を示唆しています。

Amazonにとっての脅威

Amazonに限りませんが、なんといってもオンライン小売業者にとっての脅威は、セキュリティに関することでしょう。
たとえば、ハッキングによる個人情報の流出や、クレジットカードの不正利用といったことが一度でも発生すると、企業価値の評価が一気に下がるだけでなく、ファンが離れていくことになります。

また、価格政策が行き過ぎると、パートナーとの軋轢が増し悪評が立つことで、今後のビジネス展開の障壁になる可能性があります。

大成功したベンチャー企業ということから、創業者の個人的な評判が企業の評判につながる可能性もあります。
あまりに成功しすぎたために独占禁止法に抵触してしまう可能性があります。特に地域の書店といった零細企業の保護政策をとる国では、常にリスクが付きまとうでしょう。

特に近年のGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazonなどの世界的な巨大プラットフォーマーのこと)に対する各国の政策は大きな脅威です。

amazonのSWOT分析まとめ

amazonをSWOT分析すると、不確実な中で判断する難しさと有用性が見えてきます。
10数年前までは、amazonは赤字から抜け出せないことが最大の弱みと脅威とされてきましたが、近年では赤字の懸念は払しょくされ、むしろ、これまでの積極投資が参入障壁を構築したと「強み」の源泉として真逆の評価がされていますし、クラウド事業への展開による利益率向上も高く評価されています。

逆に、あまりにも成功しすぎたことや、強くなりすぎたことによって、パートナの離反や各国の締め付けを招いていることが、脅威となってきました。これらの脅威は、不確実性が生んだ新しい脅威と言えるでしょう。
どうでしたか?
AmazonをSWOT分析すると、不確実な中で判断する難しさと有用性が見えてくると思います。

お役に立てたらうれしいです。

参考図書



経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。

著者情報

工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。

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