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ネスレ、そしてネスプレッソのビジネスモデル「消耗品モデル」を解説しましょう

   

ネスレの事例からビジネスモデル「消耗品モデル」学ぶ

数多くあるビジネスモデルのうち「消耗品方式」または「消耗品モデル」とは、商品の本体部分を低価格で販売し、部品などの消耗品を個別に販売することで、安定的に大量販売できる収益モデルのことです。

商品を一度利用しておしまいになるような状況ではなく、何度も繰り返し商品を利用する必要がある状況で、物理的な部品などの消耗品を利用者によって追加的に買い替えてもらうことで収益を上げるビジネスモデルですね。

そのため、商品本体と消耗品である部品がそろって初めて利用者が求める「価値」を提供できることが前提となります。

この「消耗品」ビジネスの元祖は、カミソリで有名な「ジレット」と言われていますが、このビジネスモデルを応用して成功した会社はほかにもあります。それが、今回解説するネスレです。
それでは、早速、ネスレの事例を見てみましょう。

ネスレの狙いと「消耗品方式」ビジネスモデルの仕掛け

ネスレという会社は、日本ではインスタントコーヒーのブランド「ネスカフェ」などで知られている会社ですが、1866年にスイスでアンリ・ネスレによって設立された世界最大の食品飲料会社です。ちなみに日本には1933年に進出して現地法人であるネスレ日本が設立されました。
ネスレは飲料メーカーであるため、伝統的な「物販モデル」や「物販方式」といったビジネスモデルをとるですが、今回解説するネスレのネスプレッソは「消耗品方式」で成功したビジネスモデルです。

ネスプレッソは専用カプセル方式を採用した一杯抽出タイプのエスプレッソ・マシーンで、「高級レストランで味わうような、ハイクオリティーのエスプレッソをいつでも手軽に楽しんでもらいたい」という想いの下、一般的なコーヒーメーカーとは一線を画した商品として開発されました。

当時、ネスレが強かったのはインスタントコーヒー市場でしたが、コーヒー豆を煎って飲む市場では強さを発揮できていませんでした。
また、従来のインスタントコーヒーは、コップに入れたインスタントコーヒーにお湯を注ぐことで作ることが常識でしたし、または、コーヒーメーカーに市販のコーヒー豆を入れておき、必要に応じて豆を煎って注ぐ方法でした。
これらのやり方では、コップに好きなブランドのインスタントコーヒーを入れたり、コーヒーメーカーに好きなブランドを入れて作ることができてしまうため、利用者を囲い込むことができず簡単に価格競争に陥ってしまいます。

そこでネスレは、コーヒー豆から言ったときと同じ、またはそれ以上の品質の状態を実現する仕組みとしてアルミニウム製コーヒーカプセルを開発しました。アルミニウム製カプセルにすることによりコーヒー豆の酸化を防ぎ、デリケートで変質しやすいアロマを抽出の瞬間まで守ることができるからです。

また、専用カプセルでのみ提供できるエスプレッソマシンを開発することで、本体とカプセルをセットで販売することにしたのです。これによって、マシン購入者は、ネスプレッソの専用カプセルが一杯分の使い切りタイプなので、専用カプセルを継続的に購入することになります。

ネスプレッソは当初法人向けとして開発されたのですが、レストランやオフィスでの需要はあまり伸びず、売上増加が見込めない状態が続きました。そこでターゲットを法人から個人、特に高所得の世帯へとシフトチェンジしたところ、見事にヒット商品となりました。
利益率の高い専用カプセルは、メール注文で顧客へ直接届けるシステムを採用し、わざわざ足を運ばずとも注文ができる上、数日で自宅に届くといった注文方式は、顧客から高い評価を得ることになります。

これが功を奏し、その後ネスレは急成長したのです。現在ではオンラインシステムでの販売をはじめ、デパートにセレブ向けファッションブランドを展開するまでに至りました。

「ネスカフェアンバサダー」と消耗品方式ビジネスモデル

「ネスプレッソ」のビジネスモデルをさらに進化させ成功を遂げたのが「ネスレ日本」です。社名からも分かる通り、ネスレ日本は日本国内にある企業です。

「ネスカフェ」のオフィス需要をさらに拡大させるため、ネスレ日本ではエスプレッソ・マシーン「ネスカフェ ゴールドブレンド バリスタ」を、スイス本社と共同開発しました。
そしてネスレ日本が独自に考案したのが「ネスカフェ アンバサダー」というシステムです。

これまでの流れでは、まだ物販方式のビジネスモデルのままでしたが、すでに消耗品方式ビジネスモデルの原型は整っていました。
ネスレ日本が考えた「ネスカフェアンバサダー」とは、エスプレッソマシンを登録した利用者の会社やオフィスに無料でレンタルするサービスでした。利用者に、本体を無料で手に入れることができるという魅力で訴求し、カプセルを継続的に購入してもう仕組みで収益を上げることを狙ったのです。
その結果、ネスカフェアンバサダーは日本国内で40万件以上の登録となり、2020年までに70万件に増やすことを目標とするなど、今後も著しい成長が見込める原動力となったのです。

このビジネスモデルは、ネスレ本社の重役からも高く評価されました。日本人が開発したこのシステムがスタンダードとなり、ゆくゆくは世界中のネスレで展開される日も近いのでは、と期待されています。

成功企業の「ビジネスモデル・パターン」を自社に当てはめる

さて、ネスレの実例から、消耗品モデルが業種問わず適用可能なビジネスモデル・パターンであることがお分かりいただけたはずです。このように、これまでにない斬新なアイデアを導入することで成功してきた企業は数多くあります。

同業種間のビジネスモデルだとどうしても似通ったものになりがちです。
自社が属する業界にないビジネスモデルを勉強・研究することによって、さらに、これらの成功例を熟知・分析し、自社の製品やサービスに取り入れることによって、今までにないビジネスモデルを生み出せるかも知れません。

たとえばIT業界であれば、アナログ的な業界のビジネスモデルを敢えて組み込むことで意外なヒントがつかめることがありますし、BtoBのビジネスモデルをBtoCの市場に転用したり、その逆をやってみたりする方などいろいろな視点で、新しいビジネスモデルを考えることができるはずです。
数多くの成功企業のビジネスモデルをパターンとして脳内に蓄積することによって、より良いアイデアを生み出せるはずです。

いかがでしたでしょうか?お役に立てたでしょうか?

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