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新規事業とは何か?必要性とかもろもろ、思いもこめて全力で説明してみました。

      2018/02/09

新規事業とは一体何か?知っているつもりになっていませんか?

新規事業って本当に必要なの?

「既存の事業で成果が出ないのに新規事業に取り組むのは、目の前の課題から逃げてるだけでは?」
「しっかり顧客の声を聞いて改善していけば事業は成長するはずなんだから、新規事業などいらないのでは?」
「もし需要がなくなったら、先行した企業の真似をして、市場の変化を後追いしても良いのでは?」
「そもそも新規事業ってほとんど成功しないんだから、効率悪すぎるのでは?」
「どうせ体力がある大企業だけができるんでしょ?」
「新規事業なんて、やったことがないんだから、付け焼刃でやってもうまくいきっこないよ。」

社内で新規事業を立ち上げようとすると、周りからいろんな声が聞こえて来ます。
そして、その発言の裏側には、たいていの場合は上に挙げたような新規事業に対する根強い「誤解」があるものです。

確かに既存の事業がうまく回っているときに、成功するかどうかも分からない新しいことに時間と労力をかけることは、会社全体としては事業効率を悪化させますし、効率の面で考えると顧客の要望に合わせて商品やサービスを提供したほうが確実です。
だから、新規事業に対して既存の事業から逃げているだけだという発言になってしまうのでしょう。
そして、新規事業はこれまで培ってきた企業体質や文化に影響を受けるので、これまで新規事業をやったことのない企業が突然始めてみても簡単にはうまくいかないと思うので、後追いで誰かの真似をしたほうが確実のような気もします。

でも、新規事業を始めることって、本当に「逃げている」ことにあたるのでしょうか?
私は、真逆だと思っています。
これまでにない新しい付加価値を提供しようと試みる意思や意図を、どうして「逃げている」と表現することができるでしょうか?
効率が悪くても、やったことがなくても、いずれは新規事業が必要なときが訪れるものです。自ら率先して、新しいことに、しかも難しいとわかっていることにチャレンジすることを、私は「逃げている」とは決して言えません。
いつか必要になる新規事業に対して、事業環境変化を見据えて先読みし、問題意識を持ち、果敢に挑戦しようとしているのだから、企業の継続的な成長のためには常に必要な活動なはずです。

全ての事業は新規事業だった

どんな企業も事業の拡大や成長を経て現在に至っていますが、グローバル化などによる競争激化の中、どんなに好調な事業であっても、このまま永続するとは考えられません。
当たり前の話ですが、何事にも始まりがあれば終わりもあります。しかし、終わっただけで新しいものが生まれていなければ、そこでおしまいです。
同じように、会社が継続していくためには、事業が終焉を迎える前に、新しいビジネスが必要なのです。
どんなビジネスにも会社にも、かならず事業を立ち上げた過去があるのです。

新しい事業が生み出されるには、条件があります。それは「未解決の問題」です。
未解決の課題には、これまで経験したことのない喜びや驚きなども含まれますが、多くのイノベーション理論で解説されているように、まだ解決されない課題や、もっと満たすことができる欲求がある領域には、必ず新しいビジネスのチャンスがあるといわれています。
未解決の問題と、それを解決する意図があるとき。新規事業が求められるのは、こう言ったタイミングなのです。

では未解決の問題とは何でしょうか?
それは目の前のお客さまの悩み事でしょうか?答えは、YESでありNOです。
目の前のお客さまの悩み事を、これまでにない方法で解決することができ、お客さまが十分に対価を支払う意思があるとき、YESとなりますが、たとえばメーカーが、チャネルを通して小売店や卸売業者などの中間販売業者経由で消費者に商品を届ける場合、目の前のチャネルが抱える問題を解決しても、結果的に消費者の問題を解決することができないかも知れません。
このような場合は、チャネルと最終消費者の間で利害関係が生まれ(関係者が多くなればなるほど利益のトレードオフが生まれる可能性が大きくなります)、新しい付加価値を生み出すために、何かを犠牲にする必要がでてくるかもしれません。そして、トレードオフのバランスを重視してどっちつかずの予定調和的な商品となり、結果的に最も解決すべき本質的な課題がそのままになってしまうことがあるのです。

未解決の問題とは、あくまでも最終消費者(もちろん法人の場合もあります)の抱えている悩みごとや潜在的な欲求であり、それらの問題や欲求を満たす手法を考えつつ、その解決のための制約条件(多くの場合は上記のようなトレードオフや技術的・物理的課題、法規制、商習慣・文化・思い込みなど)をあぶり出し、技術などのリソースを使って提供するのが「新規事業」なのです。

新商品と新規事業の違いって説明できますか?

そもそも、新商品と新規事業の違いってわかりますか?
新商品の企画は、簡単に言うと新しい商品を作ること。
もうすこし正しく言うと、新しい商品を作ってこれまでどおりの方法で販売することです。
さらにいうと、新商品であっても既存の機能をバージョンアップして商品名を変えただけのものもあれば、新しいテクノロジーを使って今までにない機能を盛り込んだ商品もあったり、これまでお付き合いのなかった顧客や市場向けにこれまでの商品をカスタマイズすることも新商品と呼ばれることがあります。

では、新規事業とは何でしょうか?アンゾフのマトリクスを持ち出してきて、「新商品を新市場に提供することだ!」とか、「いままで扱ったことの無い事業のことだよ!」とか、どこにも明確な定義などないので、どの会社でもバラバラ好きなように言っていたり、社内でもなんとなく共通言語として使われているものの、説明しろと言われても誰もちゃんと説明できない常態なのが実情ではないでしょうか。そしてこれまでは、新商品の延長線のような曖昧な捕らえ方であっても、そしてぼんやりとした共通言語であっても、まったく問題がありませんでした。

しかし、いざ誰かが具体的に新規事業を企画する必要が迫られてくると、次第に話がこんがらがってきて、社内の上からも下からも好き勝手なことばかり言われて収拾が付かなくなってきます。いったい新規事業と新商品の企画って何が違うのでしょうか?そして、いままで新商品や新機能を企画してきた人材が新規事業を企画するのに何か問題はあるのでしょうか?

・・・はい。問題は大有りです。とってもおおきな問題だと思います。

新規事業を興すということは一体どういうことか?

では新商品を企画することと、新規事業を企画することって本質的に何が違うのでしょう?
同じように、新しい販売促進手法やプロモーションの施策、新しい販売ルートやチャネルを構築することも、新規事業とはどう違うのでしょうか?

結論からいうと、新商品企画と新規事業企画の明確な違いは、バリューチェーン上のプロセスをいくつ、新たに構築するのかによって決まります。たとえば商品だけ新しいものにするといったように、プロセスのひとつだけを刷新する場合は、新商品企画や新規チャネル戦略などという言い方をします。
その一方で、複数のプロセス(たとえば商品と販売プロセスの両方、または商品と調達プロセスの両方etc)を同時に変更する場合は、新しい事業を企画することになります。

異論はあるかも知れません。たとえば、二つ程度のプロセスを刷新するだけで新事業とはいえないといった声もあるかも知れませんし、新商品企画であっても新しい販売プロセスを採用するケースだってあるじゃないかという声もあるでしょう。確かにそういう声が大きすぎて検討がすすまないような摩擦が起きるようでしたら、それはその時々の判断で呼び名を変える必要があるかも知れません。

しかし、このようにいろんな声は聞かれるかもしれませんが、いずれにしろ、それは本質的な問題ではありません。
なぜならば、究極としてすべてのプロセスを刷新する場合であっても、たとえば人材や工場などの設備といった社内プロセスやリソースを流用することもあるでしょうから、どの程度のプロセスを刷新すれば新規事業と呼べるかは、結局は程度の差でしかないのです。ここでは、少なくともひとつ程度のプロセスを新たに企画する程度では、新規事業の企画とはいえないということだけおさえておけばいいでしょう。

そういう意味では、どれくらいの規模とインパクトで企画するのかによっても、新規事業と呼べるのかどうかが、決まってくると言えます。
インパクトというのはいわゆるリソースの転換のことで、自社が保有しているヒト・モノ・カネや情報がどの程度大きく増えたり減ったり、流れる方向が変わったりして、いままでのやり方や慣習が変わるのかということです。

要するに、ひとつの目的に向かって、同時に新しいやり方を企画するプロセス(商品?販売?生産?販売促進?)の数と、社内のリソースに与える影響の大きさで新規事業であるかどうかが決まるのです。

新規事業の成功要因

新規事業とそのほかの新規企画の違いがわかったところで、それでは新規事業に特有の成功要因とは何か考えて見ましょう。

1.「事業」が提供するもの=アイデア、発想の視点

まず最初に必要なのは、事業の種となるアイデアです。
新しいビジネスや事業が提供するものがないと事業は成り立ちません。事業として提供するものが、形のある商品であれ、形のないサービスであれ、具体的に提供できる付加価値とは一体何なのか?また、実際に利用するシーンを想定してどのくらいの人が問題を認識していて、のどから手が出るほど解決を求めているか?そして、それを顧客に届けるための障壁や障害となる競争相手はだれなのか?を考えることから始まります。

  • 付加価値 =買ってくれる人のことを考える。
  • 市場セグメント =課題解決を求めている人がどのくらいいるのかを考える。
  • 戦略(レバレッジ×制約条件) =戦う相手のことを考える。

2.「事業」を実行するもの=統合されたプロセス、実体

顧客に提供するビジネスのアイデアだけでは事業は成り立ちません。
アイデアを実現し、顧客に提供するためのプロセスや事業を運営する組織の実体が必要です。簡単に言うとビジネスモデルとビジネスモデルを流れるモノ、カネ、情報などのリソースが必要です。そのしくみを考えるだけでなく、いかに効率的にスムーズに運営することができるかが、利益を生み出すKSFとなります。

  • 事業構造(ビジネスモデル) =入れ物
  • ヒト、モノ、カネ =入れる物

3.「事業」化への進め方 =既存事業と違う進め方

提供するビジネスのアイデアとそれを実行に移すプロセスや実体があれば、新規事業の企画立案レベルは必要最低限をクリアしますが、実際に事業化しないとビジネスとして動くことができません。そしてその事業化への進め方は、既存事業の進め方とは大きく違います。

一般的には事業の運営には、事業計画とPDCAサイクルが必要だと言われています。もちろん、無駄を省き、改善を進め、計画を達成するためには有益な視点なのですが、それらは既存事業には向いていても、新規事業には向いているとは限りません。
新規事業の場合は、無計画でもいいのでアイデアありきで実践しながらすすめる決断力、実行力、そして次のアイデアが求められます。よく新規事業の進め方においても、まずは顧客の声を聞いてみて、調査や分析をしてから、試してみようという流れを踏むべきだという人もいますが、私は、むしろまずはアクションありきで、自分がやりたいことや、やるべきだと思っていることを実行してから、次に調査分析に移ったほうが、新規事業の立ち上げには向いていると思っています。このほうが、スピード感と納得感が違います。

  • ステップ1.アイデア=自分のやりたいこと<.li>
  • ステップ2.実践=仮説検証
  • ステップ3.分析・調査=学習
  • ステップ4.仮説だし
  • ステップ1.に戻る

4.考える人、決める人、実行する人

新規事業の場合、新規事業のアイデアを考える人、決める人、実行する人は、基本的にすべて同一人物が望ましいと思います。そうすることで、当事者意識の醸成によって、事業化が高速ですすむだけでなく人材としても急成長を促すことができます。とはいえ組織である以上、資金の提供モトがいるはずですので、資金提供側の姿勢が非常に重要になってきます。もし資金提供側が(主に経営陣であるケースが多いですが)、企画立案者の人柄や人格などではなく、ビジネスアイデアの裏にある売上や費用ばかり気になってしまうようでは、成功しません。なぜなら、新規事業の初期仮説が間違っていたときにすぐ売上などの数字の話ばかり持ち出して、モチベーションを奪ってしまうことになってしまうからです。こうなると新規事業化はなかなかうまくいかないでしょう。つまり、資金提供側に「人を支援する文化」または「人に投資する文化」がない企業では新規事業は育ちにくいと思います。
簡単に言うと、企業として新規事業立ち上げの経験者が豊富で、放任するだけの度胸がある人材が必要なのです。そのためには長い間の新規事業にかける意気込みや経験の蓄積が必要だとも言えます。

  • 考える人、決める人、実行する人は同一人物 =当事者意識&スピード<.li>
  • 売上や費用ではなく、人を支援する文化
  • 新規事業立ち上げの経験者が豊富
  • 放任するだけの度胸
  • 組織としての長い間の新規事業への意気込みと経験

新規事業の成功のために最も重要なこと

では新規事業の成功のために最も重要なこととは何でしょうか?
まず、新規事業の目的を達成するためには、アイデアが事業として立ち上がることが必要です。しかしアイデアがそのまま事業化するわけにはいかないので、アイデアを実現して検証することが必要なはずです。しかし、アイデアを検証するためには、次々とアイデアが発想されることが前提条件なので、結局アイデアを出す人材がもっとも重要ということになります。前節の流れからもわかるとおり、やはり新規事業には「人」こそが最重要なリソースなのです。

なんだよ。結局ありきたりな答えかよ!と思われるかもしれませんが、人を大切にしていない企業に限って、いろいろやっているけど新規事業が立ち上がらないんだよと嘆いている気がするのです。逆を言えば、人を大切にしている企業のみが、真に新規事業の立ち上げに成功していると言えるのではないでしょうか?
その人を生み出すには、自由に発言し活動できることが、なによりも重要です。組織に出来ることはリソースを提供することと、その人を自由に活動させてあげる環境を提供することと言い切っても過言ではないかもしれません。

冒頭に、いままで新商品や新機能を企画してきた人材が新規事業を企画することは、大問題だといいました。ずいぶん遠回りをしてきましたが、その答えはここにあるのです。
これまで単一商品の機能改善やラインナップ拡充ばかり企画してきた人には、まったく新しい視点でアイデアを出すように促されても、そんなに簡単に発想を飛躍することはできません。なぜでしょうか?それは、飛躍した発想をすると、必ず既存のお得意様の顔が見えてしまったり、上司の判断基準や評価基準を無意識のうちに考慮に入れた予定調和のアイデアに縛られてしまうからです。それは責められるべきことではありません。役割を正しく果たしてきたからこそ、生まれてしまうジレンマなのです。

だからこそ新規事業を担う人材には、これまでの既存事業を担当していた人材ではない、まったく畑の違う領域の人材に任せてしまい、外部の声からも遮断し、自由に活動させてあげることが重要なのです。

さいごに。新規事業の成功に必要なことそうでないこと

最後に、新規事業の成功に必要なことと、そうでないことをまとめてみました。これまでの経験上、当たらずとも遠からずという気がしています。

大前提として当然必要なこと

言い換えれば、少なくともこれだけあれば、新規事業は始められること。

  • 事業アイデア
  • ちょっとしたリソース

上記で述べたこと以外で一般的に必要だと言われているが、かならずしも必要ではないこと

難しく考えすぎて動けないときに、疑ってみるべきこと。

  • 市場の成長性(=トレンド) =固執すると新しい市場を作る発想が消えてしまう
  • 合理性・将来性 =人は必ずしも合理的には動かない
  • 競合または競合商品の存在 =あるなしよりも戦略が重要
  • 既存事業との関連 =かならずしも必要ではない
  • 顧客の声 =お得意様が答えを知っているとは限らない

必須ではないが、成功するためにあったほうがいいこと

思ったとおりにならないと感じた時に、心に留めておくべきこと。たまに振り返るべきこと。

  • 驚き、インパクト =ティッピングポイントを超えるためにあったほうがいいこと
  • 情熱、しつこさ =素養として。新規事業のアイデアと実行力の源泉
  • 決断力、直観、学習 =経験・スキルとして。新規事業経験者であれば身についているはず
  • 運 =味方にできれば最強のものとして

いかがでしたでしょうか?みなさんの新規事業の参考になれば幸いです。

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