MBAの志望動機の書き方は、ビジネススクールによって違う
志望動機の項目や課題を具体的に示して提出させる場合もあるし、ない場合もあります。
また、課題の数も字数も違うし、出題や提出の方法もいろいろです。
研究計画書と一緒になっている場合もありますし、そうでない場合もあります。
国内でMBA取得を目指す場合と、MBA留学する場合とでも違っています。
ただし、基本的にはどのビジネススクールであっても、国内の大学院であっても、ビジネススクールへの入学審査には受験者に志望動機の提出を求めているはずです。
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志望動機の書類は、単独でも重要な意味をなしますが、インタビューとあわせて選考基準になっている場合も多いと思いますので、志望動機の内容とインタビューでの受け答えに矛盾や食い違わないように整合しておくが大切なことです。
インタビューでは、人柄や態度(MBA留学の場合は英語によるコミュニケーション力なども)などから、最終的に人の目で適正を審査する意味合いがもっとも強いので別格ですが、志望動機はTOEICやGMATよりも重要で、志望動機の内容如何で多くは合否が決められると聞いたこともあります。
どの程度まで重要視されるかは確認したことはありませんが、合否判定において比重が高いことは間違いないようです。
今回は、私がMBA留学するときにビジネススクールの受験にむけて書き上げたときのことを思い出しながら、みなさんのお役に立てればと思って書きました。
あくまでも志望動機の書き方の一例として、志望動機の書き方で悩んでいる方の参考になればと思います。
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MBAの志望動機の書き方 ~ 基本は「過去」と「未来」の話
上で述べたように、志望動機といっても提出先のビジネススクールによって、出される課題の項目も、内容も、数も違います。しかし、基本的には自分の過去と未来の話から、なぜMBAを取得しようと考えたのかといった、志望動機を聞かれるはずです。
そのため、自分の過去といっても職業経験を中心とした話からMBA取得を思いついた背景と、MBAを取得することによってどのような将来像を考えているのかを述べる必要があります。
そのとき、審査官が納得いくような一貫したストーリーがあることが求められるのです。
これまでの職業経験
では、まず最初に自分の職業経験について述べてみましょう。
MBAはご存知の通り Master of business administration の略ですから、ビジネスについて学び、研究したことを保証する学位です。
したがって、これまでビジネスに対してどのような態度で臨み、経験を積んできたのかが審査されます。
ある職業に対してどのような技術や資格を持っているのかを示す履歴書とは、根本的に違うことを理解する必要があります。
会社の自慢話や、自分がどれだけ優秀な成績を残したかは、あまり意味がないのです。
ビジネススクールは経営者を育成する側面もあるので、適正を見ています。
審査員に適正だと判定してもらうためには、まず自分の過去の職業上の体験をたな卸しし、経歴に一貫したストーリーや熱意があることを示しましょう。
このとき、できるだけ具体的な内容にして、相手が業務内容を思い浮かべられるようにする必要があります。文字数制限内がある場合もあるので、具体的でかつ完結に述べるようにしましょう。
これまでの経験から得られたことと、業界、産業、経済、グローバル化と、自らのキャリアの目標に到達するまでに必要な知識について、箇条書きで書き出すとうまくまとまると思います。
MBAを取得する理由
次が、MBAを取得する理由です。つまり将来像ですね。職業経験は過去の話から自分の適性を証明する視点でしたが、ここではMBAを取得することによって得られる価値について述べる必要があります。
経営学上の理論的な知識や、学生との交流、議論、研究活動が、これから何を満たすと思っているのか?を述べる必要があります。自分のキャリアアップのことではありません。
これらの学術的な知識を社会に還元する視点を示すことが大切なのです。
そもそも、MBAは所詮、ビジネスに関する修了学位です。つい忘れてしまいがちなのが、MBAは国家資格などの職業免許ではないので、学術的に貢献する姿勢と意欲が必要です。
MBAを取る過程で得られた経営知識を持って、現在の産業や経済環境において、どういった問題があると感じているのか、そして、どのような役割を果たそうとするのか、また、なぜその知識が必要なのか、なぜあなたでなければならないのか、そういった視点を盛り込むことが本当の意味での志望動機なのではないでしょうか?
個人的な経験と価値観
ビジネススクールは単に経営理論を学ぶだけではなく、議論や研究などの共同作業を通してリーダーシップや意思決定のあり方や、チームづくりや業績評価を体験から学ぶ場でもあるので、そのような活動に貢献できるかどうか志望動機から個人の素養がみられます。
そのため、職業以外での経験や自分自身をどう捕らえているのか、試されることもあると思います。課題の出され方は様々だと思いますが、たとえば、自分自身の強みと弱み、成功経験と失敗経験、価値観や困難を乗り越えた経験や方法などを聞かれることもあると思います。
これらにすらすら答えられないようだったら、職業経験の項目と同じように、まずは自分の経験のたな卸しをやったほうがいいでしょう。
MBAの志望動機の書き方 ~ 志望動機の考え方
ここでは私が留学準備で志望動機を考えるときにやった手順を示します。かならずしもこの手順が正しいとは限りませんし、ほかに良い方法があるかも知れませんので、あくまでも参考にしてください。
1.職業経験上のたな卸し
自分の職業経験のたな卸しは自分自身でやらないと意味がありませんが、たとえば以下で示した内容に対する自分の意見や理想などを一度すべて書き出してみてはいかがでしょうか?その中から自分が実際に行った活動や業務を説明する視点があれば、志望動機に沿った業務経験のたな卸しができるかもしれません。
・仕事上の成功と失敗 (営業、マーケティング、開発、生産 etc)
・会社の業績と問題意識 (競争環境、社内業務、戦略、イノベーション)
・組織と個人の働き方 (意思決定、指示命令、モチベーション、価値観、組織文化、)
・業界の課題 (パートナーシップ、チャネル構造、市場規模)
・産業の競争環境の変化 (新規参入、規制緩和、代替品の脅威)
・国内経済とグローバル化の問題 (雇用、中国の台頭、円安・円高、ダイバーシティ)
・キャリアの目標に到達するまでに必要な知識 (夢、起業、働き方、影響力)
2.自分の興味関心ごとを書く
個人的な関心事がどこに向かっているのかを洗い出します。以下をヒントにしてみてください。当時の私は、業績がいい会社と悪い会社が存在する背景や、事業が成功するための要件に純粋に興味をもっていたのですが、MBAをとったらこういったナゾを解き明かせるのではないかと考えていました。興味本位として、経営学に興味があったんですね。
・学術的に貢献できることに価値を感じる?
・同じ業界でも、業績が良い会社と悪い会社があることは不思議だと感じる?
・会社を経営することに個人的な興味 関心、好奇心はある?
・キャリアアップによって組織を活性できる?
・新しいことを生み出すことに喜びを感じる?
・お客さまから感謝されることや社会貢献に対して、自分ができることはなに?
・自由競争や戦略が経済を活性化させると思える?
など
3.職業上の経験と自分の興味をつなぎ合わせる
自分の職業経験のたな卸しと、自分の関心事の洗い出しがおわったら、これらを一貫性がでるようにつなぎ合わせてみましょう。
そのためにも、たな卸し結果は、あらかじめ箇条書きで整理したり、ポストイットやカードをうまく使って整理するといいでしょう。
すでに何らかの志望動機がまとまっていれば、整理した結果は自然と一貫性のあるストーリーになっているはずです。
志望動機がうまくまとまっていない場合でも、このステップでたな卸し結果を整理しているうちに、ぼんやりと本当の自分の志望動機が見えてくると思います。
職業上の経験と自分の興味を結びつけるのは「理由」です。以下の質問にこたえることはできますか?
・なぜMBAでなければならないのか?
・どうしてそのビジネススクールを選んだのか?
・どのように将来に資するのか?
MBAの志望動機の書き方 ~ 論理的な記述に気をつける
これまで、志望動機の考え方を述べてきましたが、準備が終わったら具体的な書類作成が待っています。
志望動機の書き方は、国内の大学院でMBAをとる場合と、MBA留学の場合で若干違うかもしれませんが、基本的には論理的な構造を意識して書き上げる必要があります。
前後関係や因果関係を無視して、ただ漫然と自分勝手にMBAを取りたい理由を書き連ねても、読んでいるほうにとっては苦痛以外の何ものでもありません。
これでは、たとえしっかりとした志望動機があったとしても、審査員は最後まで読んでくれないでしょう。
また、時間的な前後関係を意識するあまり、自分の経験をただつらつらと小説のように述べるのも、いけません。
審査員は、ビジネススクールで経営学を研究し、理論的な知識を習得する素養があるのかを判断しようとしているのです。
あなたが、ビジネスで合理的な判断ができるために必要な素養があることを示すためには、あるいは学術的な研究に資する素養があることを示すためには、論理的な思考力を持っていることを示す必要があるのです。
基本的な記述の方法は、日本的な起承転結ではなく、小論文などで習ったような序論、本論、結論の順番で書きます。
1.序論
序論では、MBAを志望した理由をいくつかのポイントに絞って簡単に述べます。たとえば、職業経験上で経営知識がなかったために機会損失が発生した経験や、産業の競争力が落ちているという危機感から体系だった経営スキルが必要だと思い立ったなどのいくつかのポイントに絞ります。
2.本論
本論では、序論で簡潔に述べたポイントを具体的な例でわかりやすく説明します。これまでの職業経験の延長線上から、MBA取得理由に論理的なつながりを意識しながら述べます。一貫性のあるストーリーにするようにこころがけましょう。
文字数制限がある場合は、書きすぎにも気をつけなければいけませんが、MBA取得の必要性を思いついた職業上の経験や背景を理路整然と述べる必要があります。
3.結論
結論では、改めて序論で述べた志望理由を述べ、自分なら社会に貢献できる、産業界に貢献できるといった野望を強調するようにします。手紙ではないので、たとえあっさりと終わってしまっても、余計なことは書かないようにしましょう。
「志望動機」は、志望するビジネススクールや大学院そして申請する人によってすべて違うはず
繰り返しになってしまいますが、志望動機の書き方や審査基準は、志望するビジネススクールや大学院、そして申請する人によってすべて違うはずです。ここでは、私のやりかたを述べましたが、人によってはこのやり方は相性が悪いかもしれません。
あくまでも参考程度にして、ここで述べた内容にこだわらず、自分で考えることが大切です。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。