シェアリングエコノミーとは?
シェアリングエコノミーを一言で説明すると、誰かの所有物を誰かとシェアすることを支援するビジネスのことです。
たとえば、自宅の空き部屋を旅館やホテルとして旅行客に提供したいと思っている人がいるとします。
その一方で、旅行先はできるだけ安価で、しかも現地の生活に密着できるような旅行を計画したいと思っている人がいるとします。
このとき、空き部屋を提供したいと思っている人が、旅行客にタイミングよく空き部屋や価格などの情報を知らせることができれば、もしかしたらお互いがハッピーになるかもしれません。
ただ空き部屋を提供する側としては、集客する方法がありません。また、自分の都合にあわせて予約を入れるような仕組みがないことが問題です。
旅行客としては、これらの安価な空き部屋を探す手立てがないことや、利用客などの実際の声を聞いてみて自分で調べる方法がありません。
単純化して言ってしまえば、このようなお互いのニーズを満たすべく登場したマッチングビジネスが、シェアリングエコノミーなのです。
マッチングビジネスは銀行なんかでも行われているように、昔からあるしくみですが、画期的なのはサービスを提供したい人が、なんらかの所有物をシェアすることで、提供者も利用者もお互いがハッピーになるということです。
ある所有物をシェアするからシェアリグエコノミーというわけですね。
ちなみに、シェアする対象は上の例であげた空き部屋だけではありません。自宅前の駐車場スペースや、自動車もあります。面白いものとしては、なんと傘のシェアもあります。
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シェアリングエコノミーのビジネス戦略
シェアリングエコノミーのビジネスモデルはマッチングビジネスだといいましたが、ビジネス戦略としてはプラットフォーム戦略です。
プラットフォーム戦略とは、マッチングビジネスを行うインフラを提供する戦略のことです。
プラットフォーム戦略として有名な例として、据置型ゲーム機ビジネスがあります。任天堂やSONYなどの据え置き型ゲーム機メーカーのビジネスモデルは、ハードとしてのゲーム機を提供することで、ゲームソフトを開発するゲームソフト会社と消費者をマッチングさせるビジネスモデルです。任天堂やSONYは遊べるソフトの品質を高く維持するようにコントロールすることで消費者のニーズを満たし、ゲーム機自体の価値を高めるのです。
ネットでレシピを提供しているクックパッドもプラットフォーム戦略の代表格でしょう。
クックパッドはインターネットを介して、レシピを探している人とレシピを公開したい人のマッチングを行っています。ただし、クックパッドはレシピを制作して収益をあげるのではなく、あくまでもお互いのニーズを満たしてあげるプラットフォームを提供しているに過ぎません。レシピは無料で提供しているので、基本的にはクックパッドにはレシピの閲覧による収益は発生しません(一部課金しているレシピもあります)。
その代わり、レシピと密接な関係にある料理関連ビジネスのプレーヤーによる広告出稿で収益を上げているのです。
このように、プラットフォーム戦略は、ニーズをマッチングするビジネスと密接な関係にある戦略ですが、シェアリングエコノミーもまさに、プラットフォーム戦略に適合したビジネスモデルとなっています。
では、これらの伝統的なプラットフォーム戦略をつかったマッチングビジネスと、シェアリングエコノミーの違いは何でしょうか?
それは、シェアリングエコノミーは、スマートフォンとソーシャルメディアを使って、個人の所有物であってもシェアできてしまうビジネスだということです。
スマートフォンの普及でアプリなどの操作で簡単に、個人ベースでいろいろなニーズがマッチングできるようになったことと、また、ソーシャルメディアで利用者の声や評価が共有(まさにシェア)できるようになったことで、これまでの伝統的なマッチングビジネスと違う手軽さ、高品質、低価格などの新たな付加価値を提供できているのです。
ちなみに、シェアリングエコノミーとして近年とくに注目を集めている企業に、以下があります。
airbnb(エアー・ビー・アンド・ビー) ・・・ 上で挙げた空き部屋のマッチングビジネスです。
ウーバー ・・・ タクシーやハイヤーのマッチングビジネスです。
[audible]
問題点
ここまで読まれた方で旅行業界やタクシー業界に精通している方がいれば、気が付くことがあるはずです。
それは、旅行もタクシーも国に規制されているビジネスだということです。旅館やホテルは旅館業法によって規制されています。タクシー業界の道路運送法ほかの規制が存在しています。
つまり、自宅の空き部屋を旅館がわりに提供するのであれば、事前に国に事業主として申請し許可を得る必要があるということです。タクシーも同様です。
これらの規制や法律を無視すると、いかに利便性がたかくても違法行為となってしまいます。
実際、ウーバーやAirbnbは海外で普及をすすめるにあたり、これらの各国の規制によって守られている業界からは、さまざまな反発にあっているという側面もあるのです。
今後、業界からの反発もふくめて、利用者の利便性や法制度の充実などが求められているビジネスだと思います。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。