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UberのSWOT分析をしたらシェアリングエコノミーのSWOT分析になっていたというお話

   

SWOT分析とは

SWOT分析とは、組織が有する「内部環境」と組織を取り巻く「外部環境」という2つの側面から現状を把握し、今後の戦略方針や改善策などを立案するために行う診断手法です。SWOT分析は組織の診断だけでなく、個人の診断手法としても広く活用されており、業種や業態を問わず幅広い分野に対応できる診断手法でもあります。

さらに内部環境を「強み」と「弱み」、外部環境を「機会」と「脅威」という枠組みに分け、この4つのフレームワークに焦点を当てて分析していきます。

SWOT分析の「SWOT」とは、4つの軸となる「強み(STRENGTHS)」「弱み(WEAKNESSES)」「機会(OPPORTUNITIES)」「脅威(THREATS)」それぞれの頭文字からきており、「SWOT分析」の読み方は「スウォット分析」と読みます。

SWOT分析を行う目的は、主に事業戦略の方針を決定したりマーケティングプランの策定などですが、組織としての目標の設定や個々人の目標設定などのためにも行われます。いずれにせよ、現状を把握した上で今後の行動指針を決定するための手段として非常に有効な分析手法でもあるのです。

また、SWOT分析は現状から将来にわたる変化に着目した分析手法でもあります。変化とは例えば「強み」「弱み」という要素は主に現状を把握しようとするフレームであるのに対して「機会」「脅威」というフレームは、現在から将来にわたって起こりうる状況を踏まえてみていきます。
また、「強み」にしても、当初は強みとしていた技術が時間がたつうちに陳腐化され足かせとなり、逆に「弱み」になってしまうなど、やはり現在から将来にわたって起こる変化によって、捉え方が変わってくることもあるでしょう。

そのため、SWOT分析は現状の把握だけでなく将来にわたって役立つ分析として、戦略策定や目標の設定などに極めて親和性の高い分析方法だといえます。
詳しくは過去記事があるので、そちらを参考にしてください。
SWOT分析とは何か?分析のやり方を簡単な例を使って解説しました。

具体的な例があったほうがわかりやすいですよね。では、次にUberを事例にしてSWOT分析をやってみましょう。

UberのSWOT分析

Uberは2009年3月にトラビス・カラニックとギャレット・キャンプにより設立されたアメリカ合衆国の企業であるウーバー・テクノロジーズが運営する、自動車配車ウェブサイトおよび配車アプリで、現在は世界70カ国・地域の450都市以上で展開しています。

特徴としては、一般的なタクシーの配車に加え、一般人が自分の空き時間と自家用車を使って他人を運ぶ仕組みを構築している点で、顧客が運転手を評価すると同時に、運転手も顧客を評価する「相互評価」を実施していることでしょう。

世界では、タクシーにおいて「領収書を発行しない」「タクシーメーターを倒さず、法外な料金を請求しボッタクる」といった問題が多く起こっていることから、これらの問題を回避し、さらに車両オーナーにとって「簡単な小遣い稼ぎ」ができる点が受けています。
しかし、既存のタクシー業界からの反発も根強く、訴訟や運輸当局から営業禁止命令を受けたり、タクシーと同等の規制を課す国、地域もあります。

Uberがもっとも評価を受けている点は、移動手段として便利で簡単で、そしてなにより安価であることです。
しかし、上記のように、業界の反発や規制等の関係から、なんらかの対応が迫られているのが実情もあり、SWOT分析の対象としては、市場機会だけでなく、脅威や弱みも分析しやすいことから、非常に面白いケースと言えるかもしれません。
では、さっそくSWOT分析の結果を見てみよう。

Uberの強み

シェアリング・エコノミーの旗手というブランド力・知名度が最大の武器かもしれません。既に毎月何億人も使うアプリとなっていて、アメリカではuberは生活の一部に溶け込んでいることはUberの強みです。

また、高いサービス品質。特にUberBlackは、プロのドライバーによるプレミアムな乗車サービスです。東京でも使えます。
特に注目すべきUberの差別化要素は、Uberがドライバーを雇っていることではないことです。Uberはタクシー業者ではなく、配車アプリにすぎないところが、業界の慣習に左右されない強みになっていると言えます。
このように、Uberはタクシーではなく、あくまでもスマートフォンアプリであることから、操業コストが低く設定できることも強みです。そういう意味では、競争も比較的小さいことは、急成長を支えているのかもしれません。

さらにキャッシュレス決済、ドライバーの評価制度などアプリならではの機能も従来のタクシーとの差別化ポイントです。
シェアリング・エコノミーが与えた影響は、ドライバーにとっても、新しい収益源を提供することになり、これがUberが休息に普及した一因となっています。

Uberの弱み

ビジネスモデル自体は、目新しいものではなく、誰にでもまねできることは、今後の弱みになりえます。

また、Uberとドライバーの関係は、従来のタクシー業界とは異なり、かならずしも良好な関係を維持しやすいとは言えないため、競合へのスイッチング・コストは低いといえます。
同様に、ドライバーの取り分は必ずしも高くないため、スイッチング・コストは低いといえます。

アプリ経由で配車するため、やろうと思えば利用者の行動追跡ができてしまうことなど、プライバシーは保護されにくい可能性もあります。

Uberの機会

従来のタクシー利用者が高額な料金設定や、タクシー待ちで行列に並ばなければならないなど、不満を持っているのであれば、Uberにとって絶好の機会と言えるかもしれません。

また、タクシーがあまり来ない郊外や田舎ではニーズがあるかもしれませんし、高齢者の通院や子供の塾の送迎など、従来のタクシー業界が仕掛けようとしていた新しいセグメントにいち早く参入する可能性が高いと考えられます。

このような機会をとらえることでUberの普及が加速し、ドライバーが多くなればなるほど、配車待ちの時間が短くなりサービス品質が高くなるでしょう。その結果、キャッシュフローがよくなると考えられます。いわゆる強化サイクル(好循環)に入ることができるかもしれません。
キャッシュフローがよくなると、当然、企業価値が高くなるので、さらなる投資を呼び込むことができるはずです。

Uberの脅威

ドライバーの取り分が少ないことが、最大の脅威といえるかもしれません。ドライバーの不満がたまることで、悪評が出回ってしまうと、ドライバーが減少するだけでなく最悪の結果になる可能性もあります。

また、産業を保護するという名目で、規制強化され、事業機会が消失してしまう可能性もあります。
このため、日本でいいうと白タクのような扱いを受け、規制を無視すると悪評が立ち、最悪の結果になる可能性もあります。
アメリカでは、Uberが便利で、サービス品質が優れていることは、広く認知されているのですが、やはり、地域の産業や規制当局との関係がよくないことが、脅威の源泉となっているようです。

あるいは、これだけシェアリング・エコノミーが一般用語として普及してくると、新規参入が相次いで競争が激化し、価格競争に陥ってしまう可能性もあります。
そうなってくると、不満を抱えるドライバーは離れていってしまい、最終的には従来のタクシー業界に吸収されてしまう可能性も残されています。

また、シェアリング・エコノミーの宿命的な課題にも直面する可能性もあります。
それは、ドライバーによる不祥事や事件が、Uberのブランドを棄損するリスクです。直接的にはUberはコントロールすることができないのが、アプリ・ビジネスのネックですね。

自動運転車が普及してくると、Uber自体が不要となる可能性が出てくるかもしれません。
これらの脅威を乗り越えるため、uberは利用者の課金をできるだけ低く抑えているのですが、そのしわ寄せはドライバーに行っています。
Uberはあくまでもアプリ・サービス提供者でありタクシー業者ではないため、本来はUber自身には規制はかからないはずなのですが、すでに多くの国で規制対象となっています。

ルールブレーカーとしては、今後も、継続的にこれらの障壁に対処する必要があるでしょう。

UberのSWOT分析から見えてきたこと

今回はSWOT分析の実例を見ることで、具体的なSWOT分析を進めるうえでの視点について述べてきましたが、結果的にUberのSWOT分析というよりも、シェアリングエコノミーのSWOT分析にもつながったような気がします。

このように、業界を代表する企業のSWOT分析をすることで、業界全体の強みや弱み、そして機会や脅威を把握することに綱があることはよくあります。
今日はこの辺でおしまいにします。

いかがで下でしたでしょうか?お役に立てたら幸いです。

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