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ファシリテーターの役割を整理してみました

      2018/11/05

ファシリテーターが担う役割の全体像

まず、ファシリーテーター(facilitator)とは何かというと、ファシリテーション(facilitation)を行う人を指します。
では、ファシリテーションとは何かというと、それは「なんらかの目的で集まった人が、その目的を達成するための議論や行動を円滑にできるように調整したり、促進したりすること」です。つまりファシリテーターとは、「促進者」であり、「潤滑油」の役割を担うといえるでしょう。

このようなファシリテーションが求められる場とは、たとえば企業で実施される一般的な会議から、自治体などが開催するタウンミーティング、教育機関などで行われるワークショップなど幅広いものがありますが、いずれにしろ、多種多様な人々が集まって各自の問題意識を前提とした議論を行うことから、いろいろな角度や視点から発言がされるため、議論の場が混乱してしまう場合などもあります。
そのため、参加者が公平に取り扱われているという安心感を作り出すため、議論で出てきた意見やアイデアが、発言者の立場に左右されない平等な場を維持することで、参加者の思想や思い、知識や情報などが共有できるよう場をコントロールする必要がでてきます。
もし発言者が話が上手な人であったとしても、逆に下手な人であったとしても、ファシリテーターは、その場で何が起こっているかを常に第三者の視点にたって、客観的な立場で、会議の目的に向けて場をコントロールするのです。

ファシリテーターの主な役割

それでは、ファシリテーターの主な役割について述べていきましょう。
そもそも、会議の目的に向けての参加者の合意形成までファシリテーターが導くには、「発散」と「収束」を繰り返すことが必要です。

つまり、まず前提条件として、参加者からできるだけ多くの意見を引き出すことが必要なのですが、この段階が「発散」のステージです。
ファシリテーターは、 参加者からより多くの意見を引き出すために、参加者が本気で話し合うように誘導することとなりますが、その結果、意見の対立やジレンマ、そして衝突が生まれることも想定されます。
意見の対立をそのまま放っておくと、場自体が壊れてしまい、目的を達成することができません。そこでファシリテーターは、参加者の思いや経験などより深いところからすべて吐きだしてもらうように促すことで、相互の理解を深めることで、意見をまとめていくことが求められるのです。

この「発散」と「収束」を繰り返すことにより、より多くの参加者が納得できる解決策を導き出すことで、会議の目的が達成されるのです。そのような中、ファシリテーターには主に以下の4つの役割があると考えられます。

役割その1 話し合いの場の設定

まず、本格的な議論が始まる以前にファシリテーターに求められていることは、会議の場そのものが、参加者が納得する話し合いの場となるように場をコントロールする役割があります。

会議への参加者には、それぞれの思想や思い、経験や知識といった個別に保有している「こだわり」といったものが少なからずあるものですが、参加者の中には「こんなことを言ったら馬鹿にされるのでは・・・」「無視されたら悲しいな・・・」「変なこと言ってしまったら恥ずかしい・・・」といった心配をしている人もいるのも事実です。

そこで、ファシリテーターは参加者が持っている有益な情報を引き出すために、参加者が気兼ねなく、攻撃される心配がないという「場づくり」が必要となってきます。
具体的には、たとえばブレストであれば、相手の批判禁止といったルールを明確にするなどして安心感をつくる必要があるかもしれません。もしかしたらアイスブレークをはさんで、気楽な雰囲気を作る必要があるかも知れません。
ファシリテーターは場の空気を読みながら、適切な対応によって話し合いの場の設定をする必要があるのです。

主な準備事項として以下があげられます。

  • 会議の目的を決めておく
  • 参加者の人数とメンバーを決めておく
  • 会場をおさえておく
  • アイスブレークを考えておく
  • 批判禁止などのルールを決めておく

役割その2 参加者の対話と発散の促進

いざ議論が始まったら、ファシリテーターは参加者に発言を促す役割を担います。
最初に発言するのが億劫な空気を感じたら、積極的に、たとえ話をしてみたり、自分の経験を使ってみたりしながら、参加者に話を振るなどして、対話をスタートさせる必要があります。資料を準備できるなら、資料についての意見を求めることから始めるのもいいかもしれません。

対話が進み、参加者が自ら発言するようになってきたら、ファシリテーターの役割は次のステップにすすみます。それが「傾聴」「理解」「情報の共有」です。
人は話を聴いてもらえると安心するものです。様々な意見を発言してもらうためには、発言者が安心できる場、つまりきちんと聴いてもらえる場をつくることが必要であり、ファシリテーターにとっての重要な役割です。

いずれにしても、発言者に対する意見やアイデアによりそって、興味を示すことで、より深く理解したり、ほかの参加者と意見を共有する役割です。つまり、話しを聴いてもらえる場をつくるには、人の話をただ聞くのではなく、発言者の目を見、うなずきながら聴き、質問することで興味を示し、さらに丁寧に聴くという行為が重要になります。

この役割はファシリテーターが会議を円滑に運ぶことが出来るかどうかの鍵となる役割なので、もうすこし詳しく解説していきましょう。

ファシリテーターに必要な傾聴のテクニック

「聞く」と「聴く」の違いは何でしょうか?
一般的には、「聞く」とは、耳で理解する、言語として識別・認識するといったことではないでしょうか?また、「聴く」とは、心で理解する、言語ではなく文脈から理解するといったことではないでしょうか?

傾聴に必要なファシリテーターの姿勢

積極的に傾聴するためには、ファシリテーターの態度や姿勢が重要な役割を果たします。次のようなことに注意を払う必要があります。

  • 発言の意図や目的を聴く
  • 言葉の意味・発言内容を理解する
  • 発言の裏側にある本音や気持ちを聴く
  • 背後に隠れている感情や心理を聴く
  • 口調・表情・態度で相手の真意を読み取る

ファシリテーターが傾聴していることを示すコツ

傾聴にはコツがあるので、知っておくだけでも相手から発言を引き出すことができるようになります。たとえば、相手が何を言うかと考えているときに、ファシリテーターが時間を気にして、勝手な解釈をしてみたり、あれこれ質問したりすると、相手は発言を控えてファシリテーターの解釈に従ってしまったり、混乱してしまったりします。
ファシリテーターも、自分が発言しなくては、と思った瞬間に、もっとも注意を払わなければならない発言者の話が耳に入らなくなってしまいます。
そういった状況を避け、積極的に傾聴するためのコツとしては、次のようなことが考えられます。

  • 相手の沈黙に耐える
  • あえて発言しない
  • あえて突飛な意見を言ってみる
  • 相手の発言を繰り返す・言い換える
  • 相手の目を見る
  • 相づちを打ち、うなずきながら聴く

傾聴を深めるための質問のテクニック

ファシリテーターは発言者に対して効果的な質問をなげかけることで、「聴いてもらっている」という安心感を与えることができます。また、質問をすることで発言者が気づいてないことを気づかせてあげることができるなどの副次的な効果もあるでしょう。
つまり、本当の答えは、発言者の頭の中にあるあるものであって、ファシリテーターはそれに気付いてもらえるように促すことが役割ということです。
そのためにも、発言者により深く考え、しかも安心して回答できるように促すことが重要なのです。

つまり、発言者の内容から、ファシリテーターがいきなり解決策を提示するのではなく、まずは、発言者のことを「聴く」ことで「なぜ、そう思うのか」「なぜ、そういえるのか」といった効果的な質問のテクニックが必要なのです。

  • わかりやすい質問をする
  • 素朴な疑問を投げる
  • 短い質問をする
  • 別の視点や立場から聞く
  • 前提を崩す質問をする

一見、質問するのは簡単なように思えて、効果的な回答を引き出し場を活性化するのには、実は結構難しいものです。以下に、特に気をつけておくべきことをまとめましたので、参考にしてみてください。

  • 長ったらしい質問にならないようにする
  • 詰問調にならないようにする
  • 自分の意見の主張にならないようにする
  • 孤立させるような質問にならないようにする
  • 質問を誰かに集中しないようにする
  • 無意味な質問や意図が不明確な質問にならないようにする

役割その3 意見やアイデアの収束の支援

会議やアイデアだしなどの話し合いの場では、ファシリテーターが多種多様な参加者から様々な視点の意見を、積極的に聴き出すことが重要と説明しました。この「発散」のステージの次は、出てきた意見をまとめる「収束」のステージです。
つまり、要約やグループ化・類型化などの経て、最終的な合意に導いていくことになります。

この「収束」と「合意形成」を進める中で注意すべきことは、ファシリテーターは、会議やアイデア出しで唯一の「正しい」答えを探すのではなく、「落としどころ」を探す姿勢で取り組むことが重要であることを理解しておく必要があります。
そもそも、人の思いや思想が絡み合うリアルな世界では、正しい答えというものは、その時々の状況や時代背景によって異なってくるものです。

ファシリテーターは、「正解」や「不正解」という狭い二者択一の世界で判断するのではなく、現在の状況もっとも適した「落としどころ」を見つけられるように、関係者の間を取り持ちながら、会議を進めることが求められるのです。

では、「合意がされた」とはどういった状態を指すのでしょうか?満場一致で全員が賛成することが必要なのでしょうか?
実は、多種多様な関係者が参加するリアルな会議では、このような満場一致という状況は、めったに起こりません。
そこで、ファシリテーターは、全員が納得しない「答え」であっても、積極的な反対意見がない状態を探し、それをもって「合意」とできる最もベストに近い着地地点を探すことになります。

そのため、もっとも意見が分かれる論点を探り、片方だけが折れてしまうような状況を避け、相互に歩み寄ることができるような最適解のために、どこまでお互いが許容できるのかを見極めるのがポイントになります。
人は、言葉だけが口頭で飛び交っている状態では、論点は何か?着地地点はどこかといったことに対して不安になるものです。
そこで、ファシリテーターは、ホワイトボードなどのツールを使い、意見の集約をしながら「落としどころ」を参加者にわかりやすく整理することが必要になってきます。

  • 会議の目的の明示
  • 全体における現在の議論の位置づけの明示
  • でてきた意見の要約とリスト化
  • 図解イメージによる理解の共有
  • フレームワークによる全意見の整理

役割その4 参加者間の合意形成

会議の最終段階では、「落としどころ」つまり相互に妥協できる最適解の模索と合意形成をすすめるにあたり、ファシリテーターが特に注意を払うべきことがいくつかあります。
会議とは、様々な意思を持った人間が集まって意見を言い合う場なのですから、 合意形成をしようとすると、当然、意見の対立やジレンマ・葛藤そしてコンフリクト(衝突)が生まれることがあります。
そんなとき、議論をコントロールするのがファシリテーターなのであり、まさに「見せ場」でもあるのです。以下にファシリテーターが注意すべき点を上げておきます。

  • 意見の対立に積極的に介入し妥協点を探る
  • 目先の心地よい解決策を提案しない
  • 問題の本質を探り、論点・対立点を明確にする
  • 参加者の腹落ち感が得られるまで、意見の根拠を聴きだす
  • 一方の意見に肩入れすることなく、相互に妥協点の模索を促す
  • 落としどころに対する納得感を高める

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