必要なのは具体的な技術
組織の中で自分がやりたいことを実現するためには、まわりを説得して同意してもらうことが必要です。
だから、みんなに賛成してもらうテクニックさえ身につけることができれば、自分がやりたいことを実現することができるはずです。
ほとんどの人が一日の大半を組織の中で過ごすことを考えれば、これ以上ほかに大切な技術もないと思いますが、ほとんどの人はだれかから賛成してもらうためのテクニックなんて教わったことがないですよね?
私は仕事柄、自分のアイデアを現場の担当者に話して、意見をもらうことが多いのですが、そんなある日、そのような場で次のような発言を聞いて、思わずガッカリしてしまったことがありました。
「あなたがやってみたいという気持ちはわかるけどさ・・・。
なんでそんな非常識なことをやろうとしているの?
ぜったいうまくいかないと思うよ。
それよりも言われたことを、言われたとおりにきちんとやることが大切だよ。
それが組織だろ?」
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私は同僚のこの発言を聞いてしばらくの間、このいつも否定的な同僚にたいしてとっても腹が立ったんですが、しばらく時間がたってから思い直してみると、もしかしたら私が腹が立つことはないんじゃないかな?と思い直しました。
つまりどういうことかというと、合理的に批判することもしないで他人の企画の欠点ばかりを指摘してばっかりで、自分から何かをやってみようと思ったり動いたりしない人って、なんだか後ろ向きのように見えるんですけど、本当は心の奥底にある種の「あきらめ」を抱えて苦しんでいるのじゃないかな?と思いいたったのです。
やりたいことがない人なんていません。
上司からいわれたことに反論もせず指示通りに実行して、自分の利益よりも組織の利益を優先するというのは、一見組織の秩序をまもっているように見えたり、協調性や自己犠牲の精神があるように見えますが、本当は組織の自己欺瞞と自己実現のハザマで失望して、だれかに自分のアイデアを賛成してもらうことをあきらめているからなのかもしれません。
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私は企業の企画立案部門の立場から、このようなあきらめをたくさん見てきました。
自分のやりたいことを実現する方法を知らないで悩み苦しんでいる人はまだいいんです。だって、いつの日か実現できる可能性があるから。
でも、何にたいしても問題意識もなくなって、自分のやりたいことだって投げ捨ててしまった人を見ていると、誰がこんな組織にしてしまったのかと、ついつい思ってしまうんです。
私も含めて、こんな組織の中でもっとも必要とされていることって、自分のやりたいことを組織を通して形にする具体的な方法なんじゃないんでしょうか?
それって、これから自分のやりたいことを実現しようとする人なら、だれだって当てはまるんじゃないんでしょうか?
そんな人たちにいちばん必要なのは、人脈でも天才的なヒラメキでもなくって、 だれにでも実行できるリアルな「だれかに自分のアイデアに賛成してもらうテクニック」なんですよね。
そういうこともあって、今日はいろいろなテクニックがあるなかでも、比較的だれにでもできる普遍的なテクニックを紹介したいと思います。
以下はハーバード・ビジネス・スクールのRosabeth Moss Kanter教授が示す4つのテクニックです。
まずは、簡単にできることからはじめてみるのが基本です。
どちらかといえば心構えに近いテクニックですが、もしうまく上司に説明できていないと感じている人は、ぜひ試してみてください。
1.顔をあわせて伝える
言い古されたことですが、人生での成功うち90%は、ただ顔をあわせて話すことで実現されているのです。デジタル機器や他の遠隔コミュニケーションは効果的ですが、だれかとその場にいる(フェースtoフェース)ということがものをいうのです。
It's a cliché but true that 90% of success in life comes from just showing up. Digital and other remote communications are efficient, but there's much to be said for being there - face-to-face with others.
(引用「Power is Not a Bad Word」by Marcia Zidle)
2.話して伝える
話すということは、雑音を発生すること以上の力があります。自分のアイデアが言葉になって表現されることで、人々に聞いてもらい、あなたのことをリーダーとして見てもらえるようになるのです。スピーチが苦手だと感じているのなら、だれかにコーチになってもらって、練習しましょう。そしてトーストマスターズ(※注:スピーチの教育団体)に参加し、立ち上がりましょう。
It's more than making noise. It's being articulate, putting your ideas into words that get people to listen and see you as a leader. If you're uncomfortable with public speaking, get a coach, take lessons, join Toastmasters and then stand up and do it.
(引用「Power is Not a Bad Word」by Marcia Zidle)
3.チームで伝える
リーダーシップが必要になってくると、あなたの技術力やビジネススキルだけでは足りなくなってきます。このキャリアステージでの成功とは組織の内外との良好な関係構築によって決まるのだから、仲間といっしょに伝えてみるようにはじめてましょう。
As you move into leadership, you technical or business skills aren't enough. Success, at this stage of your career, depends more on building good relationships inside and outside your organization. So start "playing with others.
(引用「Power is Not a Bad Word」by Marcia Zidle)
4.あきらめない
途中段階のものはすべて失敗のように見えるものです。それでも粘りつづけて、途中で方向修正して、そして反対してきたやつらを驚かせましょう。成功してきた人はだれだって、自己批判に耐えてきたんです。そして今でも耐え続けているのです。だから、あなただってできるはずです。
Everything can look like a failure in the middle. Keep at it, make mid-course adjustments and surprise the naysayers. All successful people have dealt with self-doubt, but they keep on going. So can you.
(引用「Power is Not a Bad Word」by Marcia Zidle)
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。