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ビジネスモデルの一つ「サブスクリプション(定額制)方式」とは何か?

   

新規事業担当者は、常にビジネスモデルのひな形を頭の中に入れておく

新規事業を担当していると、顧客のニーズを調べたり、競合他社に対抗するための戦略を考えたりとやることがたくさんありますが、その中でも事業の収益構造である「ビジネスモデル」を考えずに事業企画を進めることはできません。

最近は、ビジネスモデルキャンパスを使いながらビジネスモデルを考えるような人もいますが、ビジネスモデルキャンパスを書けば、ビジネスモデルが作れるわけではありません。
そもそも、ビジネスモデルには数多くの種類があり(一説には500もあるという人もいます)、その中でどのようなビジネスモデルが、高い付加価値を顧客に届けることができるのか?そして、競合企業に簡単にマネされないのか?といったことを取捨選別する必要があるのです。

多くの場合、ビジネスモデルの検討を後回しにする人がいますが、私はできるだけ早い段階で、たとえば市場ニーズ調査や商品開発プロセスと並行しながら検討すべきだと考えています。
なぜならば、ビジネスモデルを最後に回してしまうと、自社の既存のビジネスモデルを前提とした事業アイデアしか出てこないことがほとんどだからです。イノベーションを興し、業界や市場に大きなインパクトを与えるためには、これまでにない戦い方や付加価値を届ける方法を考えなければなりません。
そのためにも、ビジネスモデルのひな形を常に頭の中に持ちつつ、並行して事業検討をすべきなのです。

ビジネスモデルの「サブスクリプション方式」とは

ビジネスモデルの中でも、もっとも基本的なひな形の一つに「サブスクリプション方式」があります。サブスクリプションとは、 subscription と書き、日本語で「購読」という意味です。
購読という概念は、少々わかりにくいかもしれませんが、具体的な例を挙げると、新聞の定期購読がそれです。新聞を一部づつ購入するのではなく、毎月支払いを続けることで決められた期間は新聞を読むことができる仕組みのことです。
これは、「定額制」とも呼ばれる方式で、ユーザーは商品そのものではなく「商品を利用する権利」に対価を支払うシステムです。

新聞のような物理的な質量(紙)をもった媒体で情報を販売するときに用いられるビジネスモデルが「購読」形式ですが、「サブスクリプション方式」は、これらの媒体を持たない情報サービスやソフトウェアを販売するときに用いられる言葉です。
パソコンの普及によってソフトウェアを販売する概念が生まれたことと、インターネットの普及によってソフトウェアを媒体を持たずとも簡単に販売することができるようになってきたことで、これらのソフトウェアやサービスを定額制で販売する方法が生まれました。

それでは、サブスクリプション方式が普及してきた経緯と背景をもう少し詳しく見てみましょう。

「サブスクリプション方式」が普及した経緯と背景

それでは一体、この「サブスクリプション」という言葉はどのような経緯で普及し始めたのでしょうか?
上述の通り「サブスクリプション」とは元来、雑誌の「定期購読」や「年間購読」といった意味で使われていました。

サブスクリプションがまだ一般的ではなかった時代、ソフトウェアはCD‐ROMなどの記録媒体によって販売されるのが主流でした。新聞が紙媒体で売られていたのと同じですね。
ユーザーは一度ソフトを購入すると永続的に使用することができますが、バージョンアップやサポートの利用料金は別途発生するため、その度に追加料金を支払う必要がありました。
この「買取方式」では、ソフトを使い続ける限り、バージョンアップの度にソフトを買い替えるのと同じくらいの料金が発生する仕組みとなっているため、ユーザーには大きな負担となっていました。

一方サブスクリプション方式は、ユーザー自身が利用期間を設定し、その分だけ料金を支払うといった仕組みです。また、利用期間内であれば無料でバージョンアップをおこなうことも可能です。
ソフトを使用するための費用がすべてイニシャルコストで賄えるうえ追加料金も発生しないので、ユーザーにとっては画期的なサービスと言えます。

また、「サブスクリプション方式」が普及したのには、上述のPCの普及やソフトウェアを販売する機会の出現だけでなく、インターネット技術の発展と普及も大きく関与しています。
つまり、インターネットの普及によって、これまでソフトウェアを購入するためにCD-ROMといった媒体が不要となったことが大きく貢献しているのです。
インターネット技術、とりわけ回線速度の向上とeコマースの実現によって、ソフトウェアをインターネト経由でダウンロードし、決済もネットで完結できるようになったことがきっかけで、このビジネスモデルは急速に普及することになったのです。

「サブスクリプション方式」成功例

サブスクリプション方式を導入したことで成功した企業は数多くあります。まずはその実例を見てみましょう。
もっとも有名な成功例はアドビシステムズではないでしょうか?

2013年、ソフトウェア開発大手のアドビシステムズは、photoshopやillustratorといった主力製品をクラウド販売化したことで、CD-ROMによるソフトウェア販売からサブスクリプション方式での販売へシフトチェンジする意向を明らかにしました。この転換は功を奏し、2015年に売り上げが22%アップ(前年比)し、年間売上記録を見事更新したのです。
サブスクリプション方式を導入したことによる見事な成功例と言えます。

また、サブスクリプション方式はソフトウェア開発業界だけにとどまらず、現在では飲食業やサービス業など、様々な業界で導入されています。
出店数を増やすといった従来のやり方だけでは新規顧客の獲得が難しくなってきた昨今、業界では生き残りをかけてサブスクリプション方式への転換を試みる企業が増えつつあるのです。

サブスクリプション(定額制)の良い点、悪い点

このように多くの企業がサブスクリプション方式を採用するのには理由があります。それは、多くのメリットがあるからです。その反面、デメリットもあります。

まずは良い点から見ていきましょう。
企業側のメリットとしては、毎月の顧客が一定(もしくはそれ以上)の数が見込めるため、売上に安定性が生まれます。
また、商品をプラットフォーム化させることで商品提供企業から広告収入を得ることも可能です。
個々の会員情報が分かるので、有用なデータ収集も可能です。

ユーザーの立場から見ても利点はたくさんあります。
サブスクリプションはいわゆる「レンタル」方式なので敷居がさほど高くなく、気軽に商品を試すことができます。利用料金が明確なのもユーザーにとっては利点となります。また、自身が利用したい期間だけ料金を支払うシステムなので、無駄なくサービスを利用することもできます。

それでは、悪い点とはどのようなものが挙げられるでしょうか?
企業側は使い放題として稼働させる商品を選定する作業に時間と手間がかかりますし、本来の販売価格からオーバーした分をどのようにカバーするのかも考えなければなりません。
また、使い放題システムは画期的でリーズナブルな反面、粗悪なものと誤認される恐れもあり、結果的にブランドのイメージダウンにもつながりかねません。
さらにユーザーに飽きられると解約されるリスクもあります。そのため、商品には常に新しいアイデアを取り入れることが重要です。

このように良い点もある反面、悪い点もあるのがサブスクリプション方式の特徴です。
これらのリスクも踏まえ、自社にとって本当に必要かどうかをしっかり見極める必要があります。

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