Preneur-Preneur

アントレプレナーやイントラプレナーのための情報サイト

これまででいちばんつらかった、新規事業を立ち上げるときの5つの産みの苦しみ

      2017/11/13

今回は、新規事業の企画を進めるときに味わった経験談です。
新規事業に障害とか失敗とかはつきものとはいいつつも、今ふりかえってもやっぱり苦しかった思い出がたくさんあります。
もちろん、今ではすべて乗り越えていますが、もういちど経験したいとは思いませんね。

1.いっしょにやっていた仲間が、一瞬でいなくなったこと

みんないなくなってしまいました。アイデアを出して企画を立てていた段階では、仲間は5人いました。メンバーは開発、プロモーション、技術、営業からこっそりメンバーを集めてきました。そもそも、業界の常識では絶対成功しないといわれていたビジネスモデルだったので社内から大反発を受けていたのですが、みんなでがんばって、なんとか事業責任者への最終プレゼンまでこぎつけました。そして、事業責任者からNGを出された瞬間に、みんないなくなってしまったのです。ふつう、事業責任者からNGがでたらそれでおしまいなのでしょうね。それでも、私はどうしても諦め切れませんでした。そこで別の手を使って再挑戦すべく、そのときの仲間にもういちど協力してくれるようにお願いしたのですが、残念ながら誰一人仲間になってくれませんでした。そのうち二人は、ほとんどケンカわかれ状態。一人は退職してしまいました。最後の一人もフェード・アウトして、私一人が残されました。結局、私はひとりきりで再挑戦して、結果的には成長軌道に乗せることができたのですが、とってもつらい経験でした。

2.トラブル・メーカーとして見られること、見られ続けること

常識的なアイデアやアプローチでは、新規事業は成功しにくいものです。なぜならば、常識的なアイデアなんてだれでも思いつくことができるからです。だれでも思いつく安易なアイデアはすぐ競争が過熱してしまうので利益がでません。そんな状態になるのがわかっているのに、それでも常識的な発想で新規事業を考えるようであれば、そもそも戦略的なセンスがないのです。でも、この当然の理屈をきちんと理解してもらえている環境(たとえば社長からの全面サポートなど)がないと、新規事業の発案者は死ぬほど苦労します。たとえば、発案者のことを白い目で見る社内の空気です。この空気が、社内の貴重な協力者を遠くに追いやってしまうのです。成功が保証されていない中で、むしろ失敗するほうが多い新規事業において、トラブル・メーカーとして見られることは、自分のアイデアに対する「信頼」と自身の事業家としての「自負」がない限り耐えられるものではありません。たとえ社内のみんなを敵に回しても、たとえトラブルメーカーとして見られてたとしても、それが社内事業家としての勲章だと思えるような人でないと、イントラプレナーには向いていないのかもしれませんね。

3.人間不信になること

いろいろ言われました。結構きつかったのは、信じていた人が影で「あいつ(私のこと)にだまされたよ!」って陰口をたたいていたことを聞かされたことです。受注がまったく伸びていない苦しい時期だったので、ダブル・パンチでした。また、私のアドレスが同報に入っているのを知らないで誹謗中傷メールを社内外に送られたり、会議であからさまに「ネットで遊んでる場合じゃないだろがっ!」といわれたこともありました。当時の上司も、当然のごとく批判する側にまわり、さいごには発案者である私を異動させることで責任回避した人でした。それでも耐えました。異動先では誰にも相談することもできず、ひとりでいつの日か上昇するのをひたすら待って耐えましたが、事業が上向いてきたときでも人間不信はしばらくつづきました。結構人を信じやすい性格なのでかなり後を引きましたが、事業が成功した今振り返ると、人間の本性を見れた良い経験だったのかもしれません。

4.横槍で自分のアイデアが汚されること

あなたがどれほど面白いアイデアだと自信をもっていても、他の人にとってはありきたりなアイデアに見えることがあります。中には、良かれと思っていろいろアドバイスをしてくる人もいますが、そんなときあなたはどうしますか?できるだけ多くの人の意見を聞いてアイデアをブラッシュ・アップする人もいれば、自分の勘と経験にかけてひたすら突っ込む人もいます。私は、結構自分の意見に執着するタイプです。・・・といっても、もちろんまったく意見を聞かないわけではありません。相手が正しいと納得したら、一旦もちかえって再検討しますし、場合によってはあきらめることだってあります。あくまでも程度の問題であって、むしろ「あまり人の意見を聞きすぎないように気をつけている」といったほうが適切かもしれません。そもそも、オリジナルのアイデアにこだわってこそ「事業家」と言えると思いますし、「いかにすばやく始めて、だれよりもおおく学習できるか」がいちばん重要なことだと思うからです。そう。オリジナルだからこそ、失敗から真摯に学べるのです。そんな私にとって、横槍が入ることは耐えられないほどの苦痛でした。でも、アイデアの実現のためには、ある程度耐えがたきを耐え、軌道に乗り始めてからオリジナルのアイデアに次第にもっていくように決断しました。あとでオリジナルに持っていく過程でも、意見をまとめる(あるいは聞かないようにするのに)とっても苦労しました。

5.すべてがうまく行かないで、自信をなくしてしまうこと

事業開始からすぐのことでした。考えていた計画通りに受注が伸びず、開始後3ヶ月で中止命令がでそうになりました。
「うまく行きっこない」という周囲の反対を押し切って、そして他人事のようにだまって見ていた日和見主義者にむかって「絶対うまくいきますから!」と大見得を切って始めたことなので、いまさら「やっぱりダメでした」なんていえません。「まだまだこれから!新規事業を育てるには時間が必要!」と自分に言い聞かせても、毎日のように、まわりからうまく行っているか質問されるのです。焦ります。周りから「やっぱりダメだったね。思っていた通りだよ。」という声が聞こえてきます。そんな嘲笑と、自信喪失と、自己嫌悪をすべて一人で背負いました。新規事業がすぐ軌道に乗るなんて、そんな夢のようなことは期待していませんでした。でも、軌道に乗るまでの時間がこれほど長く苦しいものだとは思っていませんでした。事業家が孤独だということは頭ではわかっていたのですが、実際に経験するまで本当の意味の孤独はわかっていなかったと思います。「事業計画が甘い」というのは簡単です。でも甘いからこそ、楽観的だからこそ最初の一歩が踏み出せるという側面もあるのです。一歩を踏み出さなかったひとには、人の計画に対して「甘い」といえる資格はないと思います。たとえ私のアイデアが失敗に終わっていたとしても、それはかけがえのない私だけの財産になるのです。簡単に「甘い」という言葉を言える人には絶対に味わうことができない、自分だけの「この瞬間を生きている証」なのです。

 - イノベーション, 新規事業