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禅問答か!とにかく難しいSWOT分析に文句を言いたい!

      2018/12/20

SWOT分析は、とにかく難しいんです

今回は、SWOT分析とは何かという話は割愛して、いきなり本題からはいりたいと思います。

そう。SWOT分析が難しすぎるという、お話です!

SWOT分析とは自社の強みと弱み、そして機会と脅威を洗い出して、今後の自社のとるべき戦略や方針を考えるためのビジネスフレームワークですが、とにかく難しいといったらこの上ありません!

では、私が何がそんなに難しいと言っているのかを、説明したいと思います。
走り書きで、読みにくいかもしれませんが、勘弁してください。

SWOT分析は、相手がいてなんぼなんですよ!

そもそも、「強さ」や「弱さ」は、何かと比較してはじめて評価できることなので、比較相手が必要なんです。
当たり前ですよね。
「A君はB君より強い」というのは、A君とB君がいて初めて評価できることなんです。
この世にA君しかいなかったら、強いかどうか判断できないし、そもそも強いという概念が存在しません。

だからSWOT分析をするためには、まず戦う相手を決めないと強いかどうか判断できないのです。
結構、SWOT分析がフニャフニャしている人たちって、この辺が中途半端なんです。
中には、比較相手を全く考えていないで分析をはじめる人もいますし、考えていたとしても、なんとなく業界の競争相手の名前を挙げていて、詳しく聞いてみると「ここの強みはY社に対して、ここの弱みはX社と比べて」といった具合で、都合にいいように並べているだけのような感じです。

私は聞きたいのです。
「で、SWOT分析の結果、誰に勝てる戦略を立てようとしているのですか?!」
と。

比較相手を決めるのも難しい

SWOT分析は、比較相手がいてなんぼだというのは、わかりました。
では、多くの方がやっているように、一般的な業界全体(複数のライバル群)を対象にしてみては、いかがでしょうか?

いろいろなケースを見てきましたが、どうやら、多くの人が、このような業界内での自社の「強さ」や「弱さ」を分析しているようなのですが、この漠然とした業界というものを比較対象にすると、SWOT分析はかなり難しいものになってしまいます。
自社が首位独走の場合だったら問題ないかもしれませんが、もし2位、3位だった場合、誰と比べるのでしょうか?
もしかすると、1位と比較すべきかもしれません。しかし、1位とだけ比較していたら、自分より下の順位の子たちの努力を無視してしまい、結果的に追い抜かれてしまうかもしれません。

このようなケースは、実は、ビジネス界では非常に多く発生しています。
レコード針のナガオカの事業縮小、日産、コダックの経営破綻、コンパックの倒産、旺文社の地図事業縮小などなど。
数多くの事例がそれを示しています。

業界の中だけで強いかどうかを判断するだけではだめなんです。
しかし、業界の外と比較するなんて、あまりにも対象が広すぎて探しているだけで、分析だけで明け暮れてチャンスを逃してしまいます。

このように、SWOT分析で比較対象企業を決めるのはとても難しく、時として命取りになってしまうのです。
そもそも、誰に勝ちたいと思ってSWOT分析を始めたのか?
SWOT分析は仮想敵を見据えてから始めないと、フニャフニャ分析になってしまいますよ。

比較の基準を決めるのも難しい

「強い」「弱い」って、漠然としすぎていると思いませんか?
何をもって強いといえるのでしょうか?
結果で判断すべきなのでしょうか?プロセスで判断すべきなのでしょうか?

たとえば運動会で100m走があったとします。この場合、

「A君は、10秒。B君は9秒。だからB君のほうが速い。」

となるわけですが、ではA君は「強い」のでしょうか?

速さは結果でしかありません。
もしかしたら、昨年、A君はB君に負けた悔しさのため、毎日放課後に練習を重ねてきたのかもしれません。
そうしたら、本当の強さは、A君のたゆまぬ努力を重ねる継続力だったのかもしれません。
すこしゲーム理論の要素も入ってきますが、一度きり、またはスナップショットでみた「結果」というのは、強さの一側面だけしかとらえていないのかもしれません。

ビジネス上の「強み」に関して言うと、売上やシェアは結果であり強さの基準にはなりえないと思います。
シェアなんて間違いやすい要素の代表格です。
シェアが高いのは強みではなく、ただの結果にすぎません。シェアが高いことで規模の経済が働きやすくなるといったように、ライバルに勝つ要素になっているのなら別ですが、逆にシェアが低いのが強みになって、業界のしがらみに縛られない画期的な戦略を実施できることだってあるのです。

では、ビジネス上で何をもって強みと判断するのかというと、競争という概念から考えると、私は「継続的にライバルに対して効果が見込めると考えている自分の得意技」ではないかと思っています。
そういう意味では、強みの基準は、技の成功率でしょう。それが品質なのか、営業力なのか、大量の販売促進なのかわかりませんが、お客様が購入を決定する要因(KBFといいます)の中で、ライバルにいつも勝てる技って何でしょうか?ライバルよりも上手にできて勝敗に直結する具体的な技って何でしょうか?

逆に言うと、「成功率の高い技」が「自分の強み」と判断できるとも思うのです。

つまり得意技がかかるかどうか、が基準であるべきだと考えているのです。

でも、自分の得意技って何か知っていますか?
いつもこの技なら相手に勝てると思っている技、効果があると自信がある技。
自分の得意技も知らないのにSWOT分析を始めるって、難しくないですか?

比較の仕方も難しい

得意技かどうかが強さの基準という話をしましたが、比較の仕方も難しいです。
前言を覆すように聞こえるかもしれませんが、厳密に言うと、自分の「得意技」と自社の「強さ」とは、直接的な関係はありません。
正しく言うと、不得意な技でも相手に効けば、それは「強み」となりえますし、得意で好きな技でもライバルに歯が立たなければ「強み」にならないということです。

要するに、相手次第ですよね?中小企業に効く得意技が、大企業に効かないケースなんてザラにあります。それを得意技というのでしょうか?強みというのでしょうか?誰に対してどんな技で勝負を仕掛けようとしているのか?によってSWOT分析の意義が変わってくるのです。
だから、めっちゃ難しいのです!

これまでは便宜上、「強さ」の話を中心にしてきましたが、「弱さ」についても同様です。
防御する意図があって、うまくいかないのであれば「弱み」ですが、防御する意図がなければ「弱み」にすらならなりえません。というか、それが弱みなのだと気づけないはずです。

また、「ある」か「ない」かも強みや弱みではないでしょう。
これらは、ただの事実であって、本来は、あるという事実(または、ないという事実)の影響や効果の大きさの比較によって強みや弱みは決まるはずです。

たとえば、リソース論なんか、SWOT分析でよくでてくる話です。
人的リソースがあることが強みになる場合とそうでない場合があるのですが、多くの人が、KBFの特定もせずに、単純に資格保有者の人数の比較で強いとか弱いというものだから、フニャフニャしたSWOT分析になってしまっています。
たとえば、その人しか持っていない特徴によって、ライバル企業から顧客を奪えるのであれば強みかもしれませんが、単純に人数が多いことが強みと直結するとは限らないということに、気づかなければならないのです。

ちょっと違う議論になりますが、強い・弱い議論と利益やキャッシュフローの議論がかみ合うとは限りません。
豊富な人的リソースのおかげでライバル企業に勝っても、人が多いことが高い販管費比率を生み出して利益を圧迫していることもあります。

このとき気を付けなければならないのは、キャッシュフローや利益を強み弱みの評価基準にしてはいけないということです。
人的リソースがライバル企業に勝つ要素なのであれば、それは「強み」なのです。
利益やキャッシュフローは強さ・弱さとは無関係なのですから、利益が出ないからと言って弱みだと判断するのは、誤りです。
あくまでも結果でしかないのです。強弱の判断と結果は、分けて考えなければなりません。

長くなってしまったので、この辺で終わりにしたいのですが、お金があることが強みになる場合とそうでない場合もあります。
資金面が、かならずしもライバル企業に勝てる要素になっているとは限りません。
たとえばプロモーションに投資できるだけの資金があることが強みになる可能性もありますが、キャッシュのだぶつきは、投資家のM&Aの対象になりやすいし、うまく設備投資ができていないという評価にもつながり、予定外の戦略を立てる圧力が増し、足を引っ張る可能性もあります。
だから、必ずしも強さ・弱さの判断基準にはなるとは限りません。

商品も同様ですね。
商品在庫が多いことがいい場合と、そうでない場合もあります。一般的に、中古ビジネスの場合は、在庫の多さが強さの基準になりえますから、誰がどの企業と比較するかによって、比較基準も方法も変わってくるはずです。

おなじように、ビジネス・システムやビジネスモデルもそうです。
ある業界で優れたビジネスモデルと言われていても、ターゲット市場でうまく働かなければ強みになれません。見方によっては、業態変革や新規事業の足かせになる場合もあるものです。

いつの時点を想定して比較するのかも難しい

また、時間軸も問題です。
いったい、いつの時点の話をしているのか?

今までのSWOTの話(現状分析)をしているのであれば、将来の可能性や目論見を除外して考えなければいけません。
ところどころに、先読みをした結果を入れていては、正しい現状分析ができないものです。間違った判断にならないように、時間軸をそろえた分析が必須となります。

しかし、分析というのは今後の戦略立案や意思決定のためにあるものです。

自社の強みがいつまでも強みのままであるはずはありませんし、当然ライバルも同様です。
であれば、ライバルの強みを弱みにするために、時間軸にそって自社の戦略を考えることが重要となるはずです。
だから、SWOT分析が戦略ツールである限りにおいて、将来の話を抜きには語れないはずです。

そうすると、現状分析ののちに先読みが必要になってきて、「たられば」の世界になっていきます。

それこそモノの見方や先見性、主体性、意図性が必要な世界であり、主観が働かなければならない世界なのです。
要するに深く考え抜けば考え抜くほど、分析者の個人の主観に頼らざるを得ないのですが、そうすると、普遍性を失い、客観性が失われてしまいます。
しかし、一般的に、分析と意思決定には客観性が重要であることも間違いではなく、むしろ客観性がないとステークホルダーの説得も難しくなってくるものですが、かといって、主観的な発想がないと、優れたビジネスアイデアは生まれにくいのも事実です。

「主観的な分析を捨てつつ、主観的なアイデアをひらめかなければならない。」

なんて、これは禅問答ですか?

SWOT分析のまとまらないまとめ

今回は、SWOT分析の「強み」を中心にSWOT分析の難しさについてお話してきましたが、もちろん、「弱み」「機会」「脅威」もおなじように難しいです。

比較対象の企業にとっても、分析対象の企業と同様に機会ととらえられるのか、脅威となるのかは、分析者の主観によるものです。
基本的に、機会と脅威はコントロール可能な外部要因かどうかで分類されますが、企業によっては、コントロールできる可能性が異なるものです。
スイッチングコストが高い事業をしている企業が、顧客と密接な関係を築いている場合では、シェアが高ければコントロールできる可能性は高くなるので、機会にも脅威にもならなず、強みや弱みに分類されるかもしれませんが、中小企業や新規参入の企業などであればコントロールできないので、機会や脅威に分類されてしまいます。

このように誰と比較するのか、いつの話をしているのかによって、機会なのか、脅威なのか、強みなのか、弱みなのか、が変わってしまうのです。

以下、これまで述べてきたSWOT分析の注意点をまとめます。

  • 比較する「相手」を自分の意思を持って決める
  • 比較する「基準」を自分の意思を持って決める
  • 比較する「方法」を自分の意思を持って決める
  • 比較する「対象」を自分の意思をもって決める
  • 比較する「時期」を自分の意思を持って決める
  • 比較する「目的」を自分の意思を持って決める

このSWOTの本質がわかっていないと、SWOT分析はただのお絵かきになってしまうのです。
ネットや文献などを見ても、ここまで書いていないと思います。

ちなみに、ここで挙げたことは、SWOT分析に限らず、ほとんどすべてのビジネス・フレームワークに同じことが言えますが、SWOT分析は特にこの傾向が強いので書かせてもらいました。

お役に立てたでしょうか?今回は、あまりならなかったかな?

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