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SWOT分析とは何か?分析のやり方を簡単な例を使って解説しました。

      2018/10/23

目標達成に向けた戦略を構築する「SWOT分析」

「SWOT(スウォット)分析」とは、事業戦略を構築する際に用いられる手法の一つです。自社を取り巻く環境について把握・整理し、その中でビジネスの機会や戦略を見出していくことを目的としており、経営企画やマーケティングの場面ではポピュラーに用いられています。
SWOT分析を使って自社環境を把握・整理する際に、「強み」(Strength)、「弱み」(Weakness)、「機会」(Opportunity)、「脅威」(Threat)に分類していくことからこれらの頭文字を取って「SWOT」と名付けられています。

基本的な考え方と構成する要素

SWOT分析では、自社環境を4つの項目に分類し、それぞれの要素を個別または複合させてより深く分析していきますが、環境を分類していくにあたりまずは「内部環境」と「外部環境」の2つの環境に分けて考えていきます。
これらの環境をさらに「ポジティブ」「ネガティブ」という要素で振り分けていくことで企業の環境を4つの項目に分類します。

この考え方に基づいて環境を整理し、SWOT分析のテンプレートである「強み」「弱み」「機会」「脅威」という要素に落とし込みます。
内部環境のポジティブな要素が「強み」、ネガティブな要素が「弱み」に分類され、外部環境のポジティブな要素が「機会」、ネガティブな要素が「脅威」にそれぞれ分類されます。
これらの抽出した要素を深く検討していくことで、経営戦略の筋道を立てていくため、まずはこの要素を的確に抽出することが大切になってきます。

実は、SWOT分析を用いる際に十分に注意しなければならないのがこの要素の抽出の部分であり、実際にSWOT分析を頻繁に使用している人や企業であっても正しく運用できていないケースが見受けられます。要素の抽出が適切でなかった場合、それをもとにして立てられた戦略はその企業にとって最適な戦略とはなり得ません。
では具体的にどのようなことに注意していく必要があるのでしょうか。まずは環境を分類していく要素である「内部環境」と「外部環境」そして「ポジティブ」と「ネガティブ」について理解する必要があります。

企業環境を適切に分類するための考え方

まず、SWOT分析における「内部環境」と「外部環境」の捉え方について考えます。内部環境と外部環境を分類するときに判断基準となるのは、自社環境に影響を与える原因が内部的なものか、外部的なものかということです。
内部環境と外部環境についてそれぞれもう少し具体的に説明します。

SWOT分析で分類される「内部環境」とは自社で独自に実施する企画や商品開発など、自社での取り組みがそのまま結果として反映されるものを指します。
近年は他社との共同開発など、事業の在り方が多様化していることを受け、一概にすべての企画や商品開発が内部環境に作用するとは言えませんが、「内部環境」について考えるうえで「他」の影響が結果に作用するかどうか、という点に着眼することは大きな目安となります。

一方の「外部環境」については、「他」の影響が結果に作用するものを指します。「他」の影響とは政治(Politics)、経済(Economy)、社会(Social)、技術トレンド(Technology)のようなものを言います。外部環境を中心に経営戦略を構築するPEST分析でも外部環境についてこれら4つの大きな影響力によって左右され、自社の努力だけでは結果に影響を与えることが困難なものとしています。しかし、本来は一企業が持ち得ないほどの影響力を持ち、外部環境であるはずの部分にまで自社の影響力が及ぶ企業が現れています。それがGoogle、Apple、Facebook、Amazonの4社です。これらの影響力をもつ巨大な企業は例外として、一般的には自社で外部環境に与える影響は非常に小さいものとなります。

内部環境と外部環境について理解できるようになれば、次は「ポジティブ」「ネガティブ」という要素について考えていきます。

内部と外部それぞれの環境から考えていく

「ポジティブ」「ネガティブ」な要素については、内部環境と外部環境それぞれの視点で判断していく必要があり、その考え方も少し違ってきます。
まず、「内部環境」については、自社のポジティブ=(強み)と、ネガティブ=(弱み)を考えていきますが、ここでは客観的な事実に基づく判断をしていく必要があります。
同様に「外部環境」によりポジティブ=(機会)と、ネガティブ=(脅威)を考え、分類していきます。ここでも、外部環境が自社に与える影響についてポジティブなものかネガティブなものかを客観的に判断していきますが、そのためには外部環境の把握と、ある程度の仮説が必要になります。

SWOT分析の構成要素

こうして抽出した4つの要素こそがSWOT分析の重要な素材です。これらの抽出した要素を以下の例のように整理して、分析します。では、それぞれの要素にどのようなことを、挙げればいいのでしょうか?簡単な例を挙げておきます。

1.内部環境のポジティブな要素=強み(Strength)

  • 自社で蓄積された販促のノウハウが全国でしっかりと運用できている。
  • 他社製品にはない独自の機能を搭載した質の高い製品。
  • コストダウンを実現する大量生産のシステム。

2.内部環境のネガティブな要素=弱み(Weakness)

  • 新製品を開発する部署がなく、開発力の面で他社に後れをとっている。
  • 同規模の企業に比べ、固定費の割合が高く、特に人件費にコストがかかっている。

3.外部環境のポジティブな要素=機会(Opportunity)

  • 経済が活性化し、好景気の影響による自社製品の需要増大。
  • 都市部の人口増加予測に伴う不足人材の確保。

4.外部環境のネガティブな要素=(Threat)

  • 為替変動に伴う輸出品目の利益減少。
  • 海外のビジネスモデル成功をきっかけにした業界への新規参入。

SWOT分析のやり方、進め方

SWOT分析の環境分析を進めるにあたり、どのような手順を踏めばいいのか悩む人も多いと思います。答えは簡単です、特に決まった順番はありません。
内部環境と外部環境の分析を同時進行することも可能です。双方の調査分析を同時に進めるなんて、難しいのでは…とお思いですか?そもそもSWOT分析を任せられたということは、社内外の情報をある程度把握している人材であるはずです。情報をよく理解し、分析のポイントを押さえつつ作業を進めることで、同時進行でも意外とスムーズに作業を進められるでしょう。
同時に進めるのが難しいと感じるのであれば、まず一方の環境の調査分析を完了させ、次にもう一方の環境に着手するというやり方でも構いません。
あるいは内部環境と外部環境を交互に進めていくといった方法もあります。この方法だと双方の分析の粒度を整合したり矛盾をつぶしたりしながら進められるので、より正確性が増します。
実際にやってみて、自身がやりやすいと感じた方法で進めていくのが最良の方法と言えます。

SWOT分析 内部環境分析の進め方

では実際に内部環境分析から進めてみましょう。まずは自社内のポジティブな要素とネガティブな要素を把握します。すなわち自社の「強み」と「弱み」を知ることから始めます。他社を追い抜くためにはまず何を強化すれば良いのか、何を克服すべきなのかを調査することが必要です。

内部環境分析 手順①分析する目的と対象は何か?

分析を始めるにあたり、調査すべき項目をいきなり書き出しいっても構いませんが、それだとあまりにも漠然としすぎてしまい、調査項目が膨大になりすぎたり、偏ったりしがちです。本来の目的を見失ってしまっては元も子もありませんよね。まずは自身が「何のためにSWOT分析をするのか?」を理解することが重要です。
そこで最初にやるべきこととしてお勧めしたいのが、「SWOT分析の調査対象を決めること」です。
それでは、調査の対象となるものには具体的にどのようなものが挙げられるのでしょうか。たとえば調査対象が「会社全体」だとします。この場合は、調査すべき項目はより抽象的な項目になっていくはずです。組織構造、ブランド、財務力、人材力、研究開発力、マーケティング力、営業力、購買力などがこれに当たります。
あるいは「特定の事業もしくは商品」となる場合もあります。この場合、調査すべき項目はより具体的なものとなるはずです。

「商品を製造するための工程(プロセス)」が調査対象となることもあるかも知れません。原材料の調達、加工、製造、品質、販売、サポートなどがこれに当たります。
更にはこれら全体の工程を調査対象とするのではなく、たとえば「加工技術」だけに的を絞って調査する場合もあるかも知れません。
このように、SWOT分析はどのような対象でも調査可能なのです。このことからも、「何のためにSWOT分析をするのか?」を理解することがいかに重要なことかを理解いただけたはずです。そもそもの目的があやふやなまま進めると、分析する対象や項目を見誤ってしまうことにつながりかねません。調査対象を明確にしておくことで、より正確な分析をおこなうことが可能です。

内部環境分析 手順②調査すべき項目とは何か?

目的と対象を決めたら、調査すべき項目を絞り込んでいく作業へと移ります。複数の関係部署に意見を出し合ってもらい、調査すべき項目の洗い出しをおこなうのも良いでしょう。その場合、ビジネス・フレームワークをチェックリスト代わりに活用することで洗い出しの作業をスムーズに進めることができます。
経営学者のマイケル・ポーターが提唱したバリューチェーンをご存知でしょうか。この方法を基にして内部環境を調査分析してみるのも非常に効果的です。ご興味のある方は是非参考にしてください。
事業分析初心者のためのバリューチェーンの意味や分析項目の整理

内部環境分析 手順③調査結果を強みと弱みに仕分ける

調査すべき項目を明確にしたら、調査項目について「ポジティブな要素(強み)」だと思うか、それとも「ネガティブな要素(弱み)」だと思うかを一つずつ判断し、仕分けをしていきます。仕分けを進めていくにつれ、対象となる項目が強みなのか弱みなのか判断に迷うことがあるかと思います。そこで重要となってくるのが、強み・弱みの判断基準をあらかじめ決めておくことです。これが今後の戦略を決定するうえでの重要なポイントです。判断基準が曖昧なままに仕分けを進めると、無意識のうちに自己の都合で判断して仕分けをしてしまうおそれがあります。人間は物事を判断するとき、直感やこれまでの慣習、常識に頼りがちです。自分では公平に判断しているつもりでも、どうしても偏った判断に陥ってしまうのです。そういったリスクを避けるといった意味でも、仕分けの判断基準をあらかじめ設定しておくことが重要と言えます。

仕分けをするうえで最も一般的とも言えるのが、ビジネス・フレームワークを活用する方法です。具体的にどのような方法かというと、自社の内部環境を様々な視点から調査分析し、他社よりも明らかに勝っていると思われる要素を自社の「ポジティブな要素(強み)」として仕分けます。逆に他社と比べて劣っていると思われる要素やプロセスなどを「ネガティブな要素(弱み)」として仕分けます。
ベンチマーキングで決定する方法もこれに当たります。どのような方法かと言うと、業界最大手の競合他社と比較し、「強み」とするのか、それとも「弱み」とするのかを仕分けるといった手法です。
業界の指標などがあれば、それを基準に仕分けることも可能です。指標となるものとして従業員数、特許出願数、ROI、営業利益率などが挙げられます。
このように、仕分けをおこなう際は理路整然と作業を進めていくことが肝要です。よほど経験豊富でリーダーシップを持った優秀な人材がいるのであればその人の直感に頼ってもいいのかも知れませんが、あまり現実的とは言えませんよね。調査項目の判断基準を設定しておくことで、誰が担当しても偏りのない仕分けをおこなうことが可能となります。また、作業をマニュアル化することで効率のアップも期待できます。

外部環境分析の進め方

SWOT分析における外部環境分析は、その名の通り、対象を取り巻く外側の環境・要因を掘り下げることです。この分析には、市場や社会的要因といった外部環境が現在(もしくは将来的に)どのような状況にあるのかを調査し見極める、大事な役割があります。SWOT分析の「O」=「Opportunity(機会)」と「T」=「Threat(脅威)」の分析をすることで、リスクを避けつつチャンスを見つけていくのです。

外部環境分析 手順①目的を明確にする

ただ闇雲に市場や外的要因などを調査しても成果は得られません。「日本国内のシェアを拡大したい」という目的と「アジア進出を狙う」という目的とでは、調査対象が全く違うからです。
まずは「分析した結果どうなりたい(したい)のか」という目的を明確にし、それに応じた調査対象を決定しましょう。

外部環境分析 手順②調査対象を見極める

調査対象はマクロ環境とミクロ環境の大きく分けて2つに分けられます。ここでいうマクロ環境は「自分ではどうすることもできない要因」で、具体的には政治的・社会的・経済的要因などです。ミクロ環境はポーターが提唱したファイブフォース分析などが当てはまります。
先ほどの「日本国内のシェアを拡大したい」という目標を例に考えてみましょう。この場合のマクロ環境は日本国内の政治情勢や景気など、ミクロ環境は国内の競合企業や新規参入企業、また顧客などが考えられます。内部環境調査でも用いたビジネスフレームワークをうまく活用し、調査対象を決定してみるといいでしょう。

外部環境分析 手順③結果の選別

調査対象を決めたらそれに関する情報を収集しましょう。情報が集まったら、それらが目的を達成するために「良い要因」なのか「悪い要因」なのかを判断し選別していきます。外部環境分析において、ここで「良い要因」と判断したものを「機会」、「悪い要因」と判断したものを「脅威」と解釈します。例えば「国内全体の消費活動が活発化している」という内容なら、今後自社の業績が伸びる可能性があるので「機会」に、「競合他社の業績が好調」という結果なら、自社にとって悪影響を及ぼす可能性が高いので「脅威」と判断できるでしょう。

外部環境分析において重要になってくるのがデータを収集する際の基準の決定です。新聞に掲載されていたからといって全ての情報が正しいとも限りませんし、数値が公表されていても図表の作り方によっては誤った印象を受けることもあります。内部環境分析と比較して外部環境分析はデータの元となる情報の精度が分析自体の精度につながります。外部環境分析では「どこの」「どのような」情報を利用するのかという判断から分析が始まっているのです。

内部環境分析と外部環境分析の結果を整合する

いくつかのビジネスフレームワーク(バリューチェーン分析、PEST分析、ファイブフォース分析など)を活用しながら、会社の外部環境と内部環境の戦略上の検討事項を「強み」「弱み」「機会」「脅威」4つの視点で分析するのがSWOT分析でした。

SWOTのテンプレートの作成に必要な、これらの4つの要素をまとめたらSWOT「分析」としての機能はほぼ終わったも同然ですが、当たり前ですが「分析」自体にはあまり意味がありません。分析の結果、えられる示唆がなければ、SWOT分析は徒労におわります。つまり、最も大切な作業はこれから先に待っているといえるでしょう。
4つの視点で情報を集めることだけで終わらせず、その後の総合的な戦略を自分の主観でまとめていく作業のほうが重要なのです。

SWOT分析の場合、分析結果から示唆を得るための方法として、有効なものに「シナリオ・プラニング」という手法があります。シナリオ・プラニングについては別の機会で触れたいと思いますが、簡単にいうと、将来に起こりうる出来事を想定したうえで、将来から時間をさかのぼって、これからできる戦略を立てるツールです。自社の強みを生かし、弱みを克服することで、想定されるリスクを回避しつつ、チャンスをつかむ戦略を立てようということですね。
SWOT分析の役割は調査結果を整理するところまでが役目ですが、実務上は分析しただけで終わらせず、かならず戦略立案まで立てるようにしてください。

実務上では、よくフレームワークは穴埋め問題を埋めることに必死になってしまい、きれいな出来上がりを見て満足してお終いということがあります。いつも言っていることですが、フレームを埋めることよりも、フレームとフレームの間にある文脈や相互依存関係を見つけ出すことが、(SWOT分析に限らず)すべてのフレームワークの一番のメリットなのです。その文脈や相互依存関係を、ストーリー立てて戦略に落とし込む作業のひとつが、シナリオ・プラニングですが、結構役に立つツールなのでお勧めします。ぜひ試してみてください。

以上。SWOT分析の進め方については、これでおしまいです。

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