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ドミナント戦略におけるエリア戦略と出店・店舗展開の方法、成功事例から見るメリット

      2016/02/10

ドミナント戦略とは何か? ドミナント戦略の意味

ドミナントとは英語でdominantと書き、「支配的な」という意味の単語です。
主に小売業者や飲食店が、どういった地域に出店するかを決めるときの戦略のひとつです。

ドミナント戦略とエリア戦略の関係

ドミナント戦略はエリア戦略と密接な関係があります。
そもそもエリア戦略とは、ある地域において、どのような顧客層がいてどの程度集客できるかといった構想を考えたうえで、営業マンの配置を考えたり、販売パートナを募集するようなことですが、当然ながら出店計画にも大きく関係しています。
エリア戦略が必要な小売業や飲食業であれば、もっとも集客をのぞめる最適なエリアと最適な立地をエリアを選んで、そのエリアの顧客にマッチした商品やサービスを提供するための店舗設計を行うことが、売上拡大と利益拡大には欠かせません。

当たり前ですが、ライバル企業も同じことを考えています。
もっとも集客できそうなエリアを同じように探し、出店計画を立て、シェア拡大をもくろんでいるはずです。
しかし、当たり前の話ですが、土地というものは、いったん誰かが物理的に所有してしまうと、ほかの物理的な何かと「空間」を共有できない特徴があります。
たとえ、2階建ての建物の1階と2階にそれぞれ所有者が違うオフィスがあったとしても、それは空間を共有することとは意味が違います。
1階であることと2階であることには大きな違いがあるからです。
このように、ライバル企業がどこかに「出店」した場合、他の企業はまったく同じ立地には出店することはできなくなります。
もしライバル企業が出店しているにもかかわらず、それに対抗してすぐ近くにも同じような店を構えて競争したとすると、ライバル企業との顧客の奪い合いが始まってしまい、得られる利益が少なくなってしまうので魅力がなくなってしまいます。

また、一店舗当たり一日でさばける商品量はそのエリアにいるターゲット顧客層の全体のパイの規模内に限られます。
それに、商品量はターゲット顧客が店舗にたどり着くまでにかかる時間や手段によっても変わってきます。
こういった制約条件や前提条件を様々な視点で分析することで、出店する側の企業はターゲット・エリアを決めますが、ライバル企業の出店数が多くなればなるほど、そのエリアの魅力がますます小さくなっていくわけです。

そんな最悪の状態に陥らず、もっとも効率のよい出展方法やライバル企業を寄せ付けないようにするためには、ある決められたエリアにしぼって、集中的に自社の店舗を出店することができれば、ライバル企業の参入の余地をなくしてしまうことができるはずです。
これをドミナント戦略またはエリア・ドミナンス戦略、ドミナント出店などといいます。
要するに、その地域・エリアを支配的に出店するからドミナント(dominant)戦略なんですね。

また、ドミナント戦略には、エリア内に店舗が集中するので、配送ルートを効率化すること(ミルクラン)や、どこにいってもチェーン店のトレードマークが見られるため、広告宣伝費を安く上げることができるというメリットもあります。
そのほか、フランチャイズ展開しているチェーンであれば、本部(フランチャイジー)も効率的に指導できるといったメリットもあるでしょう。
このように、ドミナント出店は、大規模な小売チェーンが収益性を高めるための定石といわれており、コンビニやスーパー、ファミリーレストランなどでは常識とも言われる戦略です。

<ドミナント戦略の類似用語>
ドミナント方式
ドミナント出店
ドミナント展開

ドミナント戦略とコンビニ -セブンイレブンの成功例

コンビニエンスストアはドミナント戦略を重視した出店計画が顕著だといわれています。
その背景には、コンビニ特有のビジネスモデルが隠されています。

コンビニでは様々な日用品が売られていますが、もっとも売上を上げているのは弁当などの食料品です。
食料品は、鮮度がおいしさの決め手となっているだけではなく、時間がたつにつれて鮮度だけでなく、食中毒を起こしかねないというリスクも抱えています。
食中毒がおこると、営業停止という直接的な損失をこうむるだけでなく、企業イメージが大打撃を受けてしまいます。
そのため、コンビニではとくに食料品の配送にかかる時間をいかに迅速に行うか?といった課題が大きなテーマになってきます。
そこで登場するのがPOSシステムとミルクラン(巡回集荷)に似た運送システムがあります。

セブンイレブンの強さの代名詞としていちばん有名なのは、なんといっても小売分野で世界ではじめて導入されたPOSシステムですが、このPOSシステムによってレジで入力された商品の販売実績を、瞬時にしかも製品単位に把握できるようになったことで、効率的な生産と出荷が可能になったのです。
出荷後の運搬については、一定エリアに集中して店舗展開することで一店舗あたりの運送にかかるコストも運送時間も大幅に短縮することができます。
その結果、おいしい弁当をおいしい状態で安全に、しかも格安で消費者に届けることが可能になったわけです。

コンビニは「人口1万人当たり1軒」が、守備範囲と言われていますが、その人口を同じコンビニチェーンで埋め尽くすまで集中的に出店して成功させたのが、セブンイレブンなのです。
こちら記事もどうぞセブンイレブンの強み分析 記事から読み解くケーススタディ

コンビニ以外のドミナント戦略 -クックパッドの成功例

一般的にドミナント戦略とは、コンビニエンスストアなどのチェーン店がとる戦略ですが、ネットビジネスでも同じような効果があります。
それはクックパッドです。

クックパッドは1998年設立の世界最大のレシピサイトで、200万以上のレシピ、30代女性の7割が利用、月間ユーザー数は5000万人以上、営業利益率が50%以上を誇るお化けサイトです。

同じ時期には、楽天やYahoo!Japanなどのネットバブル時に成長したベンチャー企業がありますが、それらの企業と比べるとクックパッドの躍進は非常に遅いものでした。
成長軌道に乗るまで幾多の紆余曲折がありましたが、設立から10年以上の年月がたって、ようやくレシピサイトとのしての認知度が高まり、広告収入で成長軌道に乗り、営業利益率の高さが話題になってきたとき、同じ時期に起業した巨大ライバル企業が出現してきました。
それが楽天です。

楽天は、楽天レシピというサイトで、クックパッドと同じようなコミュニティサイトを構築し、クックパッドが醸成したレシピ検索市場を狙いに来ました。
圧倒的な知名度と会員数を誇る楽天は、会員に対してレシピを掲載するとポイントを付与するという特典をつけて対抗してきたため、クックパッドの凋落は時間の問題だと思われていました。
クックパッドには楽天に簡単に真似されない仕組みは持っておらず、対抗する手段も持ち合わせていなかったのです。

しかし、勝者はクックパッドでした。

なぜでしょうか?
ヒントはレシピを探す人たちの特性にありました。
ネットでレシピを探す人たちは、すでにクックパッドを利用していた人たちか、またはGoogleなどの検索エンジンでレシピを検索するかのどちらかだったのです。

クックパッドはユーザーの利便性を考慮したつくりになっていて、コミュニティ内でお互いに評価しあう仕組みができあがっていて、スイッチングコストが非常に高い状態でした。
とうぜんクックパッドを利用していた人たちは、何年も使い慣れたクックパッドを継続して使おうとします。

さらに、クックパッドは楽天が参入してくる10年以上前から、ひたすらネット上にレシピを公開しつづけていたため、検索エンジンでの検索順位では、ほぼすべてのレシピでトップを独占していた状態だったのです。
つまり、検索順位という「エリア」に対して、すべての料理レシピである「店舗」が、すでに支配的に独占していたのです。
つまり、圧倒的な数のレシピによって、検索エンジンにひっかかるレシピのほとんどで上位を占めることに成功できていたため、後発の楽天レシピが市場参入してきたときに、撃退することができたのです。

クックパッドが意識的にドミナント戦略を実施したのかは不明ですが、結果的には「ドミナント戦略」が大成功した事例だといえるでしょう。

こちら記事もどうぞクックパッドの成功とビジネスモデル【古典ケース・スタディ】

ドミナント戦略 メリット

効率的に出店計画できる

特定エリアの顧客特性や属性を調査することができるので、効率的な出店計画ができます。
これまで述べてきたとおり、エリア戦略が大きく影響しているドミナント戦略では、ターゲット地域の顧客層がどういったニーズを持っているのかなどの調査が非常に重要であり、その調査結果に基づいて立地を選ぶことになります。
ドミナント出店では、その調査工数や費用をもとに複数の店舗の出店計画が行えるので、非常に効率的だといえます。

知名度の向上と広告宣伝費の削減を同時にできる

エリア内に店舗がひとつしかない場合には、ターゲット顧客の目に触れるチャンスも、店の前を通るときだけに限られてしまうでしょう。
ドミナント出店にすることで、道路沿いにある看板などでチェーンブランド名や会社名を広く知ってもらうことができます。
繰り返し目にする結果、宣伝広告費を使うことなく、認知度、知名度が格段に向上します。

参入障壁を構築できる

人口当りの店舗数の上限に近い状態では、新規参入による集客の可能性がなくなることはライバル企業の市場調査の段階でわかるはずです。
参入意欲をそぐためにも大変効果的な手法だといえるでしょう。
大幅な人口増、ターゲット顧客増が見込めるエリアでない限り、参入障壁を構築することができるはずです。

物流コストを削減できる

特定エリアに密集して出店するということは、店舗間の距離が近いということです。
そのため、運送にかかる費用、時間などを短縮することができるはずです。

店舗運営コストを削減できる

フランチャイズ店であれば、店舗運営を指導する中央部の管理コストが削減できます。

ドミナント戦略 デメリット

他エリアへの展開スピードが遅くなる

ある地域へのドミナントは簡単には完成しません。
コンビニ最大手のセブンイレブンがまだ出店できていないエリアがあるのはそのためです。
出店が遅れている地域では、他のライバル企業がドミナントを達成している可能性があります。
そういった場合は、そのエリアへの進出が困難になってきます。

リスクが集中する

たとえば災害による被害の拡大があります。
同じエリア内に多数の店舗を展開しているということは、その地域に震災などの災害は発生すれば、壊滅的な被害を受ける場合があります。
天災だけではありません。特定エリアに限定した目玉商品が販売不振に陥った場合でも、同様のリスクがあるでしょう。
集中して店舗展開するということは、被害も集中するのです。

代替品の脅威が増す

コンビニ弁当と牛丼チェーンが争っているところに、ファミリーレストランが参入することなどがそうです。
資本のある大手の参入などがそうです。
業界最大手の出店があれば、一度に被害を受ける恐れがあります。

カニバリゼーションのコストがかかる

エリア内に同じチェーン店が出店されるということは、同じ顧客を奪い合う可能性があるということです。
お互いが集客のために、無駄な値引きをしたりすると、利益が減少してしまうでしょう。
綿密な出店計画が必要な理由はここにもあります。
 

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