ファシリテーターのスキルを学べるおすすめ本
初めてファシリテーターを任されたとき、どうやって会議をはじめて、議論を沸かせ、アイデアを飛躍させて、意見をまとめていけばいいのか、そういった不安が襲ってくるものです。いや、ファシリテーターをやったことがない人だったら、そもそも何に対して不安になればいいのかすらわからないものですよね。
そんなとき、いきなり会議を任せられるなんてことになる前に、いろいろと知識を仕入れたりして準備しておきたいものです。
今回はそんな未来のファシリテーターと、今お悩み中のファシリテーター向けに、参考となるいくつかファシリテーター本の紹介をしたいと思っています。私のコンサルタント時代に先輩に教えてもらって読み漁った本などを、あくまでも個人的なお勧め本として紹介します。
ちなみに、そもそもファシリテーターとは何?と思っている方は、過去に記事を書いているので、そちらも読んでください。
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『ザ・ファシリテーター』
本書は、BBTで講師をしている森時彦さんの著書です。
森さんは、MIT卒後神戸製鋼やGEなどを経てコンサルティング会社を立ち上げた、組織変革の専門家です。
小説感覚でストーリーを楽しみながら、どのように人と組織を動かしていくのか、といったファシリテーションのスキルとマインドを学べるようになっています。
大変読みやすく、私がコンサルタントをしていたときにも、この本の愛読者がたくさんいました。
気軽にファシリテーターの役割を知りたい方にお勧めの一冊です。
[audible]
『ファシリテーターの道具箱』
同じく森時彦さんの著書。
ファシリテーターが直面する、いろんな場面を想定して、それぞれの場面で役に立つ49個の「道具」を紹介しています。ページ構成にも工夫があって、使える利用シーンなどわかりやすく解説されています。
内容についても、ファシリテーターとして必要な基礎知識だけでなく応用例もしっかりと書いてあって、研修や議論の具体的な進め方など実践的な知識やスキルが述べられています。
自分のシチュエーションに合わせて、使えそうな道具を試すことができるはずです。
その一方で、具体的な手法にフォーカスしているため、すでに基本的なファシリテーションを身に付けた方でさらなる完成度や効率を求めている中級者向けかもしれません。
ファシリテーション・スキルの幅を広げる道具箱として、手元に置いておきたい一冊です。
『ファシリテーター養成講座』
これも森時彦さんの著書です。上の2冊と合わせてファシリテーター3部作と勝手に呼んでます。
ファシリテーター本の中には、アイスブレークの仕方ばかり瑣末なことが強調されすぎていて、肝心の実践的な進め方について解説が少ないものもありますが、本書はビジネスブレークスルーの番組から再構成したというだけあって、とにかくわかりやすくておすすめです。
そもそもファシリテーターって何?と思っている方から、すでに何冊かファシリテーション本は読んでいて、具体的な実践方法を知りたい人まで、幅広い層におすすめです。
『ファシリテーション入門』
本書は、日経ビジネススクールで講師をされている堀公俊さん著書。日本ファシリテーション協会初代会長でもありますね。
この本のコンセプトは、「組織のパワーを引き出し、すぐれた問題解決に導くためのビジネススキル」をファシリテーションと定義し、結論までの時間を短縮しつつ、チームの相乗効果とメンバーの自律性を育むものとしています。
本書では、様々なビジネスシーンから救育などの会議運営で必要となる「場のデザイン」「対人関係」「議論の構造化」「合意形成」の4つの基本スキルを解説します。
さすがにファシリテーション協会の初代会長だけあって基礎スキルがコンパクトにまとまっています。まさに最初に読むべき入門書と言えます。
『問題解決ファシリテーター』
こちらも同じく堀公俊の著書。ファシリテーターのスキルというよりも問題解決手法についての解説がメインですね。
著者が、これまでコンサルタントとして、さまざまなシチュエーションに応じていろんな役割でファシリテーションをしてきた経験をモトに、ファシリテーションとは何かを紹介してくれています。この本も私がコンサルタント時代の同僚で読んでいた人がいました。チェンジマネジメントに必要なファシリテーションの技術を解説した本といったところです。
事例を用いてファシリテーションを体系立てて学ぶ事ができる一冊なので、この本のとおりに実行できれば、各所のリーダーが問題解決能力をみにつけて、かならずや組織力の底あげができることでしょう。
もっともっとファシリテーターが育って、日本の会議がもっと有意義なものとしホワイトカラーの生産性を高めることができればいいのでしょうけどね。
問題解決型の課題に取り組むファシリテーションをする役割になったら、一度は目を通すべき一冊でしょう。
『ファシリテーション・グラフィック』
こちらは、堀公俊と加藤彰さんの著書。加藤彰さんは、ファシリテーションによる対話や場づくりを基軸とした組織変革など、組織変革推進を専門とするコンサルタントで、グロービスや日経ビジネスセンターで講師を務めているコンサルタントです。
この本では、ファシリテーターの役割や、図解を使って意見をまとめることの意味や価値、そして結論を導くための具体的な手法など、いろんなケースごとに詳しく解説してくれているので、会議で時間内にうまく結論をまとめられないとか、次の行動を決められないとかで困っている人にとっては、非常に実践的で有益な本だと思います。
相手の発言内容や態度で表現しているメッセージなどを傾聴や観察によって嗅ぎ取り、前後の文脈を加味しながら合意に導くには、ホワイトボードなどを用いた図解のしかたひとつで、会議の質の高さや価値が大きく変わってくるものです。
会議の質を高めたいと思っている人や、ブレストなどで多種多様な意見を発散したり、その後まとめる必要のある場で、会議の進行を負かされている人には、ぜひ読んでもらいたい本です。
『「60分」図解トレーニング ロジカル・ファシリテーション 』
こちらは加藤彰さんの著書です。「2時間の会議が1時間に短縮」「話が噛み合う、結論が出せる」など、だらだらした会議をやめて、きちんと結果を出した上で、実のある成果を出せる会議にするためのファシリテーション技術について解説されています。なんと、会議の進行方法や合意形成スキルを、70ポイントにまとめて紹介してくれています。ただ、70もあると、忘れてしまいそうな気もしますが・・・。
会議をうまくまとめるためには、ファシリテーターの役割が重要なことはいうまでもありませんが、本書では、これまで著者がいろんな会社での議論風景を見てきたり、ファシリテーションをしてきた経験から、ブレストなどの多種多様な人が集まって幅広い意見が飛び交う会議において、論理的な視点にたちながらファシリテーションを出してきた手法をもとに、チームとして成果・結論を出す方法を明らかにしています。
この本ではファシリテーターが身につけるべき具体的な技術について、具体的なシーンやシチュエーションごとに詳しく説明してくれているので、まさに実践向けの内容になっています。
トレーニング問題がるのも面白いと思いました。
『ファシリテーションの教科書』
この本はグロービスによるファシリテーター本です。
グロービスが書いているだけあって、体系だって教科書風にわかりやすく解説されているのですが、やはり入門者というか初心者向けの本というイメージです。
ホワイトボードの使い方や図解の方法、アイスブレークのやり方や、議論を深めるための傾聴の技術など、ファシリテーターのスキルはたくさんありますが、それらを解説しているファシリテイター本と合せて読むと効果的でしょう。
ファシリテーター本 まとめ
実は、ファシリテーター関連の書籍というのは、上でも紹介したとおり、同じ人が何冊も書いていて、定番の本もきまっていたりして、内容に違いはあまりありません。
ただ、形式が小説形式だったり、教科書や参考書風になっていたり、図解が中心だったりするので、一通りそれぞれ興味があるところや、悩んで切ることろを中心に読み漁ると、結構短時間で、ファシリテーターの知識は身につけることができると思います。
もちろん、頭で理解しているから実践できるかと言うと、そうではないんですが、ブレストの前後に読むなどして、何度も何度も繰り返し訓練することで次第に身についてくると思いますよ。
私もまだまだですので、繰り返し訓練中です。
今回はファシリテーター本を中心に解説してみました。お役にたてたでしょうか?
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。