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事例を使ってブランド戦略のためのPEST分析の考え方を説明しましょう

      2018/11/05

PEST分析の進め方の注意点

マクロ環境分析とは、外部環境要因の分析のことを指します。外部環境は自社ではコントロール出来ない要因であるため、リスクを回避するためにも、より精度の高い予測ができる分析を行う必要があります。その代表的な分析手法がPEST分析です。

リスクを回避するために過不足なく情報収集しなければならないとはいえ、実際にはPESTのフレームワークに沿って情報収集を行っていくと、いつの間にか「どんな情報」を「どこまでの範囲」で「どのレベルまで」収集し分析すべきかがわからなくなり、結果として際限なく情報収集のみに時間が取られることにもなりかねません。
また、自社に関係する情報を集めようとしていても、いつの間にか関係が薄い情報があふれてしまうこともよくある話です。自社ブランドを意識した情報の収集と分析を行わない限り、結果的に業界分析にとどまることとなり、自社がとるべきアクションの示唆出しまでたどり着けないこととなってしまいます。

そんな、気を付けないと底なし沼のようなPEST分析ですが、PEST分析を行うことは、あくまでも経営戦略の立案や事業分析のために示唆を得ることが目的ですから、目的を見失わないように進めることで効率的に進めることができるはずです。
特に、自社ブランドのポジショニングを意識した情報収集と分析を進める必要があるのです。

ということで、今回は、そんなPEST分析で情報の海に溺れないためにも、自社のブランドを中心としたPEST分析を進める方法について、いくつかの事例をもとに解説してみたいと思います。

PEST分析を始める前に、自社ブランドの提供価値を知る

「PEST分析」と「自社ブランド」の関係以前の問題として、そもそもブランドが提供している価値を正しく認識されているでしょうか?
ブランドとは、自社が提供する商品やサービスが保有する機能や役割を代弁する独自の無形のイメージであり、購入者の共感や感情移入を引き起こす「魅力」とも言い換えることができます。自社のブランド提供価値を知らずしてPEST分析を行ったところで、必要な情報の解析は行えません。
このように自社ブランドをどのように構築し、育て、活用してくのかといった「ブランディング」や「ブランド戦略」は、マーケティング活動に大きな影響を及ぼすものであり、無形の財産として大きな力を持っているのです。

では、そのブランドが提供する価値を理解したところで、「ブランディング」になぜPEST分析が必要なのでしょうか?それは、自社ブランドの位置づけをPEST分析が取り扱うマクロ環境と対比しながら理解することで、ブランド提供価値の棄損のリスクや維持の必要性、将来のブランド活用上の新たな機会など事前に察知できるようになるからです。

ブランドの存在意義を揺るがす「PESTの変化」を見抜く

ブランドの基本的な機能として、潜在顧客の持つ自社商品やサービスに対する「品質」「機能」「価格」のイメージを維持させる機能がありますが、マクロ環境の変化によって、それらのブランドの存在価値や存在意義を揺るがしかねない要因がPEST分析をすることで明らかとなってくることがあります。

たとえば、これまで常識と思われていたことが、数年たっただけで古めかしいイメージを持ってしまうこともよくあることでしょう。具体的なブランド名は述べませんが、たとえばスマホの出現によってガラケーが古いイメージを持ってしまったことなどがそれでしょう。

このように、PEST分析を行うことにより、これまで常識であったことが何かのきっかけで変わっていくことを察知することができるようになるはずです。PEST分析では、そのような変化を政治、経済、社会、技術の4つの大きな視点の変化の兆しを読み取り、その背景と理由を把握しようということなのです。当然、自社ブランドの活用方法についても重要な示唆が得られるはずなのです。
つまり、変化に伴いブランド戦略を適合させていくことで、リスク回避を図ることができるのです。

PEST分析を行う際の視点

ブランディングやブランド戦略という視点で分析を進め、自社ブランドの存在理由を揺るがしかねない変化に気付くためには、「ブランド提供価値に影響を与えうるPESTの要因とは何か?」という視点で情報収集をすることが必要です。

例えば、旅行業界を例に考えてみましょう。
旅行業界で最も有名なブランドといえばJTBではないでしょうか?
戦前からの国策会社であり、日本の国内旅行と海外旅行をけん引してきた、就職希望ランキングでも常に上位にいる超有名ブランドです。
JTBのイメージは、比較的価格は高めだけど、、旅前でも旅中でも丁寧な対応が期待できる品質の高さと安心感があり、社会的なステータスも高いイメージがあるのではないでしょうか?また、どちらかといえばテクノロジーに強いイメージはなく、じゃらんや楽天トラベルといったインターネットでの予約専門業者(OTAといいます)に後れを取っているイメージがあります。すこし重厚長大なため意思決定が遅く、これまので大量集客・大量送客は得意だが、柔軟でカスタマイズができる体験旅行には不得意なイメージがあります。

そんなJTBブランドを中心にPEST分析をしてみると、例えばこのようなことがいえるかもしれません。

  • 政治的な変化
    規制緩和によるインバウンド旅行の促進
  • 経済的な変化
    シェアリングエコノミーによる旅行業の個人事業化
  • 社会的な変化
    高齢者の社会貢献、若者の旅行離れ、団体旅行から体験型旅行への移行
  • 技術的な変化
    インターネットを使った海外の外部参入のリスク

こういった側面でJTBのブランドを見てみると、これまでのブランド価値がこれらの変化に対して、対応が出遅れている感じがしないでしょうか?もし、PEST分析で得られた情報が仮に正しかったとしたら、JTBは海外のOTAやシェアリング事業者に市場機会を奪われてしまうかもしれません。
そんなときJTBというブランドは変革を起こすべきなのかどうか、そしてブランドの変革を起こすのであれば、既存のブランドイメージを捨てるべきなのかどうか?それとも新しいブランドを構築すべきなのかどうか?そのとき既存のブランドとのすみわけはどうするのか?といった議論が必要となってくるはずです。

ブランド戦略のためのPEST分析 まとめ

こういったことから、PEST分析を行う際の視点として「自社が持っているブランドの提供価値」の再確認をすることは、PEST分析によって導き出される潜在的な変化にも気付けるようになるはずだとおわかりいただけたことと思います。
また自社のブランド提供価値を知ることは、同業他社以外にも潜在的な脅威が存在していることに気づかせてくれることにつながります。

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