電話調査とは
電話調査とは文字通り、電話で聞き取り調査をすることですが、主にビジネス関連の市場調査が中心です。
電話でききとり調査することのメリットは、比較的安価で調査期間も短く実施することができることです。
また、調査会社に委託することで、自社名を出さずに匿名調査することで客観的な市場調査ができたり、自社の顧客だけでなく広く潜在顧客へ聞き取り調査ができることもメリットでしょう。
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デメリットはなんといっても聞き取れる調査項目の少なさです。
オペレーターが直接やり取りする手法の場合は、あいさつから始まり、電話調査の目的、アイスブレークなどからはじまり、クロージングまでにかかる時間を考えると、せいぜい5問程度しか聞き取ることができません。
また、聞き取れた内容についても、さらに深く踏み込んで聞き取れることができないため、二次調査が必要になってくる場合があります。
そのため、電話調査だけにたよらず、他の市場調査手法とあわせて効率的な調査を実施することが市場調査の成功の秘訣だと思います。
基本的な進め方
1.電話調査の目的を決める
・・・ 電話での聞き取り調査は時間が限られるので、せいぜい5項目程度しか聞けません。効果的に調査するためには、あらかじめ目的をはっきりさせておく必要があります。
2.電話調査対象の決定
・・・ 調査対象の年齢や性別、法人であれば事業規模や業種などの属性から、電話調査したい対象のセグメントを明確にします。
3.電話調査会社選び
・・・ 電話調査を自社で行うことも可能ですが、やはりノウハウを持っている調査会社にお願いすることをお勧めします。
4.質問事項を決める
・・・ 電話調査では時間の兼ね合いから数多くの質問はできません。業者と一緒に目的に沿った質問事項を決めていきます。
5.実行と検証
・・・ 電話調査を実施し、得られた回答から仮説を検証したり、新たな仮説を捻出します。
1.目的
テレアポイントなどの電話営業とは異なり、市場調査目的の電話調査なら比較的答えてくれるものです。
とはいえ、相手は見知らぬ潜在顧客です。大切なお時間をいただいていることを考えると、的を絞った質問で効率的に気持ちよく答えてもらえるようにするべきですね。
電話調査の目的は様々ですが、市場規模調査、ニーズ調査、顧客満足度調査、競合調査などが主な調査範囲です。
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市場規模調査
新規事業の企画や新商品の企画において、対象となる市場規模がどの程度あるのかなどの、あらかじめ立てられた仮説を検証するために行われます。
有効回答数を母数として、ある想定した回答が占める割合によって、市場規模を割り出したいときなど用います。
ニーズ調査
顧客が悩んでいると思われる事柄について調査します。電話で聞ける範囲がとても狭いので、より具体的な調査につなげるための一次調査として行われることもあります。
電話調査の後に、引き続きフォーカスグループやモニター調査などの手法を用いて、対象の顧客に直接使ってもらって感想を聞くなどの追加調査を行う場合もあります。
顧客満足度調査
既に市場に出ている商品やサービスの満足度を調査することが目的です。
お問合せセンターや苦情窓口にかかってくる消費者や利用者の不満は、氷山の一角です。
隠れた不満や不平を調査することで、商品改善とサービス改善の糸口にしようすることが目的ですね。
競合調査
競合企業の製品やサービスを使っている顧客に対して、競合の動向や不満などを調査します。
競合が、いつの間にか、まったく新しい切り口で顧客にアプローチをしていた!なんてことがないようにしたり、競合の隠れた優位性や顧客の購買決定要因や比較するポイント、自社が選ばれなかった理由などを探ることができます。
2.電話調査対象の決定
いわゆるSTP(セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニング)などのフレームワークを使って立てられたマーケティング方針に従って、調査対象を絞り込みます。
すでにある事業であれば、比較的顧客層を絞り込むことはできると思います。
新規事業や新商品の場合は、あらためて上位のマーケティング方針を構築したうえで調査対象を絞り込むように気をつけないといけません。
Segmentation(セグメンテーション)
・・・ 顧客の属性(年齢、地域、性別、嗜好など)での絞り込み
Targeting(ターゲティング)
・・・ 競争の程度等の基準でのターゲット顧客層の絞込み
Positioning(ポジショニング)
・・・ 顧客価値のライバル企業との違いや位置づけの明確化
3.電話調査会社の選び方
私の場合は、電話調査会社の経験と実績を中心に検討します。
調査期間が最優先事項であれば、席数やブースの大きさを基準にしてもいいですが、時間に余裕があるのであれば、まずは経験と得意分野についての知見・ノウハウで比較することがいいでしょう。
具体的には、ターゲット顧客のDBを保持しているかどうか?
こっちの希望を満たしたスクリプトを準備できるかどうか?
オペレータの品質よりも市場調査のノウハウがあるか?
などがポイントでしょう。
BtoCの経験ばかりでBtoBの経験がなかったり希望の市場に不得意の場合もあるので、発注前の打ち合わせの段階でしっかりと見極めておく必要があります。
また、レポーティングや結果報告についても、エビデンスとして回答結果をどこまで提供してくれるのかなどの柔軟性も重要です。
4.質問事項を決める
くりかえしますが、電話調査では、せいぜい5つ程度のアンケート調査しかできません。
そのため、質問事項(スクリプト)の設計が重要です。
電話調査会社がもっているノウハウを最大限引き出しつつ、自分たちが知りたい項目がしっかり聞けるようにしましょう。
また、いくつも盛り込みすぎて、一貫性のないスクリプトになってしまっては意味がありません。
まずは、目的をひとつに絞り込んだ上で、聞かなくても良い項目(たとえば、法人でいえば従業員数、創業年度、業種などの調査会社がすでに知っている項目)を除きつつ、最重要項目のみに絞り込むようにしましょう。
5.実行と検証
会社名を出して調査するのか、電話調査会社の名前で調査するのかでも回答精度が変わってきます。
あらかじめ電話調査を実行するにあたり、匿名調査で行うのか、社名を出すのか決めておきましょう。
調査期間はいつまでかかるのか、調査企業のリストはもらえるのか、データフォーマットに希望があれば対応できるのかなど事前に取り決めておきましょう。
検証レポートまで提出してもらうように依頼することも可能です。
委託する電話調査会社によっては、引き続き二次調査を行ったり、新たな仮説の検証を行うために協力してもらうなどの相談もできるはずです。
著者情報
工学系の大学を卒業後、大手通信キャリアでシステム開発、データ分析、マーケティング支援に従事。私費MBA留学し戦略コンサルファームに勤務。その後大手通信メーカーで新規事業立ち上げを10年以上。専門は新規事業立案、イノベーション、マーケティング全般。PEST分析やSWOT分析などのビジネスフレームワークの研修講師も担当。その他スキルに英語、ウェブ開発、動画制作なども。ブログは10サイト以上/ウェブサービスもいくつか開発経験あり。英語はTOEICは955点保持。結構変わった経歴だと思っています。詳しくはプロフィールをどうぞ。