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事業分析初心者のためのバリューチェーンの意味や分析項目の整理

      2016/02/10

バリューチェーンとはなんでしょうか?

バリューチェーンは英語でvalue chainと書き、直訳すると「価値連鎖」ですね。
古い教科書ではいまでも価値連鎖という表現をしているものもあります。

これは、企業が最終的に商品としてアウトプットする顧客価値は、さまざまな活動の連鎖からなるという考えに基づいています。
この最終的に顧客価値を創造するにいたる価値創造プロセスの連鎖のしくみや状況を個別に分析することで、自社のビジネスの全体としてのあるべき姿やビジネスモデルを考え直したり、もっとも高い付加価値を生み出しているプロセスを特定したりできる分析手法なのです。

ちなみに、バリューチェーンは、ハーバードビジネススクールのマイケル・ポーターが、1985年に著作『競争優位の戦略』で提唱したコンセプトです。

バリューチェーン分析で分析できること

企業が顧客価値を生み出す活動やプロセスであるバリューチェーンは、大きく「主活動」と「支援活動」から成り立っています。
では、まず主活動と支援活動の違いは何でしょうか?

バリューチェーンの主活動とは?

主活動は、最終的に顧客に商品として価値を届けるまでの流れをベースにした連続的におこなわれる活動のことです。
ポーターはそれらの活動を、購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスの5つの活動に分類しました。

バリューチェーンの支援活動とは?

支援活動は、簡単に言えば、これらの主活動をささえる仕組みのことで、全般管理(インフラストラクチャー)、人事・労務管理、技術開発、調達活動の4つの活動ですが、より具体的には、全般管理以外の4つの活動については、主活動ごとに支援活動の内容は異なるとしています。

全体として、これらの主活動と支援活動が連携しながら、商品として付加価値を付け加えたあとに、企業の取り分であるマージンを乗せて、最終的に顧客価値を生み出していると考えられています。
つまり、顧客に提供する商品は、バリューチェーンにおける各活動で付加した価値と企業の利益の合計だということですね。
この点は、バリューチェーンの本質を考える上で非常に重要です。

バリューチェーン分析はどうやってやるの?

バリューチェーンを理解すると、このコンセプトを分析ツールとして活用するすることができるようになります。

というのも、「企業が提供する付加価値は各プロセスが生み出す付加価値と利益の合計だ」という考えを基にすると、バリューチェーンの各活動を小分けにして分析することで、どの活動がもっとも高い価値を生み出している活動なのかを特定できるようになるので、ひいては顧客価値の創造にもっとも貢献している活動にリソースを集中してさらに強化したり、貢献していない活動をアウトソーシングしたり、とより効率よく顧客価値を創造するための計画を立てやすくなるからなのです。

たとえば、バリューチェーンを分析した結果から、すべての活動の中で、もっとも他社にはなく自社ならではの価値を生み出している活動が「サービス」であれば、サービス要員を増強することで、もっともっとリピーターを増やすことができるようになるかも知れません。
逆に、自社の「製造」の活動が固定資産が高い工場をもっていることから利益が押し下げられてしまっていて、付加される価値が低いという結果になるかもしれません。

そういった場合では、工場の稼働率を上げるために生産性の高い機器に設備投資する必要があるといったことが示唆されるかもしれません。
こういった価値創造の活動の中で改善すべき点や強化すべき点の「気づき」を与えてくれることこそが、バリューチェーン分析の真髄なのです。

こういった分析は、何も自社だけではなく、ライバル企業の分析や業界全体の分析にも活用できます。
ライバル企業の得意な活動をバリューチェーン分析で特定して自社の活動を比較をすることで、製造プロセスと物流プロセスでは、どうあがいてもライバル企業に勝てそうにないことが判明したとすると、あえて自分たちはバリューチェーン上の販売・マーケティングとサービスに特化して、製造はEMSに、物流は3PLにアウトソーシングして、自社はファブレス企業として生き残ることもできるはずです。

逆に、ライバル企業の「購買物流」がどうしても単独では解決できない課題だとわかったとしたら、ライバル企業の供給業者と良質な原材料や部品を大量調達してしまったり専売契約をしてしまったりして、ライバル企業には良質な原材料がまわらないように先手を打つという手も考えられるかもしれません。
調達先が限定されているのであれば、もしかしたら、いっそうのことその調達先の企業を買収していしまうという手も有効かもしれません。

このようにバリューチェーンは、自社の付加価値の高い活動を特定するだけでなく、業界内での自社の内部環境の強みや弱みを洗い出して戦略を立案するツールであもあるのです。
こういった視点は、SWOT分析といっしょに使うことで、さらに役に立ってくれるはずです。

バリューチェーン分析は製造業をベースにしている

このような自社の活動や内部環境の強みや弱みを特定するには、便利なバリューチェーン分析ですが、具体的にはどういった内容で分析すればいいのでしょうか?
バリューチェーン分析は、基本的には製造業をベースに発展してきた分析手法だといわれていますので、ここでは、主に製造業を念頭においてバリューチェーンを使って分析する項目や内容を見てみましょう。

バリューチェーンの主活動

購買物流
 調達する原材料や部材を破損なく、または品質を低下させずに扱えるか?
 必要な数量を、必要なときに製造にまわせるか?

製造
 完璧に仕様書にそって製造できるか?
 魅力的なデザインに製造できるか?
 仕事の変更に柔軟に対応できるか?
 不良品率を低くできるか?
 短時間で正確に製造できるか?

出荷物流
 倉庫からすばやく出荷できるか?
 受注処理を正確に、しかも短時間でできるか?
 出荷する製品を破損なく、または品質を低下させずに扱えるか?

販売・マーケティング
 魅了するコピーライティングや広告を制作できるか?
 最適な広告手法を熟知して、実践できるか?
 営業活動でのターゲットの漏れはないか?
 成約率は高いか?リピート率は高いか?
 どれだけ優良顧客をもっているか?
 強力なチャネルを持っているか?親密な関係を築いているか?
 マニュアルや販売促進ツールは適切に準備されているか?

サービス
 お客さまからの問合せ窓口はあるか?
 お客に不快感をあたえない接客技術を持っているか?
 設置やメンテナンス作業は迅速に行えるか?
 取替え部品の在庫は適切か?
 サービスエリアやサービス商品の品揃えは多いか?

バリューチェーンの支援活動

支援活動は、主活動の各要素ごとに個別の分析の視点が挙げられる点に注意が必要です。
企業全体の項目としては、基本的に「全般管理(インフラストラクチャー)」であるべきです。
そのほかの支援活動は、主活動ごとに細分化して分析するように心がけましょう!

全般管理(インフラストラクチャー)
 会社のイメージを高めるような建物や施設か?
 ITなどのマネジメントシステムは優れているか?
 社内制度は充実しているか?
 迅速な意思決定は行えるか?

人事・労務管理
(購買物流)
 優れた社員訓練は行われているか?
(製造)
 安定した労務政策は完備されているか?
 労働の意欲や品質を高めるような生涯設計はあるか?
(販売・マーケティング)
 営業力を強化する適切なモチベーション策はあるか?
(サービス)
 サービス技術者は広範に訓練されているか?

技術開発
(購買物流)
 原材料の取り扱いや仕分けの技術は優れているか?
(製造)
 ほかではできない特異な製品を製造できるか?
 迅速に多様な製品モデルを導入できるか?
(出荷物流)
 複雑な輸送でも対応できるか?
 配送スケジュールは柔軟か?
 配送管理ソフトウェアは充実しているか?
(販売・マーケティング)
 システムエンジニアの技術は高いか?
 販売支援ツールは充実しているか?
 最適なメディアをつねに調査しているか?
(サービス)
 お客さまのかゆいところに手が届くサービスか?

調達活動
(購買物流)
 適切な原材料、部材を調達できる供給先をもっているか?
(製造)
 最高品質の原材料をつかって最高品質の製品を製造できるか?
 低価格で、最高品質の組み合わせで製造できるか?
(出荷物流)
 倉庫の立地は適切か?
 輸送品質の高い輸送会社をもっているか?
(販売・マーケティング)
 最適な媒体に安価で供給できる関係を持っているか?
 製品ポジショニングとイメージは独創的か?
(サービス)
 高品質の取り揃え部品を保持しているか?
 お客さまの要望に応じて、いつでもどこでも対応できるか?

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