リーダーシップの本質を理解しましょう
リーダーシップと聞くと、チームの先頭に立って率いる能力と認識している方が多いと思います。
しかし、それはリーダーシップの側面の一部であり、正しい認識とは言えません。
そもそもリーダーシップという言葉は正確に定義づけされておらず、様々な解釈がなされています。
特に近年では先天的な資質よりも後天的に身につける要素や能力によって発揮されるリーダーシップに注目が集まっています。
まずはリーダーシップがどういうものであるか、どういう場面で求められるのかについて理解していきましょう。
リーダーシップの3要素とは何か?
英語を訳すると「指導者としての統率力」といった意味合いとなります。
ところが近年リーダーシップという言葉の意味合いは多様化し、中でもビジネスシーンで用いられるリーダーシップに関しては目標を達成するために組織を導く、あるいは組織の内部で役割を果たし、構造を維持することとする考えが提唱され、注目されています。
このリーダーシップには3つの基本的要素があり、
- ビジョンを作成する
- メンバーのモチベーションをコントロールする
- ビジョン実現に向けて課題を解決する
以上の要素が挙げられます。
この3つの要素はリーダーひとりが発揮するだけでは足りません。
構成するメンバー一人ひとりがリーダーシップを発揮することでビジョンの実現につながります。
リーダーシップが求められる場面
技術革新が目まぐるしい昨今、企業には変化に柔軟に対応できる姿勢がより一層必要になります。
それは、経営層や役職者だけに必要な意識ではなく、むしろ現場で企業を支えている一般社員が日ごろから持っておくべきマインドです。
上司の指示に従い、自身の責務を果たすことだけに終止せず、自分自身で考え、より良い方向性を見出そうとする人材が今の時代、企業が真に求める人材像といえます。
しかし、向上心に溢れた人材であっても実際に行動を起こし、結果を生まなければ企業にメリットをもたらすことはできません。そこで必要になる力こそがリーダーシップなのです。
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ここで認識すべきことは組織を中心で率いていく統率力や他者を惹きつける求心力だけがリーダーシップの意味することではないということです。
組織として活動していくのに必要なのはむしろ構成するメンバー一人ひとりのリーダーシップです。
組織としてビジョンを持ち活動していくことの難しさを理解したうえで、その場におかれた状況を的確に読んで、適切な言動ができるようなリーダーシップを発揮できる人材が組織にいることでプロジェクトは大いに成功に近づくでしょう。
リーダーシップを発揮できる人は、組織の先頭に立って指揮命令を得意とする人ではなく、他者の気持ちや、状況に応じて適切な対応ができる人や、自身でしっかり考えビジョンを形成し、そのビジョン実現に向かってチームとして努力できる人といえます。
リーダーシップとマネジメントの違い
リーダーシップについて最も多いのはマネジメントと混同して認識してしまうことです。
マネジメントはガバナンスを利かせて組織を統制していく管理を求められるのに対し、リーダーシップはメンバーの能力を引き出すことを求められます。
つまりマネジメントと違い、その役割を担う人の役職や立場を問わないのです。
リーダーシップを発揮する際に組織のメンバーが行動を起こすパターンとして「信頼」と「恐怖」という2つの心理的背景があります。
恐怖によるマネジメント。つまり精神的苦痛を与える威圧的な指示はリーダーシップとは言えません。
良いリーダーシップを発揮する人は、人を「信頼」で動かすことで、メンバーがもつ能力を最大限に発揮させることができるだけでなく、長期的かつ継続的に高いパフォーマンスを維持させることができるのです。
行動する動機が「信頼」か「恐怖」なのかで得られる成果も変わってきます。
当然、それはプロジェクト成功に直結します。本当の意味でリーダーシップを発揮できる人は年齢や役職、男女問わず様々な人を巻き込みながら、プロジェクトを成功に導くことができるはずです。
リーダーシップとマネジメントの違いを正しく認識して、必要に応じた能力を発揮することができれば企業の発展に大きく寄与する事でしょう。
まとめ
リーダーシップについてどんなものなのか、どういった場面で期待されるのか理解する参考になりましたでしょうか。
リーダーシップは生まれ持った資質ではなく、身につけることができる能力です。
例えば、会議の場面で自分の考えを述べるだけでなく、周りの様子に気を配り、会議をより充実したものにすることができたならばそれもリーダーシップの一つといえます。
逆にプロジェクトを成功させようと必死になるあまり、チームとしての和を考えずにメンバーに強く命令して行動させるような言動は、リーダーシップの誤った運用と言わざるを得ません。
そして、リーダーシップは組織の代表者や上司だけが発揮すればいいというものではなく、一人ひとりにリーダーシップが求められるということを認識しましょう。
ビジョンを形成し、組織としてビジョン実現に取り組む中で、チームとしてのモチベーションを上げていく役割を担うのはむしろ現場の社員に必要なリーダーシップです。
リーダーシップはメンバーを支配する事ではありません。マネジメントとも大きく違います。
マネジメントの機能は「管理」であるため、組織にマネジメントの役割を持つ人が複数人いると混乱を招く事態となりますが、リーダーシップは全員が発揮してもいいものです。いや、発揮すべきことなのです。
組織としてのパフォーマンスを最大まで引き上げようと思うのなら、リーダーシップとマネジメントを混同しないようにしなければいけないのです。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。