ビジネスのアイデアには創造的な活動が不可欠です!
でも、創造力を駆使しようとしても、無意識のうちに邪魔する悪い習慣があるものです。
個人的にアイデアを出す場合よりも、組織で活動しないといけない場合のほうがより影響が多いはず。
リーダーはもちろんですが、メンバー全員も組織にはこれらの悪習慣があるかもってことを知っておくだけでも、創造的な活動がずいぶんと活発になるかもしれませんよ。
その1 通常のラインに革新プロジェクトを委ねる
よくある話ですが、市場のニーズは現場のラインが一番しっているはずってことで、現場に革新プロジェクトを任せようとしてしまうことがあります。でも、通常業務で忙しいラインに革新的なことを任せてしまうと、平気で「目の前の仕事が気になって新しいことは後回し!」になってしまいまねません。
現場が市場に一番近いところにいるというのは間違いありませんが、かならずしも顧客が正しい答えを持っているというわけではありません。
それでも、現場の意見を巻き込んで新しい発想をさせるのであれば、適任者を選んで現場から離した上で任せるべきでしょう。そうすれば、現場の忙しさを言い訳にすることができないので責任感も増しますし、集中的に検討できるので一石二鳥です。
その2 奇抜なアイデアを批判する
ブレストをやろうとかいいながら、過去の実績のある人ばかり発言して、まわりは発言しないなんてことが良くありませんか?
実績豊富な人が過去の成功体験をもとに発言ばかりしすぎると、奇抜なアイデアがでにくくなります。
ましてや、誰も考えもしなかった非常識なアイデアが出たときに、権威者が批判してしまうと、その後面白いアイデアがでにくくなってしまい、結局、予定調和的なありきたりでトンガリのないアイデアになってしまいます。
だれだって、アイデア出しの段階からダメだしされるとなえちゃいますよね!
経験が浅い人からの奇抜なアイデアを軽視する。そんな風潮がある組織では、できるだけ過去の実績のある人や権威者を除いてアイデア出しをしてみることをお勧めします。
そもそも過去に実績が豊富だからといって、これから実績をつめるという保証はありませんから。
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その3 イノベーションに効率を求める
アイデア出しをまるで自動販売機のように思っていませんか?
コインを入れたら、ロジカルに誰かが考えて自動的にアイデアが生まれるんだったら、だれも苦労なんかしていません。
そもそも、新しいアイデアが欲しいと思い至ったことは、これまでのやり方やコンセプトに対して危機感があるからに他なりません。もしくは、より活発な組織であれば、世の中をもっとよくしたいとか、面白そうなことをしたい、考えたいというモチベーションがあるからなのです。
イノベーションに効率を求めることは、危機感やモチベーションに効率を求めるようなものです。
イノベーションを求めるのであれば効率を求めるのではなく、イノベーションを求める動機を高めたり、プロセスを楽しめることが一番の近道なのです。
その4 すぐに結果を求める
すぐに結果を求めるからビジネスが育たないのは、子育てと同じかもしれません。
いや子育てだけでなく、自分自身の成長でもおなじことがいえると思います。
自分たちが小学校のころにどうやって育ってきたか?社会人になって仕事を覚えるまでにどうやってきたかを振り返れば、わかるはずです。
トライアンドエラーの繰り返し。言い換えれば学習があって始めて成果に結びつくのです。
イノベーションには時間が必要です。新しいアイデアが離陸するのも時間が必要です。
失敗と学習の繰り返しには時間が必要なのです。
その5 ハードワークを美とする
たいてい、「ハードワークを美」とするような人たちは、努力の罠にはまっています。
悩んで良いアイデアが生まれれば、これほど楽なことはありませんが、残念ながら画期的なアイデアは必ずしもハードワークから生まれるとは限らないのです。
新しいアイデアを思いつくには、圧倒的な情報量の詰め込みが必要だといわれていますし、必死こいて考え抜く努力と粘り強さが必要です。これらは、まさにハードワークが必要なのですが、ハードワークだけを追い求めると「どれだけ苦労したか」がゴールになってしまいかねません。
アイデアが生まれるステップには、情報の詰め込みや考える作業などのハードワークの後に頭を休める「孵化」のステップがあり、このステップこそが最も重要なステップなのです。このステップがあってはじめてアイデアが生まれるのですが、努力の罠にはまってハードワークばかり重要しすぎると、頭を休めるステップに進むことができないのです。
新規事業やイノベーション担当部門のメンバーが毎日残業して分析とか調査ばっかりしているのに、面白いアイデアが出てこないのには、こういった背景があるのです。
その6 計画にないことをしない
二重否定でわかりにくいですか?要するに組織として「想定外」や「思いつき」を否定したら、誰も思いつこうとしなくなってしまいますよ!ということです。
3Mのポストイット、レントゲンのX線、ノーベルのダイナマイト。これらはすべて偶然から生まれたものです。
世の中のイノベーションの事例の多くは、偶然新しいコンセプトを見つけたり、求めていたものとまったく違ったアイデアに気づいた結果であることが多いのです。
けっして計画することを否定するわけでは在りません。ある程度は計画をたてないと、いつまでに何をどのように検討するのか、考え方の方向性が見えなくなってしまいます。
しかし、計画どおりに進めたために、チャンスを見落としてもいいのか?それとも計画とは違うが、面白いアイデアを見つけるほうがいいのか?どっちが重要かは自明ですよね。
イノベーションにおいては発想を転換したり、予測不可能な出来事に気づくためにも、幅広い可能性を受け入れる心の余裕がなによりも重要なのです。
その7 失敗した人を責める
残念ながら多くの会社では、成功した場合は高く評価する制度は整っていても、失敗した人を高く評価する制度はありません。
もし社内の誰かが、周りの反対を押し切って果敢にも自らアイデアを出して難しいことに挑戦して、誰からのサポートもなく残念ながら無残にも失敗したとしたら、本人はどう感じていると思いますか?
当然、失意にくれますが、それだけではありません。いちばん気になるのは、周りからの評価の目なのです。
「だから、いわんこっちゃない!」「はじめから成功するとは思わなかった」「あんなの、うまく行くはずないよね」・・・。
上長から失敗を責められることはもちろんですが、かりに、誰もそんなことを思ってもいないとしても、本人にとっては周りはそういうフウに思っているのではないか?と思ってしまうものなのです。
そしてよほどの人でない限り、もう二度と新しいアイデアに挑戦しようなんて思わなくなってしまうはずです。
ここまではよくある話ですが、問題の本質はこの後です。
はたして、失敗で落ち込んでいる人を周りはどう見ているのでしょうか?
おそらく、新しいアイデアを出そうなんて思う人はいないはずです。新しいアイデアを出しても上長はサポートもしない、評価も最低で、失敗して落ち込んでいる姿をみて、同じ目にあいたいと思う人はいないはずです。
実は、失敗を高く評価しない企業の最大の課題は、こういった空気を野放しにしていることなのです。いや。もしかしたら、気づいてさえいないのかもしれません。
たいていアイデア不足の会社にかぎって、イノベーションを標榜していながら「失敗を恐れないで」とか「チャレンジ精神」とか、スローガンだけ威勢がよくって、失敗した人をぞんざいに扱っていたり、失敗を高く評価する制度がなかったり、挑戦している人を煙たがったりしているものです。
新しいアイデアを本気で求めるのであれば、まずは失敗した人を責める習慣を改めなければなりません。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。