アイデアを可視化することで、さらなる新しいアイデアが生まれる
アイデア出しの時に付箋紙やホワイトボードなどにアイデアを書き出すと、次の新しいアイデアを思いつくことってありませんか?
ひとりでアイデア出しをしたり、少人数でブレストをするときには、まずは手を動かしてアイデアを見えるようにするのって、結構有効な手段なんですよ。
「いつもアイデア出しの会議って、あっと言う間に時間だけが過ぎていく…」。そんな悩みを持つファシリテーターの解決策にはこのような工夫による「可視化」が一番なんです。すぐれたファシリテーターなら、必ずホワイトボードや付箋紙を使って、アイデアを見えるようにする工夫をしているはずですよ。
ということで、今回は、ファシリテーターが会議の場で、どんなことを課題だと感じていて、どんな工夫をして乗り越えようとしているのかを、そしていかにして生産性の高い会議を生み出そうとしているのかを述べてみたいと思います。
参加者の発言を促すことにファシリテーターの約8割が対策しているが…
スリーエムの調査によると、ブレストやアイデア出しといった会議をファシリテーションするときに、ファシリテーターが参加者から発言してもらうために工夫を「している」と回答した人は、全体の約8割いるとのことです。
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ただし対策の中身となると、発言しやすい場づくりの工夫が中心であり、積極的な発言を促すまでは至っていないようです。
“順番に発言させる(営業・営業企画/男性)”
“冗談でも何でも気軽に発言できる雰囲気作りをする(技術系・ソフトウェア関連/男性)”
“どんな意見も否定しない(事務/女性)”
発言しやすい場づくりは、ファシリテーターの基本的な役割であり、必要な技術でもありますが、それだけでは会議の生産性は上がりません。さらに踏み込んだ対策が必要でしょう。
声が大きい人の意見に流されず全員が意見を出せる工夫が必要
では、会議の場づくり以外にファシリテーターが会議の生産性を高めることができる工夫とは何でしょうか?
いや、その前にファシリテーターが実際の進行の場で悩んでいることとは、何なのでしょうか?
ここでも前述のスリーエムの調査結果を参考にして見ましょう。
具体的には、「結局、一部の人の意見に流されてしまう」(23.9%)、「活発にアイデア・意見が出てこない」(23.2%)
多くのファシリテーターの悩みは、どうやら声が大きい人の意見に流されず全員が意見を出せようすることのようです。
付箋やホワイトボードに書き出すことで新しいアイデアが生まれる
目に見える文字として自分の意見やアイデアを書き出すことで、自分が何を考えているのか、思っているのかといったことを自分自身で整理することができたという人も多いのではないでしょうか?また、それによって、違った考えが思いつくこともよくあることです。
そして、この付箋やホワイトボードに自分の意見やアイデアを書き出すことの最大のメリットは、口頭で話すことによる空中戦をさけることができることです。
口頭で議論をしていると、どうしても声が大きい人のほうに引きづられてしまったり、いつのまにか議論がかみ合わず、論点がぼやけてしまいがちです。
文字として書き出したことを未ながら話すことで、こういった空中戦をさけることができるのです。
詳しくは過去記事に詳しく触れてるので、すぐ使えるファシリテーターの「超」簡単会議進行テクニックもご覧ください。
たとえ偉い人や声が大きい人がいたとしても、文字自体が権威や圧力を持つことができないので、こういった可視化によって、どんな意見も平等に扱うことができたり、だれでも必ず意見をだすことができるようになるのです。
アイデアの可視化によって、高い付加価値が生まれやすくなる
全員の意見やアイデアを可視化することで、似たようなアイデアを集めてグループ化してみたり、なんらかのフレームワークを使って整理することができるようになります。
付箋紙を使うと何度も張り替えて、場所をスムーズに移動できるので、ポストイットとホワイトボードは、アナログ的な手法ですが、やはり有効な組み合わせでしょう。
このようにグルーピングをしてると、グループ化するための軸やグループの名前を、自然と考えることになります。この作業は実はバカにならなくて、軸や名前を考えることで、無意識のうちに抽象化といった行為を行っていることになります。
この抽象化は、目に見ていることをさらに上位概念や俯瞰的な立場で本質を探るといったことになり、別の視点やヌケモレを見つけることになります。
それによって、新しいアイデアや示唆、気づきが生まれたり、まったく違った本質的な議論に発展することもあるのです。
アイデアの可視化によって、結論も出しやすくなる
ファシリテーターの悩みのひとつには、結論を出すこともあります。
このような意見やアイデアを可視化する作業と、抽象化や示唆だしといった作業を行っているうちに、時間が経ち、そろそろ結論をださないといけない頃合になってきますが、ファシリテーターはタイミングを見計らって、参加者に対して結論を出すことを促さなければなりません。
納得性をもった結論を出すためには、ファシリテーター自身が結論を出すのではなく、あくまでも参加者自身が結論を出す必要がありますが、深い議論がすすみ、多種多様な意見やアイデアがでた会議であればあるほど、自らすすんで結論を出すのは、多くの人がためらうものではないでしょうか?
そんなとき、やはりアイデアや示唆などが可視化されていると、結論が出しやすくなるものです。ホワイトボードにグループ化されたアイデアをひとつ高い観点から、参加者全員で眺めて、議論を交わしているうちに、次第に課題意識が共有されたり、結論らしきものがぼんやりと見えてくるはずです。
ファシリテーターは、機を逃さす、参加者に対して結論だしを促すことで、納得性の高い結論と生産性の高い会議の締めくくりができるはずです。
まとめ
ファシリテーターにとって活躍の場でもあり、悩みの多いブレスト会議やアイデア出しですが、付加価値が高いアイデアを生み、生産性の高い会議を生み出すためには、ファシリテーターが参加者全員から発言してもらいやすい場作りだけでなく、アイデアを可視化することが重要です。
可視化することによって、頭の中が整理され、抽象化され、あたらしい気づきや示唆がうまれます。
また、それによって、声の大きい人に左右される会議と決別することもでき、納得性の高い会議を生み出すことができるようになるのです。
今回はここまで。
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著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。