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こんなMBAの幻想もってませんか?

      2017/01/23

MBAを取ることで何を得られるのか?よく聞かれる質問です。
MBA留学を検討中の方の中には、「そりゃぁ論理的思考力が身につくし、経営知識やアイデアを実現する方法も学べて、転職にも有利でキャリアアップもできる・・・」といった夢をもっているかたもいるかもしれません。もちろんMBAホルダーの中にはそういうことができた人もいるとは思いますが、実際のところどうなのでしょうか?
今回は、こういったよくあるMBAの幻想について私なりの見解をお話したいと思います。

論理的思考力が身につくという幻想

MBAを取れば論理的思考を身につけることができるとか、考え抜く力を養えることができるとか言う人もいますが、論理的思考はビジネススクールの専売特許ではありませんので、ほかの方法ででも身につけることができるはずです。もしかしたらもっと効率がいい方法があるかも知れません。私は論理的思考を身につける一番いい方法は論文を書くことだと思っています。なぜなら説得力のある論文を書くには、論理的な組み立てができないと絶対書けないからです。論文作成ほど論理的思考を使うものはありません。もちろん学会に発表する必要も社内で回覧する必要もありません。文字数も少なくていいと思います。私は論理的思考は、日々論理的に文章を書いたり資料を作成したりする訓練を積み重ねることでしか身につかないと思います。すくなくとも、今まで論理的思考に自信がなかった人が、たった2年間の勉強で論理的思考を身に着けることはできるというのは幻想にすぎません。
もし、MBAをとってから見違えるように議論ができるようになったと自覚している人がいたとしたら、もしかすると、その人はそもそも素養があったうえに、自分の意見を自信を持って話せるようになっただけなのかもしれません。本来、論理的思考と議論は別のものですが、議論の勝敗には自信をもって話す話し手の態度やバックグラウンド、人格、聞き手の感情などが大きく関与するものです。そのことを意識せずに、MBAを取って自信をもったことで、議論が上達したことを論理的思考が身についたと勘違いしているのかもしれません。

考え抜く力という幻想

おなじように考え抜く力が身につくというのも変な話です。そもそも、人はどういうときに考え抜くのでしょうか?私は、好きなことをやって夢中になっているときと、自分の力しか頼りにならないときだと思います。つまり考え抜く力を身につけるためにはMBAなどは必要ではなく、本気で好きなことを見つけることさえできれば事が足りるはずなのです。毎日毎日そのことばかり考えてしまうほど好きなことがあれば、飽きずにいろいろな視点で考えていくものです。それこそ考え抜く力ではないでしょうか?または、周りの反対を押し切ってでも実現したいという対象と熱意さえあれば、考え抜く力を養うという考えそのものは生まれないはず。なぜならば、考え抜くという行為は自明なのだから。むしろ、考え抜く力が必要だと自覚しているということは、自分がやりたいことや実現したいものがないと独白しているといえるのかも知れません。

人脈形成ができるという幻想

人脈形成ができるというのも、本質的な話ではないように思えます。人が集まっているところに出かけることで人脈を形成できると期待している人は、大きなところでなにかを間違っているのではないでしょうか?人という生き物は、自分に何かを提供してくれる人に対して、自分が持っているものを与えようとする生き物なので、たとえ優れた人が沢山いるところに出かけても(仲良くなることはできても)、誰かに圧倒的で抜群なものを提供できないと、そこから優れた人脈を形成することはできません。私は、そんなことを期待するよりも、もっと身近で困っている人に親切にしてあげたり、小さなことでもいいから多くの人の手助けすることのほうが、よりよい人脈を形成することができると思います。私の周りでも本当の人脈(困ったときに助けてくれる人のネットワーク)を持っている人というのは、優れた何かをもっていて常に与え続けることができる人か、無私の精神の人のどっちかみたいです。逆に人脈ばかりアピールする人は、ポジションがたかくても新しいことを推し進めようとする実力も勇気も持っていませんでした。人脈形成を期待するよりも、まずは自分の実力を磨くのが先ではないでしょうか?

キャリアアップに有利という幻想

転職に有利とかキャリアアップにつながるということも、しきりにいわれているような気がします。確かに私も事業会社に転職してからの段階では、MBAという名前が有利に働いていたことは否めません。ある程度箔がついたおかげで、議論を有利に進めることもできました。結果的に、私のやりたいことができたのも、反対を押し切ることができたのもMBAで得た知識やハロー効果が一部あったからかもしれません。ただだからといってMBAの効果が絶大だとはいえません。なぜなら、私のアイデアは当初みんなから猛反対をうけまくって、実績がでてくるまで無私されつづけた案だったからです。かんたんに言ってしまえば、どれだけまわりに反対され続けても、自分のアイデアをどうしても諦め切れなかっただけなのです。だからこそ、なんども考え抜いたり、飲み込みやすいように修正したり、周りに働きかけたりできたのです。
このような粘着性が高いのスキル(?)は、決してMBAで学んだことではありませんでした。したがって、MBAのおかげでうまくいったとは絶対に思えませんし、思いたくありません。やはりキャリアアップに限らず何かを成し遂げる決め手としては、MBAはあまりにも荷が重そうです。ミもフタもないかもしれませんが、結局個人の実力と執念だと思います。
また、MBAは転職にははっきり有利ではないと感じました。私の場合は、運よく希望通りにコンサルティング・ファームで戦略コンサルタントとして転職することができましたが、コンサル特有の入試試験のおかげだったと思っています。結局は実務経験が重視されましたし、MBAが重要な決め手になったとは思えませんでした。収入面でも同業間での転職は収入増につながることが多いらしいのですが、(国内でに限った話ですが)帰国後のコンサルタントへの就職活動は想像とはまったく違いかなり厳しいものでした。

よくある幻想タイプ別にまとめてみました

まとめると、いくつかタイプに集約できそうです。

1.あまり幻想を持っていない人

ここにあげた幻想を持っていない(期待していない)としたら、あまりMBAに対して知識がない方や純粋に経営学を勉強したいという学術志向の方かもしれませんし、もしかしたらすでに立派に自律できている圧倒的な実力を持った方なのかもしれません。そんな自律された方にとっては、いまさらMBAは必要ではないかもしれませんが、同じように圧倒的な実力をもっている人が集まっているビジネススクールにいけば、さらに人脈を形成できるかもしれません。独立・起業を目指しているなら、仲間を探すことができるので有効かもしれません。

2.箔をつけるという幻想をもっている人

箔をつけることが必要だと感じているということは、自分の実力に自信がない証なのかもしれません。人脈形成に大きな期待をかけないほうがいいと思います。ただ、そんな人でもビジネススクールで集中的に知識、理論、情報を手に入れることで、やりたいことを実現するためには不可欠な「議論」の力を手に入れることができるかもしれません。ただし、あくまでも実務で実力をもっている人に限ります。実務上で実績を積んでいないと、机上の空論として煙たがられて逆効果かもしれません。理論は実行の裏づけや後知恵、または結果論でしかないのです。過大な期待は禁物です。

3.実務スキルを身につける、転職に有利、キャリアアップに有利という幻想をもっている人

MBAでは実務力は身につきません。会社派遣でなければ、転職もキャリアアップも思ったより簡単ではないかもしれません。MBA留学を目指す前に、現在の実務で実績を上げ圧倒的な実力をつけておくか、いてもたってもいられないほど夢中になれる何かを見つけることが先かもしれません。

4.人脈をつくれるという幻想をもっている人

人脈はビジネススクールでもMBAホルダーでなくても作ることはできるはずです。もしかしたら、まずはだれかに与えられるだけのモノや実力をつけることが最優先なのかも知れません。与えるものがあるかどうかを自分に聞いてみましょう。

今回は、MBAの幻想についてどっちかといえばネガティブな話ばかりしてきましたが、もちろん、論理的思考も人脈形成ができないというわけではありません。要するに、MBAのメリットを語るときに、なんとなく副次的な要素ばかり強調されているような気がしたので、もう少し本質を見極めてからMBAを取るかどうかを決めるべきだといっているだけです。なので、あまり否定的になる必要はありません。ただ世間のMBAに対する幻想をしっかり知った上で、自分にあったプランづくりやビジネススクール選びをするべきだと思います。幻想を知った上でプランをつくるのかどうかで、心構えもMBA取得後の満足感も大きく変わってくるはずです。

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