ドミナント戦略のその驚異的な力とは
ドミナント戦略とは、特定の地域エリアにおいて、他社を圧倒するほどの出店を集中的におおなうことで、地域における高いシェアを維持する戦略です。
こういった集中的な出店攻勢を行うことで、地域における独占的な地位を確率することを目的としています。
有名なのは、セブンイレブンなどを代表とする小売店業であり、同社がドミナント戦略を始まめたことによって、近年は、小売店以外の産業(例えば外食産業のスターバックスやマクドナルドなど)においても、その驚異的な有効性からドミナント戦略をとる企業が増加しているように思われます。
ドミナント戦略の有効性とは
それでは、まず最初にセブンイレブンなどの事例から証明されているドミナント戦略の有効性を確認してみましょう。
ドミナント戦略の有効性は、主に以下の5点に集約できると考えられます。
①コスト削減効果、②販売促進効果、③独占的利益効果、④労務管理効果、⑤新規参入阻止効果。
①コスト削減効果
まず最初に考えられるのは、物流コストの削減です。店舗間の配送距離が短いので配送時間も短くできるため、結果として物流コストの削減ができると考えられます。
同様に、地域を担当するマネージャーが店舗間を巡回するコストの削減もできますし、そもそも、そのマネージャーの人数も減らすことができるでしょう。
また、頻繁に目にする身近な存在として認知されることができるので、テレビコマーシャルを出す必要がなく、逆に効果的な地域限定の広告を出すことができたりすることで、一店舗当たりの広告費を圧縮することができますし、地域に集中的に店舗開発をするので、出店時の地域調査にかかるコストも抑えることもできるでしょう。
このように、コスト削減効果は、大きく以下の4つがあると考えられます。
- 物流コストの削減
- 管理コストの削減
- 広告コストの削減
- 店舗開発コストの削減
②販売促進効果
上で公告コストの削減ができることで述べたように、ドミナント戦略によって、頻繁に目にする身近な存在として認知されることができるので、地域に広く認知されやすいという特徴があります。
これによって、まわりの誰もが知っているという安心感や信頼性も向上させることができます。
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③独占的利益効果
一般的に、市場を独占することで、商品やサービスの販売価格を高く設定することができます。ドミナント戦略でも、同様にその地域での価格を高く設定することができるので、結果的に広いエリアで独占的な利益効果を上げることができると考えられています。
高い価格設定だけでなく、地域にいるライバル企業が少ない状態であれば、不必要な価格競争が発生することもなくなるので、結果的にも高い利益を上げることができるのです。
④労務管理効果
上で述べたように、地域を担当するマネージャーが店舗間を巡回するコストの削減もできますし、そもそも、そのマネージャーの人数も減らすことができます。
また、その地域での知名度が上がることによって、スタッフのモラルやモチベーションも上がり、結果的に効率的な労務管理ができると考えられます。
⑤新規参入阻止効果
ドミナント戦略では、獲得することができる空間(地域)は有限であり、一旦専有した空間には他社が入り込めないというの大前提があります。
つまり、その限られた空間の中で、できるだけ多くの空間を自社で占めることができれば、売上や利益はその空間の広さに比例していくだろうという発想です。
要するに、パイの奪い合いであり、先に高いシェアを確保してしまえば、その地域は他社が新規参入しようとしても勝てる見込みはないので、出店計画段階で出店を見送ると判断されやすくなるということです。
この新規参入阻止の効果がドミナント戦略の真骨頂だと思います。
ドミナント戦略のデメリットとそれを凌駕する爆発的な効果
上記に述べたような数多くのメリットがありながら、ドミナント戦略にはデメリットも存在します。それは、「共食い」です。
共食いとは、簡単に説明すると、商売の機会を仲間同士で奪い合うことです。
たとえば、一人のお客さまに対して、ある企業が似たようなコンセプトの製品を同時に提供しようとすると、販売にかかる工数が倍かかることになるので、生産ラインの非効率化が発生したり、二重投資などの問題が起こることになります。
また、本来であれば店舗と店舗の距離を広く取ったほうが、同一ブランド間での顧客の奪い合いが避けられるので、広い商圏を設定することができ、店舗単位の利益効率は高くなるはずなのです。
しかし、このドミナント戦略では、共食いが生じることをおそれず、店舗間の距離を近くに配置することによって地域を独占することに力を注ぎます。
その結果、ライバル企業やブランドが存在しない空間を意識的に作り出すことができるのでそのエリアの顧客を独占することができたり、不要な値引き競争がなくなるといった効果を上げることができるのです。
それ以外にも、店舗間の距離が短いため、商品の運送や、広告などを効率化することも可能となる効果のほうがデメリットを上回ると考えられるのです。
こういった共食いを起こす可能性がある手法ですが、競争の激しい地域では率先してドミナント戦略をとることで、競合を排除することができるためデメリット以上の効果を上げることがあると考える企業が多いようです。
たとえば、セブン─イレブン、スターバックス、マクドナルドなどがこのビジネスモデルを採用しています。
ドミナント戦略の仕組み まとめ
ドミナント戦略が威力を発揮する仕組みを解説しましたが、まとめると、ドミナント戦略の有効性には5つあって、①コスト削減効果、②販売促進効果、③独占的利益効果、④労務管理効果、⑤新規参入阻止効果でした。
そしてデメリットとして、共食いがあるものの、それを凌駕するほどの効果を上げる戦略なので、多くの企業で採用されている戦略でした。
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著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。