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環境分析を進めるときの、基本的な流れをまとめてみました。

   

環境分析で時代の変化に対応する

自社の企業を取り巻く環境を正しく把握し、柔軟に対応できている企業がどれほどあるでしょうか。
ビジネス書籍などでも企業の置かれている環境についての重要性が記載されているものが非常に多いですが、実際に環境分析を行い経営戦略をプランニングしている企業は多くありません。

企業環境の変化にただ流されていくのか、積極的に関わっていくのか、経営者のマインドだけでも企業活動に大きく影響します。
うまくすれば企業を大きく成長させるきっかけにもなりますが、反対に転落の契機になってしまうケースも考えられます。

ではどのような対応を心がければ企業の成長につなげることができるのでしょうか。
環境分析についてなんとなく取り組むのではなく、きちんと計画を立案し確実に実行していく手法を紹介します。

環境分析の手法を知ることで戦略構築の役に立つと思います。

環境を2つに分けて考える

まず、企業を取り巻く環境についてミクロ環境とマクロ環境に分けて考えてみます。

ミクロ的な環境を考えるにあたってはファイブフォース分析が有効でしょう。
ファイブフォース分析では「顧客・チャネル」「供給業者・原材料」「新規参入業者」「代替品(代わりとなる商品やサービス)」「競争業者の動向」の5つの項目をそれぞれ考えていきます。

「顧客・チャネル」

まずは自社の商品やサービスに直結する顧客の動向に常に注目することです。
さらにトレンドなどを見通し、ニーズに応えさらには商品やサービスを創造していくことが必要です。また顧客となる業界の合併や、内製化の動きには注意しなければなりません。

ひとつには、顧客数の増減が、自社の収益に直結する重要な要素であることもありますが、顧客を取り巻く環境の変化に配慮することが、より重要になります。
なぜならば、顧客の状況が変わるということは、顧客のニーズも変化するからです。
顧客の顧客を取り巻く環境の変化が自社の顧客に影響し、結果的に自社にまで影響を及ぼすということは往々にして起こります。

そして、チャネルの精査を常に実行することで、顧客に対して効率的に、そして確実にサービスを提供する環境を整えておくことも必要です。いかに質の高いサービスを保有していても顧客に提供することができなければ意味を成しません。

あらゆる媒体が生まれそして衰退していく昨今、チャネルの選択は企業にとってますます重要な意味を持っています。

「供給業者・原材料」

商品やサービスを見なおし、ブラッシュアップすることは企業の大小に関わらず必要です。
時代や原料の市場の変化に合わせて原材料を見なおすことや、新素材を使用して従来品の性能を向上させることで自社商品のシェアを劇的に拡大させることもできます。

逆に、他社の製品力向上に取り残され、危機的状況に陥る可能性もあります。
原材料そのものについて注意するだけでなく、供給業者の動向にも注目します。
供給業者のリソースは確保できているのか否か、供給業者を取り巻く環境はどのように変化しているのかなどを把握することで今後の原材料が安定して供給されるのか、新材料の性質や入荷の目途などを予測します。

「新規参入業者」

新規業者の参入によって業界のパワーバランスが激変することもあります。
したがって競争相手となる新規参入業者について、あらかじめ対策しておくことも重要です。
新規参入業者については大きく3つに分類することができるでしょう。

一つ目は低コストで参入できる業者です。
例えば、すでに絶好の環境に土地を保有している企業などがこれにあたります。同様に設備や施設、人員を十分に確保できている企業も新規参入におけるコストを削減できます。

二つ目は新規参入によりシナジー効果を得られる企業です。
鉄道会社が駅ビル開発に参入するのもこのシナジー効果を期待しており、百貨店などの売り上げだけでなくショッピングに
来た顧客が電車を利用することでより売り上げを期待できます。

三つ目は統合を進めようとしている会社です。
川上統合や川下統合といって特に製造業などにおいて、自社の業務の上流工程などを統合することで原材料調達の機能を安定化させるなどの効果があります。
アパレル業界などでも、製造・販売・企画などの業務を統合し、業界で大きなシェアを獲得している企業が見受けられます。

「代替品」

自社製品が代替品に置き換えられる可能性を探ります。具体的にどういったパターンがあるかを想定しておけばその可能性をしっかり検討できます。

  •  経済的理由
  •  利便性
  •  高機能化・高級化
  •  多機能化

以上が代替品への移行理由になるパターンです。

ランニングコストを意識した消費者がガソリン自動車からハイブリット自動車に乗り換えることなどが経済的理由にあたります。
利便性についてはネットの普及により店舗型の旅行代理店に代わり、オンライン型の宿泊予約サイトに人気が集まっていることなどが挙げられます。
高機能化による置き換えは、技術の進化によってVHSからDVDへ、アナログテレビからデジタルテレビへなどの置き換え例があります。

多機能化による置き換えの例としては、一般テレビからチャンネル数の多いケーブルテレビへの置き換えなどがあります。
こうした置き換えが起こる可能性を検討することはリスクヘッジの意味でも、また自社製品の機能向上のヒントとなる意味でも非常に価値のあることです。

「競争業者動向」

合併・買収・提携など様々な理由によるライバル企業のパワーバランスの変化、業界全体の需給バランスの見通しなどの他、競争に影響するライバル企業の動きすべてを検討します。

ライバル企業がどのような製品の開発に力を入れているか、価格改定をどのタイミングでどの程度おこなうかなどを見落とさないことが大切です。

もちろん、自社のライバル企業だけでなく同業種や関連のある企業の動向にも注意を払い、環境の変化を常に予測し、対応できる準備を整えておく必要があります。

マクロ環境の分析

マクロ環境は企業を取り巻く環境の中でもより大きな枠組みでとらえたものを指します。
マクロ環境を構成する要素は以下の4つがあります。

  • 社会(価値観、人口構成)
  • 政治(関連法規、税金)
  • 経済・経営(景気、為替、金融事情)
  • 技術動向(新技術、新製造方法)

「社会(価値観、人口構成)」

社会の動きとして、大きく価値観と人口構成について分類します。
価値観についてはモノやサービスの流通に大きくかかわってきます。
時代が変われば当然価値観も変わっていきますが、昨今のトレンドの移り変わりは技術の進化のスピードやグローバル化の影響もあり特に早いものです。企業にとって新しい価値観を受け入れていくことが非常に重要です。

人口構成については、日本の抱える問題のひとつである少子高齢化などについてです。
また生産年齢や雇用形態などにも注目しなければなりません。非正規雇用者の割合が増加していることなどは社会的環境を考察するうえで見落としてはならない重要なファクタです。

「政治(関連法規、税金)」

次に政治に関わる環境に着目します。ここでは法規的な部分と税制が中心になります。環境関連の法令は罰則を含めて強化されています。こういった社会問題を反映した法改正などは特に注意します。また税制についても消費者の購買意欲に大きくかかわる部分でもあり、影響は多大です。

「経済・経営(景気、為替、金融事情)」

経済・経営環境については予測も含めた把握が重要になります。国内にとどまらず広い視野で見通すべき要素であり、例えば原油相場の動向などは影響のない企業は皆無と言っていいのではないでしょうか。
2008年におこったリーマンショックによる国内企業への影響などはまさにこの経済・経営的環境の変化によるものと言えます。

「技術動向(新技術、新製造方法)」

技術環境は新技術やサービスについて把握することが必要です。
どういった技術の進歩が予測され、それにより自社に関連する商品にどういった変化が起こり得るか。また他社の特許技術などを把握しておくことも必要です。

有効な環境分析

環境分析を進めていき、その結果が抽象的では運用の際にうまく効果を発揮できないことが多々あります。
そのため、環境分析の結果はできるだけ具体的にし、運用しやすい形にすることが理想的です。

仮に、環境分析の中で円高が進行している、ということが分かった場合に「円高の進行」という結論だけでは役に立ちません。
もし円高の進行により、貿易で得られる利益が減少しているとして、それがどの程度のものなのか、一時的な影響なのか今後も継続する見込みなのか、円高の原因は何かなどあらゆるアプローチから検討して今後の戦略を構築しなければならないからです。

リスクと機会を知る

環境分析を行うとかなりの数の機会とリスクを発見できますが、そのすべてに対応しようとすると膨大な時間と手間とコストを要しますので、自社にとって何が大切か、しっかり優先順位を設定し、対応していくことが大切になります。

SWOT分析は、環境を分析する構造としては有用ですが、結論を具体的に導き出すプロセスが組み込まれていないことと、優先順位の設定というステップがないため、実際に運用する際の課題となってしまうことがあります。

これを補完するのに、リスク分析をしておくことが有効です。
つまり、横軸を脅威発生の確率、縦軸を脅威が起こった時の影響としてマトリクスや表にすることで自社の環境を一目でわかるようにプロットし、その脅威が現実に起こる「発生確率」とそれが起こった時に自社に与える「影響の大きさ」から優先順位をつけていくのです。

機会についても同様に表にまとめ管理します。
これで脅威と機会を視覚的に捉えることができるようになります。

コンティンジェンシー・プランニング

「リスク分析」で優先度を設定し、上位のものについては対応を検討していきます。
しかし発生の可能性の段階では対応策を講じることしかできず、細かいマニュアルを作成するなどの時間や労力を費やすことがあまりに非生産である場合も多いでしょう。

こういった際には、その現象が起こる前兆を事前に決定しておくことが有効です。
この前兆は「トリガーポイント」とも呼ばれますが、その現象が起こった場合には脅威または機会の兆候と判断し、あらかじめ決められた行動を開始します。
そうすることで脅威・機会が起こる前に対策を講じる時間を確保できます。

例えば、「もし、ライバル企業が国内のA社から〇〇のライセンスを取得したら、3年以内に新サービスの提供が開始されると考えるため、自社としては対抗策として海外企業B社とのライセンス交渉を開始する」といった形で定めます。
「トリガーポイント」として、特定のライセンス取得を設定しているわけですね。

このような不測の事態に対する計画を「コンティンジェンシー・プランニング」といいます。
この「コンティンジェンシー・プランニング」は、将来的に起こりうるかもしれない不確実なリスクだけでなく、現在進行中の計画の前提条件が変化する場合にも用いられます。

計画段階では仮定していた内容と実際の状況にズレが生じることが多々あるため、戦略の見直しを行うタイミングと代替案を予め決めておくのです。計画において、オルタナティブに進めていくという考えは非常に重要であり、そのタイミングとして「トリガーポイント」を設定しておくことで判断を迅速かつ的確なものにすることができるのです。

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