【入門編】PEST分析とは何か?要するに世の中の動きを知り洞察すること。

PEST分析その前に。ビジネスフレームワークとは?

PEST分析の進め方に興味をもってアクセスされた方には申し訳ないのですが、事業分析や経営戦略の立案に対してあまり経験がない方には、PEST分析の解説に入る前に、そもそも事業分析に使うビジネスフレームワークとは何かといったことを説明しておく必要があると思います。

ビジネスフレームワークとは、情報収集や情報整理にとどまらず、様々な分析を使って「事業構想や経営戦略、マーケティングやイノベーションの施策といった具体的なアクションのために有効なアイデアを導き出すために有益な示唆を導き出す」ためのビジネスツールのことです。
少々わかりにくい表現かもしれませんが、要するに具体的なアクションを考えるための思考ツールと思っていただければ、大きくそれていないと思います。

そういったビジネス・フレームワークの存在意義や概念を踏まえたうえで、PEST分析や3C分析、SWOT分析などのフレームワークは、実務の現場で繰り返し使いながら「どういう視点が必要なのか」「深めるべきポイントはどこなのか」といった思考を巡らし、習熟を重ねる必要がありますが、フレームワークを使用するとき、陥りがちなのが単なる穴埋め問題にしてしまうことです。
最終的な分析のゴールを意識しないで作業を進めていたとすると、単なる情報収集で満足してしまい有益な示唆を導き出すことができないことになってしまう場合だってあります。情報収集し、その情報を整理士思考を巡らせて、その情報を自分の必要な方向性と照らし合わせて解釈し、最終的に示唆を得るという道筋が基本なのですが、実務経験を豊富に積んできた経営コンサルタントですら、ふと目的を見失ってしまうこともよくあることなのです。

経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。

PEST分析とは?マクロ環境分析のフレームワーク

ビジネス・フレームワークの概要説明が終わったので、今回のテーマであるPEST分析の解説に行きたいと思います。
PEST分析は「ペスト分析」と読み、主にマクロ環境を分析するためのフレームワークのことです。マクロ環境とは、自社でコントロールできないほど「大きな」流れをくむ環境、つまり大多数のステークホルダーが関与している環境であったり、大きな力が働く環境を分析するツールということです。

外部環境においては様々な多種多様の要素がありますが、PEST分析で取り扱うのは、市場に影響を与える外部環境として、4つの外部環境要素にフォーカスして分析を勧めます。それらは、政治的要因(Politics)、経済的要因(Economy)、社会的要因(Society)、技術的要因(Technology)の4つであり、それらの頭文字を取ってPESTと呼んでいるのです。
マクロ環境=世の中の流れをP、E、S、Tのそれぞれの要因ごとに分けて分析し、事業戦略やマーケティング上の機会と課題を見出すこと。それがPEST分析の目的なのです。

ちなみに、余談ですが、PESTの4つに「E: Enviromental factors(環境的要因)」「L: Legal factors(法律的要因)」を加え「PESTEL分析」と称されることもあります。しかし「環境的要因」はPESTの「S:社会的要因」に含め、法律的要因は「P:政治的要因」に含むことが一般的です。

PEST分析とは?自社に及ぼす影響を見抜くこと

PEST分析で重要なことは、自社のブランディングやマーケティングに及ぼす影響を見抜くことです。
4つの要因について情報収集するにあたり気をつけることはそれぞれ以下の通りとなります。

  • 1. 政治的要因
    法律や条例、規制など行政レベルのルール変化について情報を集めます。政治的要因の変化によっては、市場競争の前提となる競争ルールそのもののが変化されることもあります。
  • 2. 経済的要因
    物価や為替動向などの経済動向変化に目を光らせる必要があります。生活者の支出動向や経済活動を無視してしまうと、気づかないうちに自社ブランドが陳腐化してしまっていたといったこともあるのです。
  • 3. 社会的要因
    生活者のライフスタイルの変容や意識・価値観の変化を捉えます。消費者の需要構造そのものが変化することで、自社の取るべき生産活動も影響されるはずです。
  • 4. 技術的要因
    商品開発技術や生産技術、マーケティング技術の変化についての情報が必要です。こちらも市場競争の前提となる競争ルールやKSF(重要成功要因)に大きな影響を及ぼすことがあります。

それぞれの要因について、情報収集の段階では精査は必要ありません。広い視野を持ち、より多くの情報を集めることが、正確な分析をしていくときに重要なポイントとなります。

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PEST分析とは?未来を予測すること

PEST分析だけに限りませんがとかくフレームワークを行うと、仕事をした気になりその段階で満足しがちです。情報収集は、その情報量が多く膨大なため時間もかかり大変です。
単純作業となりがちな情報収集と整理に没頭していると、いつの間にか作業をすること自体が目的になってしまいがちです。いわゆる「穴埋め問題」を解く作業にすり替わってしまいがちです。当然、穴埋め問題を解くだけでは、戦略は立てられません。せっかく集めた膨大な情報は、分析してこそ意味を持ちます。

このような問題を回避するためには、分析を始める前に分析の目的と進め方をしっかりと理解し、整合しておくことが何よりも重要です。すくなくとも、情報収集をどこまでやるのか?やるとすれば、どの程度やるのか?その基準はどのように設定するのか?といったことはあらかじめ決めておくようにしましょう。
また、PEST分析も慣れてくると、分析のスピードも品質も上がってくるものです。数をこなしていくうちに分析した結果を基として未来を予測するスピードも上がってくるでしょう。
途中で投げ出さず、あきらめずに活用するところまで頑張りましょう。

PEST分析とは?機会と課題を見極めること

PEST分析は、マーケティングの父と言われるノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院のフィリップ・コトラー教授が提唱したものです。世の中の動向を分析する手法として知られています。
ブランディングやマーケティングは世の中の動向や変化に影響を受けます。PEST分析では、マクロ環境を中長期的に分析し、どの変化が自社に大きく影響するのかを見極め、将来について予測していく道しるべを得るものとして用いられます。
コトラー教授は「調査をせずに市場参入を試みるのは、目が見えないのに市場参入をしようとするようなものだ」と述べています。

PEST分析により、機会(=ビジネスチャンス)と課題(=脅威やリスク)をいち早く発見し、強靭なマーケティング戦略を立てるのが、目的でありPEST分析を行う意味はそこにあります。
PEST分析の4つの要因のうちでも、技術的要因としては、ITやデジタルテクノロジーによりブランディングやマーケティングの手法が刻々と変化を遂げてきました。
テクノロジーの変化が競争ルールの土台を変えている状況が続いていますが、テクノロジーの変化は技術開発やイノベーションのみによって起こるのではありません。
背景には、技術以外のPESTの残りの3つの要素(政治、経済、社会)が複雑にしかも有機的に影響しあっているのです。深遠な相関を見抜き、ライバルよりも先を目指すためには、テクノロジーだけではなく幅広いマクロ環境の分析が必要なのです。

PEST分析まとめ

PEST分析は、マクロ環境を分析するビジネスフレームワークの一つでした。ビジネスフレームワークとは、事業分析や経営戦略の立案に資する分析ツールであり、PEST分析はそのうちの政治的側面、経済的側面、社会的側面、技術的側面にフォーカスした分析ツールでした。
事業分析や経営戦略の立案を経て、具体的なマーケティングやイノベーションの施策を立案する流れの中で、PEST分析で得ることができた示唆を生かすことが重要なポイントでした。
マクロ環境は常に変動を続けています。その変動をつかむことで商機を見つけ、ビジネスチャンスをつかむことは自社が流行に乗っていくための戦略を立てるということです。

簡単にまとめると以下のように言えるでしょう。

    • PEST分析とは?マクロ環境分析のフレームワーク
    • PEST分析とは?自社に及ぼす影響を見抜くこと
    • PEST分析とは?未来を予測すること
    • PEST分析とは?機会と課題を見極めること

いかがでしたでしょうか?今回は、PEST分析の入門編として、「世の中の動きを知り洞察する」PEST分析の概要について、ざっくり解説してみました。
お役に立てたでしょうか?

経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。

著者情報

工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。

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