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SWOT分析の「強み」と「弱み」の分析の進め方を説明してみました。

      2018/12/20

マーケティングの第一歩は自社の強みと弱みを正しく分析すること

マーケティング戦略立案の第一歩は、自社の強みと弱みを正しく理解することです。
自社のことを客観的に把握する必要がありますが、客観的に見るのって、非常に難しいことなんですよね。
今回は、この方法について確認してみたいと思います。

SWOT分析とは何ですか?

ビジネスで用いられる代表的なフレームワークにSWOT分析があります。
これは自社の特徴をStrength(強み)、Weakness(弱み)、Opportunity(機会)、Threat(脅威)の4つに分類し、各々をさらに細かく分析していくことで、自社にとっての理想的な戦略を導き出すフレームワークです。

自社の内面的な部分を長所と短所に分類するのが強みと弱み、外部的な要素による長所と短所が機会と脅威、として考えるとわかりやすいかもしれません。
SWOT分析で、それぞれの要素を正確に把握することができないことが、自社の戦略構築の妨げとなるケースが非常に多いのですが、では、どのようなことに気をつければ、自社の分析を正しく実行することができるようになるのでしょうか。

勝ちパターンやKFSを意識する

自社の強みや弱みと言っても様々なものが考えられます。
まず第一に、自社がライバル企業に勝てる「勝ちパターン」があるのか、または自社独自の技術などがKSF(重要成功要因)であるかどうかといったことを考えなければなりません。

つまり、自社が考えている「強み」がビジネスにおいて他社と差別化できるものであり、成功要因であるかどうかということです。
強みや弱みを思いつく限り列挙していくことを推奨するビジネス書も見受けられますが、事業にとって関係のない要素を検討しても自社がビジネスで成功するための方針は見つけられません。

あくまでも、SWOT分析は戦略を構築するための手段であり、重要度の高い要素や事業の中心となる事象についての要素を引き出すことが自社のビジネス戦略においてより有効な解決策を導き出すことができる手段です。
プライオリティを明確にし、重要度の高いことから優先して取り掛かることが企業の経営にとって必要不可欠なのです。
勝ちパターンや明確なKSFがあるのであれば、間違いなく自社の優先度の高い要素と言えますので、これを意識することが正確な分析をおこなう上で重要な目安となるはずです。
問題は、明確な勝ちパターンやKSFを見いだせないときです。

他社と比較し、相対的に判断する

強みと弱みを分析するのに陥りがちな問題点として、主観的に判断してしまうということが挙げられます。(実は、主観的に判断することは重要なことなのですが、ここでは混乱するので説明は割愛します。一般論として客観性が重要だという程度で理解しておいてください。)

強みや弱みとは他社と比較し、客観的に判断されなければなりません。
同業他社と同様の条件で比較し、その要素が水準よりも高いか低いかという視点で判断されなければ、本来は強化しなければならない要素を強みと判断してしまうことになりかねません。
そうでなければ、的確な戦略は立てられるはずもありません。

さらに言えば、他社との比較については自社のライバルになるような企業でなければ意味がありません。
取り扱う製品やサービスが共通しており、企業規模も同等程度の企業と要素を比較していき、さらにそれを業界の水準と比較することで正確な分析をおこなうことができるようになるでしょう。

比較対象を決定する

ここで判断しなければならないのが、自社と比較するライバル企業の設定です。基本的に、比較対象を設定するのに目安とするのはマーケットが共通しており直接の競合となる企業です。

たとえば、自社がトップクラスの企業ならば市場で2番手のチャレンジャー企業、自社が3番手の企業であれば2番手、4番手の企業などが比較対象企業の目安となるでしょう。

業界内でニッチな企業である場合には同様な特色を持った企業を比較対象にする方法もあるでしょう。ただし、どんな企業も自社の市場のリーダー企業の動向や特色は把握しておくべきでしょう。
市場はリーダー企業の動向によって大きく左右されることが少なくありません。
またリーダー企業との違いがその企業にとっての大きなメリット・デメリットとなることが考えられるからです。

しかし、あまりにも同業他社に絞り込みすぎると、いつの間にか別の業界から新規参入者が現れ顧客をさらわれることとなってしまったり、いままで相手にしていなかった弱小企業がテクノロジーを武器に強大な敵として立ちふさがることもあるので、定期的にPEST分析をするなど広い視点での分析も必要です。

比較対象を決定するのは、SWOT分析の品質を左右するので、慎重に検討しましょう。

「ティッピング・ポイント」を認識する

SWOT分析では、自社の強みや弱みを省みることが、分析の中心になりますが、では、具体的に自社の強みや弱みとはどのようにして判断するのでしょうか。

先ほどは、勝ちパターンやKSFを意識すると述べましたが、それだけでは判断できません。強さや弱さを比較する対象が必要になるはずです。
例えば、自社の強みという側面を考えてみたとき、そこには競合他社などの比較対象が存在するはずです。
比較対象である他社と共通の事項を比べた際に優勢である場合に自社の強み、劣勢である場合に弱みとなります。

このような相対的な判断による強みとあわせて、客観的に見た際に、強みと言えるのに十分な根拠とクオリティを備えているかも重要です。
例えば、自社の強みが競合他社よりも優れていたとしても、業界の水準よりも遥かに劣っていた場合、それは強みではなくむしろ弱みと言えるでしょう。

このように、強み弱みを判断する際に基準を考えるとき有効なのが、閾値やティッピングポイントです。
閾値とは物事の境界線であり、この水準を超えられるか否かで物事の効果が得られるかゼロになってしまうかが決まってしまう基準値です。
ティッピング・ポイントも似たような意味ですが、小さなことの積み重ねが、ある時期を超えると急激に成長する点のことを言います。

ティッピング・ポイントの有名な例が、マルコム・グラッドウェルが示した「ハッシュパピー」の大流行の例ですが、小さな評判の積み重ねが、ある時点で爆発的な流行を生み出すことがあるように、自社の技術や品質向上の積み重ねが、ある時点で、他社を圧倒する「強み」になる場合があります。

このように、閾値やティッピング・ポイントという考え方が大切なのですが、残念ながらこのティッピング・ポイントは目で見て明確に判断することができません。
逆に言うと、自社の技術や品質などの要素レベルを何らかの定量的に把握しておいて、累積値を経験則などで設定することによって、閾値を設定することはできるかもしれません。

しかし、どの程度に設定されているかの判断は、自社の要素レベルに対する自信にゆだねられているとも言えます。
いずれにしろ、感覚的であれ、閾値やティッピング・ポイントの存在を意識して自社のことを考えることで、SWOT分析の結果の品質は大きく変わってくるのです。

強みと弱みの強化について考える

SWOT分析の品質という視点で考えた時、弱みと強みの強化のバランスを考えることも大切です。

一般的に、自社の改善点を洗い出し、とにかく弱みを補強しようという企業が多数ですが、弱みの補強にばかり目を向けるのは考えものです。
そもそも企業が市場において競争できているのは、弱点によるものではなく、強みによるものであることがほとんどでしょう。

そこで、大切なのは弱みばかりに目を向けることではなく、上述のKFS(重要成功要因)がどれほど自社に優位に働いており、ライバルと競争できているかを知ることです。
したがって弱点の補強よりも優先すべきは、とにかく自社のコア・コンピタンス(自社特有の核となる強み)に磨きをかけ、強みを一層強化していくことです。

しかし企業の多くは、「強みの一層の強化」よりも「弱点の補強」を最優先の課題として取り組み、結果として強みの一層の強化には手を付けられていないというのが現状です。

そして、弱みの補強は成果として現れることがほとんどありません。
それに引き換え、割かれる時間やコストが大きくなってしまい企業としての生産性も落ちてしまいます。
弱点の強化という考えにとらわれすぎず、自社のコア・コンピタンスをしっかり見つめなおし、さらなる強化を図ることのほうが競争力を高め、企業を成長させていく上ではより効率的なのです。

仮に弱点により競争ができない状況に追い込まれてしまうとすれば、事業計画やビジネスモデルに無理があったとあきらめるしかないでしょう。
それでも弱点を早急に対応せざるを得ない状況に追い込まれた場合には、まず以下の4つを確認してみてください。

  • その弱みは本当に補強が可能であるのか
  • 弱みを補強するコストは、見返りとして得られるメリットよりも小さいか
  • 弱みを解決する優先度は正しいか、利益は最大化できるか
  • 強みを一層強化するよりも利益は大きいか

これら4つのポイントで優先順位を整理してみると本当にその弱みが企業にとってプライオリティの高い案件か否かをもう一度検討しなおすことができます。企業にとってリスクを抱えることが最大の恐怖という認識が根強くなる中、本当に必要なものは何かをしっかりと考えることは企業が生き残るうえで非常に大切なことなのです。

コア・コンピタンスを活かした経営

自社の強みの中でもコア・コンピタンスについて考えてみましょう。コア・コンピタンスとは、「他社にない強み」であり、「自社の核となる強み」です。この強みを活かした経営を「コア・コンピタンス経営」と呼びます。

コア・コンピタンス経営の例を挙げると、松下電器産業(現パナソニック)のネットワークによる加盟店舗数拡大などがあります。一時は5万店にもおよんだ家電系列店数は他社の追随を許さない圧倒的なネットワークであり、松下電器産業の経営上の強みでした。これはまさにコア・コンピタンスの典型と言えます。

しかし、コア・コンピタンスは時代とともにその強みが薄れていくこともあります。現に前出の松下電器産業も、圧倒的な勢力を誇っていましたが、家電量販店の台頭などもあり、加盟店数による圧倒的なネットワーク戦略はコア・コンピタンスとは言えなくなりました。

時代とともにコア・コンピタンスを見なおし、場合によってはコア・コンピタンスをシフトしていくことも企業が競争に勝ち残る手段となりうるでしょう。

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