会議にかかる費用は年間一人あたり80万円
以前、ブレスト初心者向け ブレインストーミングのやり方と進め方の技術という記事で、会議にかかる1時間当りの費用を計算しました。
たとえば年収600万円の社員であれば、1時間当たりの人件費は社会保障費や販売管理費などの費用を含めると約5,000円もかかります。(1年間250日営業日、8時間勤務で計算)
そして、スリーエムの調査によると、会議に費やす平均時間はひとりあたり年間約160時間とのこと。
あなたの会社のその会議、本当に必要ですか?3Mが実施した調査によれば、会議に費やす平均時間は、なんと年間平均159.1時間!残業の原因となっているのは、日々行われている無駄な会議の積み重ねかもしれません。
by スリーエム
となると、会議にかかる費用は、年間一人あたり80万円にもなる計算ですね。会社全体で見た場合、会議の参加者が平均5名程度だとすると、ざっと400万円近くの費用が年間でかかっているのです。
そんな費用がかかっている会議の費用削減をするためには、無駄な会議はなくすことも大切ですが、それにも限界があるはず。であれば、会議にかかる時間をできるだけ短縮しつつ、参加者の納得性の高い結論を出す工夫が必要なのではないでしょうか?
会議時間を短縮する工夫とは?
とはいいつつも、参加者の納得性を維持しつつ会議時間を短縮する方法って、そんなに簡単ではないですよね?そこですぐれたファシリテーターが実施しているテクニックを4つほど紹介してみましょう。参考にしてみてはいかがでしょうか?
1. アジェンダを用意する
会議時間短縮の基本中の基本は、会議のアジェンダを事前に用意しておくことです。
会議のアジェンダとともに議題ごとに時間を書き込んでおくことで、時間内に終わらせなえればならないという意識が生まれるので、余計な脱線などが減り、議論に関係のない無駄な時間を省くことができます。
当然ですが、アジェンダには、本日の会議の目的を明示しておくことが重要です。
できれば議題ごとに発表開始時間と終了時間、発表者なども書いておきましょう。
ちなみに、会議によってはオーナーやファシリテーターも変わるはずです。組織内に会議時間を短縮させる意識を持たせ、継続させるためにも、このようなアジェンダの作成を徹底させることが重要でしょう。そのためには、アジェンダをテンプレ化しておいて、毎回記入するだけですむようにしておくことをお勧めします。
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2. 会議資料は事前に目を通す
会議の開催通知をメールなどで送るときに、アジェンダとともに会議資料も添付して、参加者に事前に見てもらい、考えてから参加してもらうようにしましょう。
そうすることで、会議が始まってから説明する手間と時間が省けますし、いきなり論点を絞った議論ができるようになるはずです。
生産性を高めるためにも、資料を読み込んでこなかったら議論に参加できなような、ある種の義務感を持たせることがポイントです。
学校の予習や宿題と同じですね。
3. 時間厳守!時間厳守!時間厳守!
参加者が会議に遅刻してこないことは言うまでもないことながら、会議が始まってからも時間厳守することが、会議時間短縮のKSF(重要成功要因)です。
会議の終了時刻が延びることは、会議時間の短縮が果たせないだけでなく、参加者全員のモチベーションも低下させてしまうことになるので、会議の開始時間と終了時間は必ず守るこようにしましょう。
そのため、ファシリテーターは、アジェンダに書かれている終了時間を常に意識しながら議論を進めることがポイントです。必要であれば、別途タイムキーパーを置くなり工夫をしてみましょう。
4. 記憶がフレッシュなうちに議事録を共有
会議時間の時間短縮とは直接関係ナイト思われるかもしれませんが、参加者の記憶がフレッシュなうちに議事録を共有することが、次回の会議の時間短縮にもつながります。
会議中にでてきた参加者の宿題やアクションアイテムなどを、議事録を共有することで再確認しつつ行動を促すことで、改めて記憶を呼び起こすことが出来るでしょう。
それによって、次回の会議では、これまでの議論内容を思い出すためにかかる時間を短縮でき、生産性をあげることができるはずです。
会議中に議事録をかいたり、ホワイトボードに書いたフレームワークや箇条書きのメモなどを即時に共有するなど、議事メモ作成の時間短縮の工夫もできるはずです。
会議で結論を出すための4つのポイント
ファシリテーターが会議中にもっとも困難だと感じることは、結論を出すことですが、実際、ファシリテーターが会議で結論を出すためには、どのような工夫をしているのでしょうか?大前提としてファシリテーターが気をつけるべきポイントは、発言しやすい雰囲気づくりです。
ポイントは、4つあります。
1. 事前に資料を共有し考えてきてもらう
こちらは、会議時間を短縮する工夫でも出てきましたが、結論を出すためにも欠かせないポイントです。
事前に資料を読み込んでもらうことで、あらかじめ議論の展開を想定してもらうことがでいるはずです。そういった会議の流れを想定してもらうことで、結果的に、論点がどこになりそうで、議論の落としどころや、結論めいたものが薄ぼんやりとでもイメージしてもらうことができるはずです。
結論のイメージを持ってきてもらうのと、持ってこないのとでは、会議中に結論がだせるかに大きな違いが生まれてきます。
かならず全員に事前に資料を読んできてもらうようにしましょう。
2.意見やアイデアを見えるようにする
会議は口頭だけでやっていると、どうしても理解が不十分になってしまったり、声が大きい人の意見ばかりが目立つようになってしまいます。そうすると、議論についていけない人がでてきたり、意見を言いにくい雰囲気になってしまいます。
そんな状況をさけるために役立つツールは、王道のポスト・イットです。
ポスト・イットに、事前に考えてもらったアイデアや意見を書き込んでもらうことで、声の大きい人をコントロールすることができますし、意見をいいにくい雰囲気も回避できます。
なにより、目に見えるので、議論が空中戦にならずにすむといった効果が得られるはずです。
3. 意味のある問いかけやまとめ方で示唆を出す
全員のアイデアをホワイトボードに貼り出すなどし、内容を理解したら、興味深いアイデアに対して色々な角度から質問してみることで新しい発見が生まれたりします。
自然と他のアイデアも目にとまるので、様々な組み合わせも生まれてくることでしょう。
さらに、意見やアイデアを似た者同士でグルーピングするなどによって、論点を抽象化することも大変有意義なことです。
抽象化によってテーマの本質的な課題や論点が見えて来て、思いもよらない解決策が生まれることもありえます。
4.ファシリテーターから結論を出すように促す
ファシリテーターの一番の難関は、最後の結論出しの場面です。会議のオーナーが明確な会議ではタイムキーパーの役割を果たすだけで、あとは意思決定者が決断を下してくれることが多いはずですが、ブレストなどのアイデア出しの場合は、時間の兼ね合いを見ながらファシリテーターが参加者に対して、結論を出すように促してあげる必要があります。
ファシリテーターは、これまでの議論の流れの整理、意見やアイデアのおさらい、得られた示唆などを可視化するなど結論が出しやすいようにします。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。