ファシリテーターの心得次第で会議の生産性が変わる
ファシリテーターが会議やブレストにおいて、ファシリテーション活動を通して求められる役割については、過去記事(ファシリテーターの定義をまとめてみました)で解説してきましたが、その役割を果たすだけでは、会議の品質はよくなりません。
実践してみるとわかることですが、実際の現場では、ファシリテーターの心得次第で会議の生産性が決まることが多いと思います。
ということで、今回はファシリテーターとして心得ておくべきことについて説明したいと思います。
ファシリテーターの位置づけ
そもそも、ファシリテーターの役割が議論の場のコントロールということを考えると、ファシリテーターは、客観的になれるように、みんなの議論に参加することなく、一歩引いた立ち位置で状況の変化や論点の移り変わりを見守ることが最重要になってきます。
意見の交換が積極的になされてくると、次第に議論が熱くなり、一方の主張だけが強調されたり、論点を見失ったり、公平性を欠いたりする場合がよくあるものです。
そんなときは、必要に応じてファシリテーターが介入することで場をコントロールし、参加者が安心して、自分の意見がいえるような空気を作る必要があるのです。
このようなファシリテーションの活動の結果、議論の生産性が向上され、成果の最大化が図れるのです。
ファシリテーターの心得について
さて、上述のファシリテーターの位置づけを明確にしたところで、もうすこし詳しくファシリテーターの心得について、噛み砕いて説明してみたいと思います。
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客観的立場に自分を置く
ファシリテーター自身が参加者と一緒になって、議論をはじめてしまうと、ファシリテーターも人間なので、自分の主張を通すことや、みんなに納得してもらうことに必死になりすぎてしまうことがあります。
そうなってくると、どうしても冷静さを失い、参加者を置いてきぼりにして、議論の場そのものを壊してしまうことになってしまうかもしれません。
そうならないためにも、ファシリテーターは、自分の主観的な思い込みや固定観念に縛られた意見を押し付けないようにするのは当然ですし、そもそも、冷静さを欠いてしまわないように、議論の場に参加しないといった心がけが必要となってきます。
黒子に徹する
会議の主役は、あくまでも議論の参加者です。
アイデア出し会議にしても、ミーティングにしても、会議のオーナーや課題の当事者が主役にならないと、議論の結論に対する腹落ち感が得られません。
もしファシリテーターが前に出すぎると、まわりに「なんだか、発言しにくいなぁ」とあ「もっと言いたいことあるのになぁ」「ファシリテーターの邪魔にならないようにしないと・・・」などといった空気が生まれてしまうものです。
このように参加者に気を使わせるようでは、ファシリテーター失格です。
そのため、ファシリテーターは決して目立ったりしてはいけません。
場を仕切るのは会議のオーナーの役割であり、ファシリテーターはそういったリーダーの立場に立つことはできません。
参加者が主体性をもって議論に参加してもらうには、当たり前のことですが、会議の参加者を主役にしなければならないのです。
ファシリテーターは、参加者どうしの議論が深まって新しい発見などの付加価値が生まれるように、客観的な立場にたって場をコントロールすうように心掛けるべきでしょう。
場の空気や雰囲気を察する
ファシリテーターの役割は議論の場のコントロールなのですから、そもそも「場」の状態を把握しておく必要があります。
参加者の表情や態度から、何かいいたいことがありそうな人、納得いっていない人、議論にうまく参加できていない人などを観察することで、場の雰囲気をただしく把握しましょう。
同時に、議論が当初のゴールに向かってすすんでいるのかどうか、脇道にそれすぎていないかどうか、議論が深まるチャンスが転がっていないかどうか、といったことも把握します。
参加者の参加度合いと場の状況を把握できてはじめて、議論の場をコントロールするタイミングを見つけることが出来るのです。
必要に応じて介入する
ファシリテーターが場の空気や雰囲気を察することが出来て、まさに場をコントロールすべきタイミングだと判断したら、次はアクションを起こすことです。
話し合いが順調ならファシリテーターは、いっさい何もする必要もありません。当然、発言も控えますが、話し合いに停滞や混乱がある場合には、場をコントロールするようなアクションが必要です。
たとえば、参加者の視点を変えるような発言をしてみたり、一旦これまでに出てきた発言のおさらいをしてみたり、グルーピングするなどの図解をするように促してみたり、自ら解決できるような方向で必要な言葉を投げかけましょう。
ファシリテーターが議論に介入するときの心得を知っておかないと、さらなる混乱を招いたりして、せっかくの場をぶち壊すことになってしまいかねません。
介入と場のコントロールは、まさにファシリテーターの見せ場であり、腕の見せ所なのです。
ファシリテーターの心得まとめ
ファシリテーターが心得ておくべきことをまとめると、以下のとおりです。
そもそも、会議の生産性は、ファシリテーターの心得次第で変わるということを認識しておくことが大切。
そして、ファシリテーターは議論に参加することなく、一歩引いた立ち位置で状況の変化や論点の移り変わりを見守ることに力を割くこと。
具体的には、自分を客観的立場に置き、あくまでも黒子に徹し、場の空気や雰囲気を察しながら、必要に応じて適切に介入するということでした。
今回はここまでです。お役に立てたでしょうか?
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。