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リーダーシップについて、どこよりも分かりやすく、詳しく書いてみましたが、どうでしょう?

      2017/11/13

リーダーシップあるある

誰しも覚えがあることだと思いますが、リーダーシップについて議論していると、いつの間にか後ろ向きな話ばっかりになってしまいませんか?それは、きっと、しかたがないことないんでしょうね。いつだって、リーダーシップに対する期待と現実とのギャップが激しすぎるから。リーダーシップに対するあるべき姿って、人それぞれ想いがあると思うのですが、きっと、自分のリーダーシップの理想の姿や上司のリーダーシップの取り方に触れたとき、あるべき姿と現実の姿のギャップの大きさに打ちひしがれてしまうのでしょう。

そんなときは、どれだけ理想と現実にギャップがあるかを知るためにも、思い切って、身の回りの「リーダーシップ勘違いあるある」を書きだしてみましょうよ。まずは率先垂範。私から書いてみたいと思います・・・。率先垂範。これこそリーダーシップですよね?

あるあるその① 「部下を育てるのがリーダーシップ」

部下を育てるためだとか言って、部下に丸投げしてるだけってリーダーシップっていえるの?部下を育てるって何?

あるあるその② 「ビジョンや理想を語るのがリーダーシップ」

部下にビジョンを語っているくせに、ビジョンを形にするのは部下の仕事。自分は理想に向かって行動しないってリーダーシップっていえるの?理想って何?

あるあるその③ 「チームの成果をあげるのがリーダーシップ」

チーム全体の成果をあげるがリーダーの仕事だと言いながら、部下の成果を横取りってリーダーシップっていえるの?チームの成果って何?

あるあるその④ 「自由な意見を言えるようにするのがリーダーシップ」

部下のことを批判するのは得意だが、自分は批判されることから逃げる。悪いのは全部部下のせいってリーダーシップっていえるの?自由って何?

・・・。本当は、もっとあるんですよ。でもこれ以上書いていると、やっぱり気分が落ち込むと言うか、いろいろ思い出してイライラすると言うか・・・、あんまり精神的に良くないと思うので、この辺でやめときます・・・。

ただネガティブな気分になるだけでは、これ以上記事を書く必要も、読む価値もありませんよね。示唆を得なければ。というわけで、今回は上に見るような「リーダーシップなようでリーダーシップでない」ことを明らかにしたてみたいと思います。

リーダーシップなようでリーダーシップでない

上で書かれていたリーダーシップあるあるは、すべて上司が部下を動かすために「リーダーシップ」を発揮しようとして逆効果になった例です。でも、そもそも「人を動かすこと」をリーダーシップの条件とするのなら、結果的に人を動かせさえすれば、リーダーシップが発揮されたと言えるのでしょうか?であれば、そのための条件を洗い出せば、リーダーシップの姿が見えてくるはずですよね・・・。

リーダーシップとマネジメント

「人を動かすこと」から考えられるリーダーシップの姿は、たとえば以下のような行動でしょう。

  • 指示をだす。
  • 行動を管理する。
  • 間違いを正す(批判する)。
  • そのために、結果で評価する。

実は、こういったリーダーの行動を研究する分野って昔からあるんです。いわゆる「リーダーシップ論」ですが、1970年から90年代を中心にいろいろ研究されてきた結果、どうやらこれらのアクションは「マネジメント」であって、「リーダーシップ」でなさそうだということがわかってきました。

指示を出したり、行動を監視したりするだけだと、部下も組織も暗い雰囲気になって反発されたり、作業の品質がさがったりすることがわかり、以下のことも考え出されました。

  • 機嫌をとって仲良くする ・・・ X理論Y理論
  • 部下の言うことを聞いてあげる ・・・ サーバントリーダーシップ
  • わかりやすく説明する ・・・ パスゴール理論
  • 最終ゴールやビジョンを見せてあげる ・・・ 変革リーダーシップ

これらは、「結局、人は言ってみて、やって見せないと動かないよね。」ということに着目した結果生まれた理論ですが、現実問題としては、これらの理論に従っても、かならずしもうまくいくとは断定できないようです。そもそもリーダーシップがうまく働くためには、部下やメンバー(フォロワーといいます)のモチベーションと深く関係しているので、リーダーシップ論だけでは語れないのです。
というより、リーダーシップ研究の対象が成功したリーダーに偏っているということもあって、正しく分析できていないのではないかなぁ?なんてことも僭越ながら思います。
モチベーション理論とリーダーシップ論について書いた記事もあるので、興味がある人は、そちらもご覧ください。
<モチベーション理論とリーダーシップ論は二つでひとつということ>

そもそもリーダーシップって何?

リーダーシップ論の研究成果をいろいろ試してみても、なかなか現場での問題解決に直結しないんなら、原点に戻って「人を動かすことがリーダーシップの条件」と本当に言い切ってしまってもいいのか?もう一度考えて見る必要があると思いませんか?
つまり、そもそも、リーダーがいないとどうなるのでしょう?という原点に立ち戻って「人を動かす」必要性に立ち戻ってみるのです。
いろんな意見もあると思いますが、簡単に言うと次のようなことではないでしょうか?

「リーダーがいないと、問題が起こったときに、うまく解決できないことが出てきたり、判断が遅くなって周りが混乱してイライラしたり、いろんな人が好き勝手なことを言いはじめて、メンバーも不安になって業務に集中できず、なかなかゴールに近づけない。だからリーダーが必要。」

逆に言うと、問題が起こったときでもうまく解決できたり、判断を迅速に下せたり、混乱もイライラも不安もないような場合は、リーダーなんて要らないと言うことですね。つまり「困難な状況」こそ、リーダーシップが求められる場面だと言うことです。
また、上のようなリーダーの必要性からすると、そういった(リーダーシップが求められる)困難な状況でのリーダーシップの役割とは「リーダーが存在することで物事が前にすすむこと」と言えそうです。
ちょっと漠然としていると感じるかもしれませんが、大きな問題であろうと、小さな作業であろうと、その人が引っ張ってくれるから、前にすすむことができること。つまり、リーダーとは文字通り先導役(lead=引っ張って導く)なのだということですね。

リーダーシップとは、リーダーがいることで物事が前進すること

物事を前にすすめるために、リーダーはメンバーに意識的・無意識的にいろんな支援をしてあげることができます。たとえば、具体的な業務知識や業界知識、豊富な実績で部下やメンバーの問題を解決するリーダーだったら、クライアントの要望を完璧に理解して的確な指示をだすことで、メンバーは効率よく業務をこなすことができるかも知れません。
困ったときでも決して弱みを見せずに、いつも楽しみながら笑顔で乗り切ってしまうリーダーだったら、メンバーは不安な気持ちにならずに一心不乱に業務に集中することができるかも知れません。
強力な発言力を持つコワモテのリーダーであれば、もしかしたらリーダーがここにいるというだけで、部下やメンバーに余計な問題が降りかからずに済むかもしれません。

リーダーシップとは、メンバーから信頼されること

このように、メンバーが様々な障害から邪魔されずに、ひとつひとつ業務をこなし、自分が実現したいことや達成したいことに集中でき、進捗や成長を実感することができれば、無意識のうちにリーダーに対して信頼が生まれます。
信頼の生まれ方は、リーダーの実績や性格、リーダーシップのスタイルなど様々でひとつの法則に集約することはできません。ただリーダーシップについて間違いなく言えることは、手段は何であっても良いので、とにかくメンバーの進捗や成長を実感させる支援を提供することができれば、そこには必ず大なり小なりの「信頼」が生まれるということです。

リーダーシップとは、メンバーと困難な状況に挑戦できること

また、メンバーが集中できるためには、環境を整えることが必要だったり、ゴールを明確にする必要があったりと、方法論や手法に対するご意見もいろいろあるとは思いますが、実態はどうであれ、すくなくとも部下やメンバーが余計なことを気にせずに安心して取り組めると「信じてもらうこと自体」が重要です。
そうすることによって、メンバーから圧倒的な信頼を得ることさえできれば、きっとメンバーは、次の新たな困難な状況に自ら進んで挑戦するようになるはずです。なぜか?それは、自分たちのリーダーは絶対に裏切らないと信じることができれば、自分たちはきっと正しい方向に向かっていて、いつの日かハッピーになれると思えるからです。
そう信じてもらえることが「リーダーシップ」なのです。

ちなみに、そう信じさせて最後の最後に裏切ったリーダーは無数にいました。たとえば、ヒトラー、毛沢東、スターリンなど。もちろん、ビジネスの世界でもたくさんいます。
彼らはメンバーに「このリーダーなら、きっと、この困難な状況を何とかしてくれる」と思い込ませることによって、リーダーシップを発揮したのです。結果はどうであれ、メンバーに信じさせて、自ら困難な状況に立ち向かっていかせることが出来るのであれば、それはリーダーシップが発揮されたと考えて良いと思います。

リーダーシップの定義とリーダーシップの構成要素

このように考えてみると、リーダーシップとは、リーダーがいることで問題が解決したり、ばらばらの意見をまとめて、メンバーが不安にならないで自分のやりたいことに取り組めるようにしたり、安心して仕事に打ち込めたりできるということが「リーダーシップ」と言えそうです。

つまりリーダーシップには、①リーダーシップの出番である「困難な状況」、②メンバーの期待や願望である「進捗や成長の実感」、③メンバーの行動や次の挑戦への燃料となる「信頼」の3つの要素が必要なのです。

これらの3つの要素は、相互に関係しあっています。
まず①「困難な状況下」で、メンバーの問題解決のために具体的・抽象的な支援を行うことで、メンバーの②「進捗や成長の実感」を促します。
次にメンバーが成長や前進を実感することで、リーダーに対する③「信頼」が生まれます。さらにリーダーに対する信頼が生まれることで、新しい困難な状況に挑戦するようになります。
という具合に、そして①→②→③→①のサイクルがリーダーシップを強化していくのです。
また、もしかすると、このサイクル自体が本当は「リーダーシップの正体」かもしれません。

リーダーシップの成立に必要なことと、そうでないこと

これまでリーダーシップには「困難な状況」、「成長の実感」、「信頼」の3つの要素が必要だという話をしましたが、ここではこれらの3つの要素について、もう少し踏み込んでみたいと思います。
つまり、何を持って「困難な状況」と言えるのか?「成長が実感」できるために必要なことと、そうでないこととは何か?「信頼」が生まれるために必要なことと、そうでないこととは何か?をそれぞれ見ていくことで、リーダーシップの成立には何が必要で、何が不必要なのかを考えて見ましょう。おそらく、これまでリーダーシップの定石のように言われてきたことと違った見方ができるようになるのではないでしょうか?

リーダーシップの要素「困難な状況」

繰り返しになりますが、リーダーシップが必要な「困難な状況」は、リーダーがいないとどうなるかを考えてみるとわかると思います。
つまり、何か新しいことに挑戦しようとしたときに、自分ひとりだけでは組織の壁を乗り越えて周りを説得できないと感じたり、会社全体が市場ニーズの変化に合わせて変革しないといけないのに、過去の成功や慣習に縛られて身動きが取れないとき、他にも環境の変化が激しくて迅速にいろいろと決めていかなければならないときや、いままでの経験がまったく通用しない状況になってしまったときなどではないでしょうか?
このような場面では、いろんな人が横からワイワイ横槍を入れてきたり、好き勝手なことを言ってきますし、メンバーにも不安や混乱が生まれ、活動が停滞してしまいます。こんなときこそ、リーダーシップが必要な局面なのです。

一方で、上記と真逆で、これまでと同じことをやっていれば、うまくいくと考えられるときや、市場や環境変化の先が読めるとき、周りには反対する人もおらず、競争もマンネリで、だれがやっても結果が変わらず安定する場合は、リーダーがいなくても誰でも簡単に決断もできます。こういった状況は、決まった活動を的確に、正確に、すばやく、効率よくこなすことが求められます。つまりリーダーシップよりもマネジメントが求められる状況ですね。

リーダーシップが求められる状況

  • 周りからの反対が多いとき・変革が必要なとき
  • 先が読めない状況・状況が変わりやすい
  • 経験がなく不安な状況・誰も決められないとき

リーダーシップがいらない状況

  • うまくいっている時
  • 誰でもできるとき
  • 競争相手がいないとき
  • 自分だけでやりたいとき
  • 先が読めるとき

リーダーシップの要素「成長の実感」

次に「進捗や成長の実感」できるために必要なことと、そうでないことはどうでしょうか?
まず、メンバー自身が「前にすすんだ」とか「進捗してる」「成長してる」と実感することが必要です。こんなの当たり前だと思われるかもしれませんが、結構、勝手に思い込んでいるケースが多いと思います。たとえリーダーが「あいつは成長してきたな」と思って褒めたとしても、本人が成長を実感していなければ、あまり意味がありません。
実は、成長や成功の基準というのは人それぞれなので、一般的なリーダーシップ論で述べられているように、すべての活動の達成度を数値等で客観的に測定できることなどできません。それよりも、メンバーが今現在、具体的に抱えている問題を解決することであったり、少しでも自分の夢や目標に近づいたと「感じる」ことが重要なのです。

よく期限を切って、今年中に○○の技術を身につけることを目標にして、それを達成できるかどうか、または成功したかどうか、おおきな実績や成果を出したかどうかで、メンバーの成長を図るリーダーもいますが、リーダーシップの側面で考えると、かなりずれています。
目標設定は、マネジメントの側面では必要なことかも知れませんが、リーダーシップの側面から考えると、行動を起こす主役はあくまでもメンバーなので、メンバー本人が「リーダーの存在」のおかげで成長したとか、「リーダーの支援」で進捗したと感じてもらえない限り、リーダーシップを発揮したとはいえません。

つまり個々のメンバーのもっとも期待していることが何なのかを把握した上で、その期待を満たせるように支援してあげるとか、成長を後押ししてあげることが重要なのです。ということは、フォロワーの人数や支援する業務の種類が増えるにしたがって、リーダーシップを発揮するのが大変になっていくのです。

メンバーが「成長を実感」するために必要なこと

  • メンバー自身が実感できること
  • 状況が改善されていること・問題が解決されていること
  • 再生産できること・一度きりではなく繰り返し解決できること

「進捗や成長」を実感するために必ずしも必要ではないこと

  • かならずしも成功する必要はない・大きな成果を上げる必要はない
  • 測定可能である必要はない
  • 期限を決める必要はない

リーダーシップの要素「信頼」

では最後に「信頼」を得るために必要なことと、そうでないことは何でしょうか?
この辺はリーダーシップ論でいろいろと研究されている分野ですので、これまで必要と言われてきたことは、いくらでも挙げることができます。たとえば「ビジョン」や「理想」がそれです。でも、ビジョンは本当に「リーダーシップ」または「信頼」に必要な要素なのでしょうか?たしかにビジョンがあればメンバーはなんとなく向かっていく方向性はわかるかも知れません。しかしリーダーの本気度は決して伝わりません。理想を掲げるだけで、自分では何も実行もせずに部下に丸投げしたり、何度も部下の期待を裏切ってきた人が、いくらきれいなビジョンを掲げたとしても、信頼は生まれませんし、リーダーシップも発揮されません。
では、論理的な正しさや、人間的な優しさ、明るさや誠実さはどうでしょうか?私は否定的です。仮にメンバーが、リーダーがいかに優れているか、または人間性にあふれていることを知っていても、かならずしも「信頼」は生まれとは限りません。時には信頼されることもあるでしょうが、それだけでは信頼されないかもしれません。
結局「信頼」は直接的な触れ合いや実務的・生産的な便益などによって生まれる非常にナイーブなものなのです。だから、信頼を得る方法論を述べても、あまり意味はありません。つまり、おかれた環境とリーダーとメンバーの人格や才能に左右されるのです。ケースバイケースとしかいえません。
ただひとつだけいえるのは、何でも良いので、漠然としていたり、無意識なことでもいいので、とにかく何かしら「信じられるもの」または「信じてもいいと思えるもの」がひとつ以上必要だということです。

「信頼」を得るために必要なこと

  • ひとつ以上の信頼される理由が必要
  • 漠然としていても良いので「信じてもいいと思える」何か
  • 実際に有益であること

「信頼」を得るために必ずしも必要ではないこと

  • ビジョンやゴールの設定
  • 明確な論理性・合理性・裏づけ
  • 大きな成果・わかりやすい実績や経験
  • 人間性・明るさ・誠実さ

私が経験したリーダーシップあるある

私が新規事業を立案していたときのことです。
私の上には、掛け声だけで自分では何もしない「リーダー」がいました。
理想を語るリーダーに対して、私はいつもメンバーの企画を批判するだけでなく、積極的に自分の企画を出して、理想の実現にむけ、自ら実践してくれることを期待していました。
新規事業の立ち上げは、まさに困難な状況だらけです。そんな中、リーダーが自らの力を出して言い出したことを自ら実践することで、失敗してもいいからやってみるんだという姿勢を見せて欲しかったのです。しかし、結局そのリーダーは、自らは何も実践せず、きれいな報告書を作って経営層に報告するためにメンバーが頑張って出した成果を横取りし、モチベーションを下げたのでした。
これでは誰からも信頼されることはありません。①の困難な状況があったとしても、②の支援(ここでは自ら実践してみせること)がなかったり、部下の不平を買うような行動で③の信頼を得られないようでは、リーダーシップは決して発揮できません。

リーダーシップには大きな実績や成功は不要か?

ここまで読まれた方の中には、本当に実績や大きな成果はリーダーシップに必要じゃないのか?気にしなくて良いのか?と思われる方も多いと思います。または、実績を出すことをゴールとする必要がないという考えに対しても、「じゃあ何のためのリーダーシップなんだよ?」という意見もあるでしょう。
いろいろな意見はあると思いますが、私は、リーダーシップには必ずしも成果が必要だとは思っていません。ゴール設定もビジョンも必要ないと思っています。

誤解して欲しくないのですが、私は、ビジョンやゴール設定自体が不要だと言っているわけではありません。ビジョンやゴール、実績や成果を目標にしたりゴールにするのは、マネジメントの役割だと考えているのです。
リーダーシップとマネジメントの間には、大きな役割や機能の違いが横たわっています。
リーダーシップを理解するためには、リーダーシップとマネジメントの違いを理解する必要もあるのです。

「信頼」と「成果」のどろどろとした関係

高い成果や実績はマネジメントの担当であって、リーダーシップとは関係ないよと言われても、まだ納得しない方もいるでしょう。それでは、リーダーシップの要素の「信頼」と「成果」についてもう少し触れてみましょう。

そもそも信頼が生まれる方法は様々です。もちろん、高い成果や過去の実績が信頼を生むこともありますが、失敗を許容することで信頼が生まれるケースも往々にしてありますし、周囲からの評判や、合理的・論理的な説得力が信頼を生むこともあれば、相手に対する気遣いや愛嬌が信頼を生むケースだってあります。高い専門的知識やするどい洞察力が信頼を生むこともあれば、困難なことに果敢にチャレンジする無邪気さや無神経さ、ある意味の鈍感さが信頼を生むこともあります。

そんな中、逆に高い成果や大きな成功が信頼を損なうこともあります。たとえば、あなたの周りには成績の良い同僚や仲間に対して、やっかみを持っている人はいませんか?「人のこと押しのけて上に上がっていくヤツは、信じられない」とか「この間までは腰が低かったのに、成功すると急に生意気になった」とか「みんなヤツにだまされているだけで、たまたま運が良かっただけだよ」とか。
もしも高い成果に結びついてなかったら、そして失敗していたら、このようなやっかみは出てこなかったかもしれません。無邪気な子供を見守ってあげるような好意的な目で見られていたかもしれません。

でも本当は、その人は、人をだませるぐらいの説得力があったのかもしれませんし、人のことを押しのけるだけの実力があったのかも知れません。ましてや、生意気と成功の因果関係もありませんし、運も実力のうちではありませんか。
要するに、自分と相手の不公平感があるかないかによって、信頼が築けたり、築けなかったりするのです。つまり、どろどろした人間関係がある限り、信頼関係と高い成果とは必ずしも因果関係があるとはいえないのです。
こう考えてみると、いくら高い成果が出ていても、それはリーダーシップとは直接関係はなさそうです。要するに、リーダーシップと高い成果にも相関関係はないということです。

リーダーシップはマネジメントではない

繰り返すようですが、リーダーシップは成果や成功のためには存在していませんし、成果や成功の上に成り立っているとも考えていません。
リーダーシップは、あくまでもリーダーシップそのもののために存在しているのです。だから、3つの要素がサイクルとして循環し、強化されるのです。つまり、リーダーシップは「自己目的化」しているのです。

それでは、なぜリーダーシップはリーダーシップのために存在していると、いえるのでしょうか?
それは、リーダーシップとはあくまでも人と人の連携を促す「機能」のひとつに過ぎないからです。それがマネジメントとの大きな違いです。マネジメントは人と成果を結びつけます。行動の背景と結果、評価、さらなる計画。要するにPDCAがマネジメントの基本ですが、リーダーシップはそれらと隔絶された世界で考えなければなりません。
リーダーシップは、マネジメントのように「人を動かす」のではなく、「人を先導する」のです。リーダーシップのサイクルの渦に「人々を巻き込んでく」のです。

そもそもリーダーが先導する役目(=機能)なのであれば、やるべき課題や業務の数だけリーダーシップもあるはずです。なぜならば、すべての業務はゴールを達成するために前にすすまなければならないし、誰かが引っ張っていく必要があるからです。だからこそ業務を担当する側の人から「安心して業務を行える。」「困ったことがあったら助けてもらえる。」「正しく導いてもらえる。」そういった信頼関係を築くことができれば、業務を任せる側の人はリーダーシップを発揮していると言えるのです。先導しているからです。

そして、仕事というのは、そういう大きな仕事とか小さな仕事の集合体であるのです。つまり、リーダーシップの塊なのです。だから、だれもがリーダーになれるはずなのです。
メンバーはそいった「リーダーシップ」を頭では正確に理解できていないくても、実は体では正確に感じとっています。
だからこそ、リーダーと言われている人が成果を独り占めするようなことがあれば、もはや、その人のことを信頼することができず、一緒に仕事をすることに不安を覚え、助けを求めることもできない状況になっていくのです。

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