会議やミーティングの目的いろいろ
人によっていろいろ意見があると思いますが、私は、会議やミーティングをやる目的は大きく分けて2種類しかないと思っています。それは、「何かを決める」か「アイデアを集める」かの二つです。
もちろん実際には、会議をやる目的やミーティングをやる目的は、アジェンダや開催するテーマ、人数、定期開催かどうかなどによって様々な種類があり、それぞれ会議の名前があったりするのは十分わかっていますが、煎じ詰めると最終的には、上に述べた二つのどちらかにたどり着くはずです。
では、何かを決めることを目的とした会議と、アイデアを集めるために開催する会議とはどういう会議なのか?見ていきましょう。
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何かを決める会議・ミーティング
では、まず最初の「何かを決める」会議ですが、何かを決める会議を分解すると、決定する内容によって関係者に与える影響の大きさによって、分けることができます。
たとえば、もっともわかりやすいのは、年度予算や企画を承認するような会議です。まさに「ザ・決める会議」ですよね。もっとも影響力が大きいのは経営会議や株主総会ではないでしょうか?
しかし、決める会議はこれらだけではありません。
影響力は株主総会ほどおおきくないものの、部内会議やチーム会といった定期的な報告会も、何かを決める会議の範疇にはいります。
これらの会議は、あまり何かを決めているように見えませんが、業務の進捗状況などをチームメンバーや上司と情報共有しておくことで、その都度方向修正すべきかどうかや、次のアクションなどを決定していることが多いと思います。たとえば、病院の朝の「申し送り」もそうですよね。チーム会や部会などは、ときとして「私、ちゃんと働いてますよ!」のアピールの場になってしまい勝ちですが、本質的な会議やミーティングとしての機能・役割としては「何かを決める」ことが目的となっているはずです。
このように、予算を決定したり、企画を承認するだけが決める会議ではありません。日常的な活動も定期的に報告・共有して何かを決めているはずです。
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アイデアを集める会議・ミーティング
もうひとつのアイデアを集める会議は、一番わかりやすいのがブレスト(ブレインストーミング)です。ブレストとは、できるだけ多くのアイデアをだしてもらうための会議です。アイデアを集めることが目的なのだから、わかりやすいですよね。新規事業や新商品の企画会議や、予算計画の立案などもこの分野に入るのはわかりやすいと思います。
しかし、ブレストや企画会議だけが「アイデアを集める」会議ではありません。
たとえば、クレーム対応をどうしようかといった現場レベルの相談や、商談直後の立ち話でのラップアップ、部下が今日の出来事を報告してきて今後の対策を相談するのも立派な会議だと思います。有志が集まった勉強会などもアイデアを集める会議の仲間です。
これらの会議は、規模も参加人数も、アイデア出しにかける時間も様々ですが、解決すべき何かがあって誰かに相談しているのであれば、それはアイデアを集める会議と言えるのです。明確に、多様な部門から専門家を集めて、お客様のニーズを満たすべくブレストや企画会議をすることばかりが、主役ではありません。
何かを決める会議と同じく、日常的にある「相談」自体が、すでに知見を集めようとするアイデアを集めることを目的とした会議なのです。同様に勉強会も、問題意識を持って解決策を探そうとして行う集いですから、アイデアを集める会議なのです。
確かに、ふつうは立ち話の相談や上司の袖机で行う相談を「○○会議」なんて名づけませんから、相談のことを立派な会議なんていうと、ちょっと違和感があるかもしれません。でも、複数の人が集まって、アイデアを集める目的と合致しているのですから、立派な「会議」だといえるのではないでしょうか。
「決める」会議と「集める」会議は、実は表裏一体
このように、いずれの会議にしても、参加する人数の規模や会議の時間や、あらかじめ決まった日程で実施するのかどうか、そして隙間時間でできるかなどによって会議の名前があったり、なかったりいろいろですが、実はこの二つの会議の目的は、表裏一体でどちらか一方だけが存在するわけでもありませんし、時として(頻繁に)二つの目的が共存してひとつの会議の中にあることもありえます。
たとえば、何かを決める会議だって、そもそも決めるべき「何か」が過去に検討されていたはずであり、それはアイデア出しのような企画会議やブレストから出てきたはずです。それらのアイデアが現実味を帯びてきたり、実態を伴ってきた結果、予算を決めたり企画を承認したりする必要がでてきたのかもしれません。逆に、もしかしたら、ある企画が予算会議を通過したため、アクション・アイテム(※)を洗い出すブレストが必要になったのかもしれません。
いや、そもそも定例報告会議の中で、発表者の課題報告を兼ねて、参加者に意見を聞くようなこともあるはずです。便宜上、大きく2つに分けて分類しているのものの、ただひとつの目的だけの会議なんてないはずです。
会議やミーティングに目的が必要なわけ
では二つの目的を明確にわけることができないし、ひとつの会議の中に混在してもいるにもかかわらず、なぜ会議やミーティングに目的が必要なのでしょうか?
それは、大きな目的を共有して議論しないと、会議をやる意味を見失ってしまうからなのです。ブレストなどは、参加メンバーが慣れていないと、ついつい結論を急いでしまったり、決める会議でアイデア出しをやってしまったりするものです。
ちなみにブレストの4つのルールのひとつに「結論厳禁」というのがあります。
興味があったら過去記事を読んでください。
ブレストの4つのルール(原則)とアイデア出しの盛り上げかた
定例報告会議がいつのまにか井戸端会議になってしまったり、ブレスト会議がアイデア品評会になってしまうのは、会議の目的を明確にしないため、決めなければならないときに追加情報を求めたり、もっといいアイデアがないかを探してみたり、逆にアイデアを大量に出さなければならないときに、アイデアをひとつひとつ吟味して重箱をつつくような議論をしてしまうからなのです。
このような最悪な状況を避けるためには、会議を始める前に「今回は、○○を決める会議です!」とか「ブレストするときには、結論なしでお願いします!」ということをあらかじめ宣言して、できるだけ会議全体の方向がぶれないようにしておかないといけないのです。
宣言していたとしても、大変なんですけどね。
報連相、その他の会議やミーティングの目的について
ここまで、会議の目的の種類と目的が必要な理由について述べてきましたが、ここまで読まれた方のなかには、報連相は会議の目的にならないの?という意見の方もいると思います。
会議やミーティングの目的を「何かを決める」と「アイデアを集める」だけに分類してしまうと、「じゃ情報を共有することは目的じゃないの?」と思われる方も多いともいます。また、「報告や相談だって会議の目的でしょ?」と思うかもしれません。
それでも私は、報告も連絡も相談も、あくまでも「何かを決める」か「アイデアを集める」ための手段にしか過ぎないと思っています。
報告だけして何も決めないなんてことが目的になりえませんし、連絡するだけならメールでもいいと思います。相談は会議の目的のように思えるかもしれませんが、相談した結果、次に何をするのかといったことを決めないことがまかり通ってはいけないと思います。
情報共有も報連相も、「何かを決める」と「アイデアを集める」の両者間のキャッチボールの手段にしか過ぎません。日本の会議では、それを忘れているから、何も決めないし、アイデアも出ない、中途半端な会議が多いのだと思います。会議中に報告と連絡と相談をしたことで、なにか付加価値を生み出したと勘違いしてしまうのです。
会議とおしゃべりや集会との違い
このように見てみると、会議とそのほかの「集い」が、違うこともわかるはずです。
おしゃべりは、目的が会社の業務に関して、何かを決めることやアイデアを集めるという行為にはなりません。その場の交流という意味では有益ですが、業務上で何かを決める会議ではありませんし、業務上のアイデアを出し合う場でもありません。
飲み会もその延長線で考えると、会議ではないことがわかります。モチベーションをあげたり、愚痴を言うのも、息抜きに必要ですし、一体感を醸成することができるでしょう。しかし、それは決して会議ではありません。複数の人が一堂に会する「集会」にすぎません。
そもそも会議でモチベーションをあげること自体、会議にとって荷が重すぎと思いませんか?会議には、きっと会議にふさわしい役割があると思います。モチベーションをあげたり、息抜きしたりするのは、おしゃべりや飲み会などに譲ってあげて、会議の役割からはずしてあげましょう。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。