時代の潮流やトレンドに乗りたいなら、PEST分析が不可欠ですよ。

PEST分析とはトレンドに乗るための分析

どんなに良いものを作り、良いサービスを提供しても、世の中には自分たちの努力だけでは解決できない問題があります。自分でコントロールできない問題や自助努力だけでは解決できない課題。主に、自社の社内の範疇を超えた、大きくて、大勢のステークホルダーの関与がある課題。それらは、外部環境と呼ばれます。

もしかしたら、その自分たちでコントロールできない問題の本質を見極めて、それら外的要因をいかに自社の利益に繋げるのかが、「経営戦略」の本質なのかもしれませんが、戦略を立てる上で自社の置かれている現在や未来の状況を知るためのフレームワークの一つとして、PEST分析があります。

PEST分析では、事項で説明する4つの要因それぞれに大量の情報を集めます。その情報の中から、これまでの動きとこれからの進む方向を読み解き、自社のマーケティングに生かすことがトレンドに乗ることにつながります。
誤解を恐れずにに言うと、時代の波に乗りトレンドに乗っていくためのフレームワークが「PEST分析」なのです。

経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。

PEST分析はマクロ環境を分析対象とする

外部環境要因には、「マクロ環境」と「ミクロ環境」の二つがあります。
マクロ環境とは社会全体の動向や現況を指し、ミクロ環境は自社の含まれる業界の状況や競合他社の現況のことを示します。
同じ外部環境であっても、自社のみの独力でコントロールすることがほぼ不可能であるのがマクロ環境であり、やはり自社のみでコントロールするのは困難でありつつも、若干の影響を与えることができるのが、ミクロ環境といえます。
要するに、自社からステークホルダーへの距離(物理的にも、心理的にも)が遠く、大勢いて、しかも自社と相手のの力関係が自社に弱い環境のことをマクロ環境とし、その程度が小さいのがミクロ環境なのです。

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PEST分析では、主にマクロ環境について取り扱う分析ツールです。PEST分析には、マクロ環境変化を具体的に洗い出すために、以下の4つの要因があり、自社にとってコントロールできない情報を把握することが主な役割です。

  • 政治的(Politics)
    産業界を規制する法律や規制など、自社単独のロビー活動でのコントロールが届かない決定事項や変化。国会での審議状況、国際世論、政局の動きなどは、自社でコントロールすることはできないが、その結果、自社の経営方針や戦略が受ける影響は甚大なことが多い。
  • 経済的(Economy)
    国内外の経済状況など、自社単独の経営活動ではコントロールできない経済活動の動向。景気や家庭あたりの可処分所得、消費者人口や労働力、企業の設備投資・購買力、支出パターンなどは、自社でコントロールすることができないが、その結果、自社の売上や利益が受ける影響は甚大なことが多い。
  • 社会的(society)
    社会的課題など、自社単独の(広い意味での)社会貢献活動だけではコントロールできない社会の動き。消費者の価値観や知覚、好み、態度、企業の倫理観やポリシーなどは、自社でコントロールできないが、その結果、自社のビジョンや社会的役割が受ける影響は甚大なことが多い。
  • 技術的(Technology)
    技術革新など、自社単独の研究開発活動だけではコントロールできない技術トレンド。テクノロジーのスピードや方向性、研究開発投資総額などは、自社でコントロールできないが、その結果、自社の商品開発やビジネスモデルが受ける影響は甚大なことが多い。

ちなみにミクロ環境の分析にはファイブフォース分析を使います。
ファイブフォース分析は、PEST分析が扱うよりも比較的身近な業界内外の競争環境の激しさを把握することで、主に利益確保の可能性を分析する目的で行われます。
具体的には、「買い手の交渉力」「供給企業の交渉力」「新規参入業者」「代替品の脅威」「競争関係」の5の要因について、それらの変化が市場にどう影響するかを分析します。

さてここではPEST分析の4つの視点それぞれで、どのような分析を行うのかを見ていきます。

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PEST分析の政治的(Politics)トレンドと影響力

上述の通り、政治的要因は一企業が独力で変えられるものではありません。しかし、企業活動には大きく影響を及ぼします。そのため、どの企業も法律や税制についての改正動向を捉え、新しい法律が施行される場合には自社の対応を予測しておく必要があります。

わかりやすいのは消費税の増税です。
消費税増税後には一般消費者の消費意欲が落ち込みます。特に贅沢品などは買い控えをする傾向にあります。反対に増税前の駆け込み需要が起きることは、よく知られています。
つまり原価や売値が高いものほど政治の影響を受けやすいと言い換えることができます。

代表的な調査項目として、以下が挙げられます。

    • 法律、法改正
    • 税制
    • 政権交代、政局の動き
    • 選挙、政治団体、デモ

など

PEST分析の経済的(Economy)トレンドと影響力

経済的要因は、経済成長率や個人消費の動向のみならず株価や金利、為替市場の推移などの影響を受けます。他国の情勢により突発的に乱高下することもあり、予測が難しい側面もあります。

例えば輸入に頼るガソリンの価格は、為替の変動により上下しています。特に高騰した場合には、中小の自動車貨物運送業などでは倒産に至る企業が出てしまうほどの影響を受けます。
直接的に影響を受けるガソリンの他にも、小麦やトウモロコシ、オレンジなども為替の変動の影響を受けやすいと言えます。

代表的な調査項目として、以下が挙げられます。

    • 景気動向
    • 経済成長率
    • 消費動向・物価
    • 為替・株価・金利

など

PEST分析の社会的(Society)トレンドと影響力

社会的要因は、少子高齢化など社会のあり方そのものが変化し、すべての人が影響を受けやすい要因です。他にも女性の社会進出や流行の変化なども消費活動の変化を招きます。

食品を例にとってみます。かつて高度経済成長期に、女性の社会進出が叫ばれ、女性の雇用が活発になってきた社会的変革がきっかけで、家事の中心を担った主婦の調理時間を軽減するために、半調理品やレトルト食品や冷凍食品などが普及することとなりました。
社会的な変革と世の中の状況に合わせて商品構成を考えると、ビジネスチャンスを見つけることができるはずです。

代表的な調査項目として、以下が挙げられます。

    • 人口、人口構成
    • 流行、世論
    • 宗教、教育
    • 高齢化、少子化

など

PEST分析の技術的(Technology)トレンドと影響力

技術的要因では、技術トレンドが企業の存続にまで影響を与える場合があります。
特に、一度経験してしまうと、昔のやり方には戻れない「不可逆的」な変化があった場合には、注意が必要です。

たとえば、インターネットやスマートフォンの普及などがそれです。
これらの技術革新によって、私たちの生活は劇的に変化しました。ネットやスマホを活用しない伝統的なビジネスが、ネットを使ったベンチャー企業に市場を取られているのは、テクノロジー変革の持つ、この不可逆的な変化が理由の一つなのです。
技術は常に進化し、状況は刻々と変化しています。新しいうちは、ヒット商品だったものが気がついたら不良在庫になってしまう、そんな時代がやってきました。

代表的な調査項目として、以下が挙げられます。

    • インフラ
    • IT、シェアリング
    • イノベーション・新技術
    • ビジネスモデル

など

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PEST分析の利用方法

PEST分析をする際に、トレンドを意識するなら時間軸の分析も加える必要があります。

  • 現在はどうであるのか
  • 過去はどうだったのか
  • 未来にどうなるのか

自社の動きと外部環境の動きを見比べ、自社の進むべき方向性を見出すためには必要な作業です。時間軸を加えることで客観的な将来の事業戦略を立てることができるようになります。
トレンドと一言で言っても「一時的なもの」と「中長期にわたり続いていくもの」とに分けることができますが、この区別をしていくことも必要で、一時的なトレンドの場合、そのトレンドには乗らないという選択肢もあります。

つまりPEST分析で導き出したマクロ環境の変化が、短期のトレンドなのか、中期のトレンドなのか、長期のトレンドなのかを考えることも戦略を考えていく際の一つの大切な指針となります。

流行りを分析するPEST分析まとめ

現在、自社に技術力があり、競合他社に勝るマーケティングを行っていても、規制緩和によってライバルが増えたり、税制改正によって利益が圧迫されたり、流行が長く続かないと予想できたり、技術の発展によって価値がなくなってしまう恐れがある商品にしがみついていては、商売を続けていくことはできません。
トレンドを考慮に入れるのであれば、PEST分析に時間軸の分析を加えることを忘れてはいけません。時間軸を入れることで、より正確に未来の予測をすることができるはずです。

時間軸を合わせて考えることは、流行の持続する期間を予測することにもつながります。打ち上げ花火のように瞬間的な流行に、経費を多額に投入することは避けたいですし、ヒットまで時間がかかるとしても長期にわたって流行が続くと予想ができれば経費をかけて他社との差別化が図れたり、流行途中でのモデルチェンジの準備ができるなども考えることができるようになります。
将来のリスクを最小限度に抑えるか回避し、大きく発展を続けるためには時代に則った新しい戦略をこまめに練っていくしかありません。

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著者情報

工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。

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