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IKEAの戦略とビジネスモデルを実例としてSWOT分析してみました

   

IKEAのビジネスモデルと戦略を実例としてSWOT分析する

IKEA(イケア)は1943年に設立され、家庭用の家具をDIY(Do It Yourself:購入者が自分で組み立てる商品)のコンセプトで、消費者に直接販売する明解かつ効果的なビジネスモデルで知られています。

IKEAはこのビジネスモデルにより、販売コストや販売チャネルへの中間マージン等の各種コストを最小限に抑えつつ、優秀なデザイナーによる高品質な家具を提供価値として顧客に提供しています。

また、IKEAが販売している製品は、ほとんどがそのまま使用できる状態で、お客様自身で組み立てることが特徴です。
近年ではIKEAはオンライン・ビジネスの世界でも存在感を示しており、総売上は年間10億ドルを超えています。

そんな世界的な家具メーカーの超優良児であるIKEAを、今回はSWOT分してみたいと思います。

SWOT分析とは

SWOT分析とは、組織が有する「内部環境」と組織を取り巻く「外部環境」という2つの側面から現状を把握し、今後の戦略方針や改善策などを立案するために行う診断手法です。SWOT分析は組織の診断だけでなく、個人の診断手法としても広く活用されており、業種や業態を問わず幅広い分野に対応できる診断手法でもあります。

さらに内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」という枠組みに分け、この4つのフレームワークに焦点を当てて分析していきます。

SWOT分析の「SWOT」とは、4つの軸となる「強み(STRENGTHS)」「弱み(WEAKNESSES)」「機会(OPPORTUNITIES)」「脅威(THREATS)」それぞれの頭文字からきており、「SWOT分析」の読み方は「スウォット分析」と読みます。

詳しくは過去記事があるので、そちらを参考にしてください。
SWOT分析とは何か?分析のやり方を簡単な例を使って解説しました。

今回は、SWOT方法論を使用して、世界をリードする家具小売業者、IKEAの戦略を分析します。

IKEAの強み

上でも挙げましたが、IKEAの最大の強みは、「DIY」と「直接販売」による、非常にわかりやすくシンプルなビジョンでしょう。
これによって、一般的な家具市場の状況に関係なく、安定的に顧客に付加価値を与えることができています。

これらのビジョンは、そのシンプルさの点で業界でもかなり先駆的であり、伝統的な販売チャネル構造に販売力を依存しているつ競合他社にとっては、商圏にIKEAが参入してくると大きな脅威となります。

IKEAのもう一つの重要な強みは、顧客自身が組み立てることができることですが、このDIYコンセプトによって、従来、家具メーカーが負担していた組み立てプロセスや運送プロセスを顧客に転嫁できることで、大幅なコスト削減ができているのです。
もちろん、コスト面だけではありません。

IKEAは、再生可能な材料の使用の増加や、素材サプライヤーとの長期的な関係の確立と維持、デザイナーによるデザイン重視といった顧客ニーズに見合った商品開発に力を入れることによって、顧客のメリットとコスト面でのリーダーシップを重視した結果、IKEAはグローバル転展開によって規模の経済を実現し、世界有数の家具小売業者として大きく飛躍することができています。

IKEA の弱点

IKEAがグローバルな事業展開による規模の経済性を追求しているという事実を考えると、家具、または家具を購入するプロセスに対する文化的な固定観念や商慣行が大きなリスクと考えられます。
規模の経済を追求するために、IKEAは商品コンセプト、デザイン、品質を、グローバルレベルで均一的に実現する必要がありますが、必ずしも、すべての国々が同じデザインや品質レベルを求めているわけではありません。

例えば、欧米では、ガーデニングが普及していることもあり、DIYコンセプトは自然な感覚で受け入れられやすいですが、日本では庭付きの戸建てが一般的ではないこともあり、家具を自分で組み立てることに対して、わずらわしさを感じる人も多いでしょう。

たとえデザインが優れていても、安くても、家具を選ぶためだけに来るまで郊外まで出かけて、自分で持って帰って組み立てることに対して、それほど楽しみを覚える人は多くはありません。

このような視点から考えると、商品コンセプト、デザイン、品質を均一することは、国によっては弱点になる可能性も潜んでると言えるかもしれません。

IKEA の機会

IKEAは、北欧デザインのイメージが強く、中間層(販売チャネルや運送など)を省いているためCO2の排出を抑制していることから、省エネルギーや「グリーン」といったイメージがあります。

このようなグリーンなビジネスモデルのイメージを維持することがでいれば、今後、IKEAは環境を考慮したいと考えている顧客ニーズや、投資ニーズを満たす可能性があるかもしれません。

また、おそらくIKEAが持つ最大のチャンスの源泉は、そのコスト・リーダーシップのポジションでしょう。
世界的なミニマリズムのトレンドは、高品質で低廉な北欧デザインの家具の市場拡大に好影響を与えると考えられます。まさに、IKEAのイメージと戦略、そしてビジネスモデルにピッタリだと言えます。
また、IKEAのビジネスモデルは比較的容易に複製できるため、同社は家具以外の製品ラインナップでも横展開できるはずです。

IKEAは、IKEAのブランド自身が、世界的に有名なトレンドとなっており、その革新的なビジネスモデルと製品、プロセス、システムへの注力により、家具小売業における競争を先導してきました。
今後、このようなトレンドは、中国やインドなどの発展途上国へも波及することが考えられるので、さらなる成長が期待できるかもしれません。

IKEAの脅威

IKEAの低コストビジネスモデルは、競合他社によって比較的容易に模倣できるものです。
つまり、競合他社よりも先を行くのであれば、IKEAは絶えず革新する必要があります。既に日本でもニトリは製造小売業として、IKEAと同じようなビジネスモデルで地位を確立してきました。

また、インターネットとオンラインショッピングの到来により、戦略的成功の推進力であったDIYコンセプトは、もはや唯一のUSPまたはIKEAのユニークな販売提案ではなくなるでしょう。

実際、物理的な費用がかからないため、さらに低コストで家具を提供できるオンライン小売業者が増えています。
これらの競合他社とどうやって差別化を確立するのかが大きな課題であり、同質化されやすいビジネスモデルというのは、潜在的な脅威と考えられるでしょう。

IKEAのSWOT分析まとめ

これまで見てきた通りIKEAのSWOT分析は、下のようにまとめることができます。

<IKEAの強み>

  • 非常にわかりやすくシンプルなビジョン
  • 「DIY」による顧客へのコスト転嫁
  • 洗練されたデザイン
  • 環境重視、グリーンなイメージ
  • コストリーダーシップ

<IKEAの弱点>

  • グローバルな文化の多様性とコストリーダーシップの整合

<IKEAの機会>

  • ミニマリズムのトレンド
  • 家具以外へのIKEAブランドの活用機会
  • 新興市場への拡大

<IKEAの脅威>

  • 比較的同質化が容易なビジネスモデル
  • オンライン専業者の出現

IKEAは欧米では非常にユニークなビジネスモデルでポジションを確立している超優良企業として有名です。ここでは述べませんでしたが、さらにユニークなのは、同社が株式非公開企業であることでしょう。
当然、上場もしていません。

IKEAの創業者カンプラード氏は、その理由を下のように述べています。

「非上場を保つことで、柔軟性が増して順調に成長でき、企業の発展に関して長期的な視点を持つことができると常々考えている」
「非上場企業のままでいることがイケアの驚異的な成功の主因の1つになっている」
https://www.afpbb.com/articles/-/2915069

この非公開の方針は、当面維持されるらしいですが、この方針がIKEAの成長にどのような影響を与えているのかは、SWOT分析の視点からも非常に興味あるところですね。

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