「リーダー」が「先頭に立つ人」とは限らない
仕事をする上で「先頭に立ってリーダーシップを発揮する」とよく耳にしますが、具体的に「リーダーシップ」がある人というのはどんな人物を思い浮かべますか?
きっと多くの人は「優れた才能や資質を持つ選ばれた人物がその力を使ってグイグイとチームを引っ張っていく」ような光景ではないでしょうか?
一昔前は「リーダーシップ」という力を使う人物、つまり「リーダー」は文字通り「Leadする=率いる人」という考え方が主流でした。しかし近年この考え方は変わってきています。
リーダーの定義
現代経営学の発明者として有名な、オーストラリアの経営学者であるピーター・ドラッカーは、リーダーの定義として「付き従う者(フォロワー)がいること」と述べています。
「付き従う者」と聞いて思い浮かべるのは親分と子分といった精神的・肉体的による主従関係ではないでしょうか?
しかしドラッカーの言う「付き従う者」というのは決して強制力をもって従わせたのではなく、「あの人に付いていきたい!」という、あくまでも自らの意思に基づいて従う、主体的で能動的な意味合いなのです。
日々の仕事ぶりからチームの仲間に支持と信頼を勝ち取った人物がリーダーと言える、とドラッカーは説きます。
組織の中には「あの人は有名大学出身だから」「前に〇〇部の部長だったから」「仕切り屋だから」などという理由だけでチームのリーダーになっている人がたくさんいます。
ですがそれは単に名ばかりで、実質そこにリーダーは存在していません。つまりリーダーには学歴・役職・年齢・性別といった「肩書き」も、仕切り屋・気立てがいいといった「性格」も、一切無関係なのです。
リーダーの要件
リーダーになる要件として肩書きや性格は無関係ということは先に述べましたが、では逆に必要なものとは一体何でしょうか?
ドラッカーは著書の中で、リーダーとは「目標を定め、目標に対しての優先順位の基準を決めてその体制を維持していく者」と説明しています。
リーダーはチームとして達成しなくてはならない目標を作り、それを皆で共有する発信者にならなくてはいけないのです。
またドラッカーはリーダーに対しても他のメンバー同様に、目標達成への努力と行動をすることを求めています。
次に、リーダーになる要件として定義されているのが「失敗をひとのせいにしない」ということです。
チームで目標に取り組むとき、必ずしも部下やメンバーの行動が成功するとは限りません。
時に思わぬ失敗や難題が振りかかることもあるでしょう。
そんなとき真のリーダーは部下を責め立てることはしません。
部下の失敗は自分の失敗と受け止め、部下の力に不信感や恐れを感じることなく、むしろ部下を励まし前進させることがリーダーの務めなのです。
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誰だって「リーダーシップ」を発揮できる
ここまでリーダーの要件として「肩書き・性格無用」「目標を達成する努力を怠らない」「失敗をひとのせいにしない」と述べてきました。
ドラッカーの定義から言えば、この3要件を満たすことがリーダーの要件で、この行動そのものが「リーダーシップ」なのです。
リーダーシップとは「組織の中でトップにいる」ことでも「部下に高圧的な態度をとる」ことでもありません。
「自らのすべきことを成し遂げ、その行動に責任を持つ行動」がリーダーシップなのです。
この定義を理解すると、決してリーダーだけがリーダーシップを発揮するのではないことが分かります。
たった一人のリーダーがリーダーシップを発揮しても、チーム全員がリーダーシップを発揮するのに比べたら敵う訳はありません。
チームのメンバー各自が仕事に責任を持ちやるべきことをやれば、その成果は圧倒的に向上するでしょう。
リーダーシップとは組織を構成するどんな人でも持ち得る力なのです。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。