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ビジネスモデルの意味とは?儲けの仕組み?収益のパターン?

   

「ビジネスモデル」の意味を考える

「あの会社のビジネスモデルは最新だ」
「もっと利益の大きい、新しいビジネスモデルを考えよう」
「人気企業のビジネスモデルを取り入れてみよう」

新規事業を考えるとき、こんな会話することがあると思いますが、具体的にどんな意味で使っているのか、実際はどんなことを意味しているのか、あまりよくわかっていないのに、なんとなく「ビジネスモデル」を使っていると思いませんか?

今回はこの「ビジネスモデル」という言葉の意味を掘り下げて考えてみます。

ビジネスモデルの意味その1 『儲けの仕組み』

「ビジネスモデル」という言葉の歴史は意外に短く、1990年代半ばに生まれました。
インターネットの広がりに似て、2000年代に入ると急速に広く知られていくようになります。

改めて、「ビジネスモデル」という言葉の意味をおさらいしますと、実はとても曖昧な言葉で複数の意味として捉えることができます。
最も一般的で一番多く使われている意味であろう、一つ目の意味は『儲けの仕組み』を表しています。
組織や事業が収益を上げるための仕組みそのもの、ということです。

先程この言葉は新しい言葉だと説明しましたが、1990年代より以前に『儲けの仕組み』という概念の言葉が無かったかというと、もちろんそうではありません。
元は「事業システム」や「事業戦略」という言葉がありましたが、今は立場が逆転し、「ビジネスモデル」が市民権を得てしまったようです。

ビジネスモデル・キャンパスが認知拡大のきっかけ

この『儲けの仕組み』という意味での「ビジネスモデル」を広め、分かりやすく図式化したものが「ビジネスモデル・キャンバス」という考え方です。

この2010年にオスターワルダーとピニュールによって発案された「ビジネスモデル・キャンバス」という理論は、いわゆるビジネス・フレームワークの一種です。

企業や顧客に関する9つの要素(「キーパートナー」「キーアクティビティ」「キーリソース」「提供価値」「チャネル」「顧客との関係性」「顧客セグメント」「コスト構造」「収益」)を書き出し、それぞれが互いにどう作用しているのか「見える化」したものです。
その企業の収益構造を俯瞰することで、現状の把握から新規事業の構想が分かりやすくなります。実際やってみるにはA4用紙を横にして書くとちょうどいいです(テンプレートは実際に自分で書いてもいいですし、ネットからダウンロードするのもいいでしょう)。

左に企業側に関する4要素(収益を上げるために成し遂げなくてはならない活動や資源、自社以外の協力相手など)を、右側に顧客に関する4要素(顧客と繋がる手段や収入のモデルなど)を書き、中央に1要素・提供価値(そのビジネスモデルが顧客にどのような価値を与えるのか)を書き出します。

基本的な手順としては自社の強みや顧客の種類のような、既に分かっている要素から書き出すことです。
次の段階では、目標にあたる「提供価値」、誰に商品を売るのかという「顧客セグメント」、企業側が取り組むべき活動「キーアクティビティ」を埋めていきます。これらが埋まったら残りの要素を互いの関連性から埋めていくのです。

「ビジネス・キャンバス」に限らず、フレームワークを上手に利用し、『儲けの仕組み』をわかりやすく理解するのはとても有用です。この「ビジネスモデル・キャンバス」以外にもフレームワークはいくつかありますので、自社に合う・企業研究に合うものを選ぶといいでしょう。

ビジネスモデル・キャンパスの注意点

たまに、ビジネスモデル・キャンパスを推すコンサルタントを見かけますが、ビジネスモデル・キャンパスも他のビジネス・フレームワークと同じように、万能ではありません。
いくつか致命的な欠点もありますので、ご注意ください。

  • 外部環境の変化はほとんど考慮されない
  • 顧客ニーズの示唆は得られない
  • 新しいアイデアをひらめくのには不向き
  • 業界や競合の反応は考慮されない
  • 戦略を立てることができない

このように、ニーズの発掘や解決策の提示、業界構造の分析といったことができないので、残念ながら新しいビジネスモデルを生み出すツールとしては、必ずしも最適ではないということですね。
もう少し詳しく言うと、上述の情報を別の方法(たとえば外部環境の変化はPEST分析とか)で分析した上で、いくつかのビジネスモデルを絞り込んだ後に、このフレームワークで整理するという感じです。
だから、私は、すでに新規事業や新しいビジネスアイデアを持っている人が、自分のアイデアを事業化する段階で抜けモレがないかどうかのチェックをする程度にしか使えないと思っています。

つまり、現時点での商流や価値の連鎖をビジュアル的に表現するのには向いているのかもしれませんが、新しいアイデアについては価値の流れなどを整理するのに、まぁ使えるかな?といった感じです。
このツールを使ったから、すごい戦略が立てられた!とか、新しい収益モデルを作ることができた!というのは、ないと思います。

ビジネスモデルの意味その2 『ビジネスの基本パターン』

「ビジネスモデル」の意味として2番目にあげられるのが「パターン」という意味です。

「モデル」と付きますから、「型」とか「パターン」という意味も理解しやすいのではないでしょうか。
ただ、収益を上げるパターンは1社につき1つとは限りませんし、企業によっては、いくつかのビジネスモデルが複合的に絡み合っていることもあるものです。
また、所属する業界によっても違うでしょうし、自社が持つ強みや戦略、そして目指す姿やビジョンによっても違ってくるでしょう。

このように、パターンとしてのビジネスモデルは数多くあるのですが、ではこのパターンはいくつあるのかと問われれば、経営学の研究社によって、9だったり10だったり、多いものでは100だったり様々で、明確な答えは今のところ確立されていません。
ということで、ここでは、一般的に基本パターンと呼ばれる例をご紹介します。

(1)物販モデル

これは自社で商品を製造し販売する、最もシンプルな形です。
原材料や部品を仕入れて、顧客のニーズにあったハードに組み立てることで付加価値を高めて販売するモデルです。
代表例は、家電メーカーや自動車メーカーなどですね。

(2)小売モデル

他社が開発した商品を仕入れて販売するものです。
身近なところでは、スーパーだったり、100円ショップなどですね。
成長産業としてはAmazonのような通販事業やコンビニエンスストアなどです。

(3)合計モデル

細かい商品を一緒に合わせて販売し、客単価を上げる、というモデルです。
パソコンを買う時にオプションを付けて販売することや自家用車、住宅販売などもこれに当てはまります。

(4)消耗品モデル

その名の通り消耗品で利益を生み出すパターンです。
本体は安く提供して、消耗品の買い替えで収益を上げる手法ですね。
カミソリの刃やプリンターのインクなどが分かりやすいと思います。

(5)卸売モデル

先述(2)の小売モデルと対になるモデルです。
商品をたくさん売りたいメーカーと品揃えを増やしたい小売り業者の間を仲介をすることで、マージンをもらう手法です。
代表例は商社です。ちなみに、日本はこのモデルをとっている企業が海外と比べて多いのが特徴です。

(6)継続課金モデル

サブスクリプション・モデルや購買モデルとも言います。
商品やサービスを単発で購入するのではなく、一度契約したら解約するまで購入し続けるモデルです。
新聞購読や携帯電話の通信料金、任意加入の保険料などがこれに当てはまります。

(7)広告モデル

場所を貸すことで使用料を得るモデルですね。
場所という商品を媒体とすることで、そこに広告を掲載し広告主から収入を得るという手法です。
新聞広告、テレビCM、ラジオ広告、ネット広告、電車の中吊りなど至る所にありますね。

(8)マッチングモデル

自社では商品を持たず、利用者とサービスを結びつけることで利益を得るモデルです。
インターネットの普及によって、爆発的に収益を上げるようになった収益方法の一つでもあります。
旅行やホテルの予約サイト、飲食店の口コミサイトなどが代表格ですね。

(9)ライセンスモデル

商品やサービスの使用を許可することで使用料を得るモデルです。
代表例は、いわゆる版権ですね。
キャラクターの肖像権や音楽の使用料といった権利ビジネスがこれに当たります。

(10)二次利用モデル

一度利用したものを再利用(または別の方法で利用)することで収益を上げるモデルです。
例えば、映画やドラマをDVD化する、過去に出版された漫画を愛蔵版として再出版するというものです。
ポケモンのビジネスモデルは、メディアミックスを使った二次利用モデルと言えるかもしれません。

ビジネスモデルの意味その3 『イノベーションの土俵』

イノベーションという用語が日本に紹介された当初、日本語訳で「新結合」と訳されていました。
今では、「イノベーション」と言ってもと、なんとなく意味は分かるのですが、当初は該当する概念がなかったため、一番近い意味の言葉を使って新しい用語を造ったのです。
「結合」という単語があてがわれているのをみてわかると思いますが、イノベーションとは既にある何かと何かを組み合わせることによって、新しい価値を生み出す行為にほかなりません。

そういう意味では、ビジネスモデルも、すでにあるビジネスモデルとビジネスモデルを組み合わせることで、新しいイノベーションを興す土俵になっているともいえます。
とくに、近年のインターネットを活用した様々なイノベーションは、このような傾向が強いと思います。

前節で説明したようなシンプルで分かりやすい「基本形」もあれば、いくつかのビジネスモデルの組み合わせによる新しいビジネスモデルの発現の例も見ることができます。
たとえば、2014年にオリヴァー・ガスマンらが発表した「ビジネスモデル・ナビゲーター」という著書では過去25年間に成功した約250の企業のモデルを分析し、結果55パターンに絞られるとしました。
ここで55すべてのパターンを紹介するのは避けますが、「ビジネスモデル・ナビゲーター」では「基本形」を用いることで企業の現状を分析できるだけでなく、55の成功パターンを組み合わせることで新しいビジネスの形を創造できるとも提案したのです。

確かに、「ビジネスモデル・ナビゲーター」を読んでいると、いくつかのビジネスモデルは、似た者同士でグループ化して絞り込むこともできるような気がするので、抽象化することで、あたらしい発見があるかもしれません。

たとえば、課金の仕方を中心に収益方法を考えたビジネスモデル群として、以下を同じグループに入れてみたり、

  • フラット料金
  • フリーミアム
  • ライセンシング
  • 格安製品
  • 従量課金
  • 賽銭方式
  • レンタルモデル
  • サブスクリプション

販売チャネルのあり方を中心に収益方法を導き出されたビジネスモデル群として、以下を同類とみなしたり、

  • 直販モデル
  • バーター
  • 個人間取引
  • オークション
  • フランチャイズ

そのほかにも以下のような、顧客への提供価値や商品の付加価値を中心に収益方法を考えたビジネスモデルを集めてみたり、

  • 体験の販売
  • クロスセル
  • OEM製品
  • サプライ品モデル
  • アドオン
  • ロングテール
  • 廃品リサイクル
  • 究極の逸品

そのほかにもいろいろな分類やグループ化ができると思いますし、もちろん、複数のグループに入るビジネスモデルも出てくるとは思いますが、このような分類を自分でやってみることで、ビジネスモデルの組み合わせによって、イノベーションが興るという意味もわかると思います。

ビジネスモデルの組み合わせの例

組み合わせの具体的な例として「ネスプレッソ」を挙げてみます。
上質なコーヒーを簡単に楽しめるコーヒーマシン「ネスプレッソ」ですが、これはカミソリの替刃のようにコーヒーカプセルを補充・交換することで利益が出る仕組みです。

基本パターンとして挙げた「(4)消耗品モデル」がこの部分です。
また、マシン自体がなければコーヒーを楽しめませんので、買い合わせをさせる「(3)合計モデル」が適用されます。

先述の通り、『ビジネスの「基本形」』は一つの側面を見れば単純であっても現実は複合的なものです。既に一般化している「基本形」を上手く転用し組み合わせる「イノベーション」をすることがこれからの「ビジネスモデル」として重要な要素になってくることは間違いありません。

このように、「ビジネスモデル」は『ビジネスの「基本形」』という括りだけで見ても、「シンプルな基本形を表現できる」とも言えますし、「複雑で一言では説明できない」とも捉えられる、とても不思議な用語なのです。

ビジネスモデルの意味 まとめ

これまで、私見ながらビジネスモデルの意味について述べてきました。
簡単にいうと、以下の3つの意味があると思います。

  • 『儲けの仕組み』
  • 『ビジネスの基本パターン』
  • 『イノベーションの土俵』

いかがでしたでしょうか?お役に立てたでしょうか?

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