PEST分析は経営の羅針盤
PESTはフィリップ・コトラー氏が環境分析の重要性を説いたものです。
ことらーは「調査をせずに市場参入をしようとするのは、目が見えないまま市場参入をするようなもの」として、マクロ環境の重要性と、それを知るためのツールとしてPEST分析を提唱しました。
PEST分析とは4つの外部要因を分析するツール
PEST分析は、Politics(政治)、Economy(経済)、Society(社会)、Technology(技術)の4つの要因を分析するための手法です。それぞれの頭文字をとって、PEST分析といいます。
主に、経済戦略や海外戦略の策定、マーケティング戦略を行う場合に用います。
自社を取り巻くマクロ環境を把握し、現在から未来にわたってどのように影響を及ぼすのかを把握し予測するためのツールです。精緻な分析をすることによって、自社の組織、製品・サービスをより時代に即したものとしていくことで、生き残りを図ることができると言われています。
PEST分析の提唱者コトラーとは
フィリップ・コトラーPhilip Kotler氏は、ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院のSCジョンソン特別教授を務めています。経営学者であり、マーケティングの第一人者でもあります。日本でも数多くの著書が翻訳され、読まれています。
マーケティングの概念を誰でもわかりやすく簡単に説明して「近代マーケティングの父」「マーケティングの神様」などとも呼ばれています。
主な主張として「マーケティング」を、生産物を処分するだけの技術ではなく、顧客にとっての価値をも生み出す活動で、顧客の生活向上を支援するための概念でもあると位置付けたことや、マーケティングの「役割」を、刻々と変化していく人々のニーズを収益に結びつけるための概念と説き、マーケティングの本質を周知する活動をしていることでも有名です。
経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。
PEST分析の進め方と手順
PEST分析を行うときには、まず何のための分析なのか目的を再確認する必要があります。予め市場の変化に対する仮説を立てておくことも有効です。ここでは、PEST分析の基本的な進め方と手順について、ざっくり解説しましょう。
1. PEST分析の目的を理解する
自社の置かれた競争環境を具体化して今後起こりうる変化を予測・把握することで最良の戦略を描くことにつなげるためには、そもそも自社の課題、自社が属する課題といったものをおぼろげながらも認識しておくことが必要です。
そういった課題意識をもってPEST分析をすすめないと、ただの穴埋め問題を解いているだけになってしまいかねません。
基本的に、PEST分析の目的として以下のような事柄が考えられます。
- 市場の変化をつかみ事業機会につなげる
- 市場の変化を見逃さず、自社にとってのリスクに備える
2. PESTの情報を集める
目的が明らかになれば、今度は実際に情報を集めます。
P、E、S、Tの4つの要因について、できるだけ広範囲にわたって情報を集めます。
この段階では、情報の精査は行いません。
また情報は、関連する業界リーダーの研究開発の動向や市場調査レポートなども活用できます。
3. 分類する
集めた情報を活用するために、それぞれP.E.S.Tの4つの要因に分類します。
当初の目的を改めて確認し、仮説を立てて集め始めた情報を要因ごとに細かく検証します。このとき、自社にとって、都合の良いことと、悪いことに分けて整理しておくと、次の作業が楽になります。
4、示唆を出す
分類した情報を4つの要因について、「機会とリスクのどちらに該当するのか」を見極めます。
この段階が一番大切で、自社を取り巻く市場環境に潜むビジネスチャンス=機会とリスク=課題を明らかにすることで、より効果的なマーケティング戦略を打ち出すことができます。
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PEST分析の4つの環境要因
PEST分析は4つの要因について、自社に関わるマクロ環境を分類して分析するフレームワークです。それぞれについて押さえておきます。
Politics(政治的要因)
政治的要因とは、法律や税制、公的な支援制度や国際的な動向などを指します。市場競争の前提とも言えるルールそのものに多大な影響を与えます。
政治的要因としての法律や税制、公的な支援制度、国際的な動向は事業活動を制限することもあります。特に自社の業界に対しての規制などは一見ネガティブにとらえがちです。適切な対策で競合他社に対して優位に立つ可能性も秘めています。また、公的支援制度などはポジティブな要素として大いに活用したいものです。
Economy(経済的要因)
経済的要因では、景気や株価、物価また雇用情勢や賃金の動向などを分析します。
経済的要因では消費者の購買意欲・購買傾向に目が行きがちですが仕入れコスト、製造コスト、輸送コストや人件費などより具体的な戦略が必要とされます。イメージや雰囲気で社会全体の景気が良いように見えても、自社業界はその波に乗れていないことも考えられます。成長戦略の実施については、毛剤の動向をよく見極め適切なタイミングで戦略を立てる必要があります。
Society(社会的要因)
社会的要因では、人口の増減、世帯構成の変動、文化・流行、犯罪や地球環境などの社会問題、世論、教育、宗教などが影響します。近年、SNSなどの広がりにより人間関係のつながり方も変化してきました。
社会的要因は、生活者の購買活動に大きく影響を及ぼします。世の中のトレンドで、それまでの常識は通用しなくなることもあります。流れに乗って行くだけではなく、新たな流れを作り出す役割を模索するなどの方向性も見出せるかもしれません。
Technology(技術的要因)
技術的要因では、技術の進化やビジネスの自動化、特許など多様なビジネスチャンスをはらんだ市場環境を表します。
技術の進化は、あらゆる分野でビジネスチャンスを生みます。進化のスピードも一定ではなく、時に想像を超えた進化をもたらすこともあります。
そのため日々の情報だけではなく、開発途上の技術についても予測し対策していくことが求められます。次世代技術の出現やモデルチェンジなどタイミングを逃さず事業戦略を構築することで競合他社に差をつける好機ともなりえます。
まとめ
PEST分析を適切に行うことにより、自社を取り巻くマクロ環境に取り残されることなく事業戦略を推し進めていく気縁を作り出すことができます。
分析するだけにとどまらず自社の事業目標を、その都度より具体化していくことは新たな可能性も見いだすきっかけとなります。
経験上、マーケティングやビジネス関連のフレームワークの勉強には、イラスト動画が一番効率的だと思うので、作ってみました。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。