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MECE初心者向け!マトリックスの作り方と、マトリックス以外でMECEに分割する方法まとめ

      2016/02/05

コンサルタントが良く使う図表にマトリックスがあります。
マトリックスで表現されると、なんとなくプロフェッショナルな感じがして、つい「なるほどなぁ」なんてだまされてしまいそうですが、新規事業の企画書や事業計画書でも使えないものでしょうか?
そうすれば予算をもらうのもかんたん?・・・なわけないと思いますが、すくなくともマトリックスを作れるようになっておくことは、自分がやりたいことをプレゼンしたり、資料にまとめたりする上でも重要です。

また、しきりと論理的思考がはやったり、ロジカルシンキングがもてはやされていたときに「MECE」が注目を浴びましたが、その重要性は別としても、マトリックスをつくるためには、やはりMECEの考え方が重要です。ここでは、MECEに分ける訓練の入り口として、マトリックスの作り方を述べたいと思います。
あと、マトリックス以外のコンサルタントがよくつかう図解表現もかるく紹介します。

MECEって何?

MECEとは、Mutually Exclusive and Collectively Exhaustiveの略で、簡単に言えば「モレなく、ダブりなく」という意味で、ある出来事や事象を、より深く理解するための分析手法のひとつです。
たとえば、ある商品の売上が伸びない事象があって、いくつかの要因らしきものから真の原因を追究しようとするときなどに、網羅的に検討したいときに用います。
かりに要因らしきものが山のように出てきても、ひとつひとつ片っ端から手をつけていては、同じことをダブって検討したりして非効率になってしまったり、もしかしたら重要な事項が検討からモレていることだってあるかもしれません。
そういった問題を解決するためには、売上が伸びない要因らしきものを、モレなくダブりなく分類することが重要になってきます。また、出てきた要因を比較してどっちから先に手をつけるべきか考えたり、さらに細分化したりして本当の原因を見つけたり、本質的な解決策を見つけたりすることができるようになるのです。
分析という言葉は、小さく分けて、それぞれの意味や役割を考えることですが、その分析を進めるために必要なのが、このMECEなのです。

マトリックスをつくる基本的な方法

1.対立項で二つに分ける

MECEとは「モレなくダブりなく」でしたが、分析したい対象をモレなくダブりなく分けるいちばん簡単な方法は、絶対にダブらない基準で全体を二つにわけてしまうことです。そのダブらない基準で分割する初歩的な方法に、「対立項」で分割する方法があります。
対立項とは、「重い、軽い」とか「大きい、小さい」のように、正反対の意味を持つ言葉のことです。
このような二つの正反対の意味をもつ言葉で対象を分割することによって、モレもダブりもなくしたグループ分けができるようになります。
このとき気をつけるポイントは、そもそも分析したい対象が対立項によって分割することができることと、分割したグループに有意義な意味が発生できることです。二つに分割しても自分が知りたいことにまったく近づかなければ、分割する意味ががありません。
まずは、有意義なメッセージを持つグループに分けることができる対立項を探すことが重要となってきます。

2.「軸」を組み合わせる

このような対極の意味をもつ1セットの言葉を「軸」といいますが、これは数学ででてくる縦軸とか横軸の「軸」ことです。
軸によって、ある事象を分断することで、すくなくとも二つの要素にわけてどっちの要素がより重要なのかを比較検討したり、または個別に分析することができるようになります。
漠然と検討するよりも、すこしだけ効率的にモレなくダブりなく調べることができるようになりました。

このように軸がひとつでも分析することはできますが、ここで、あとひとつ軸を思いつくことができればマトリックスを作ることができます。
マトリックスでは、縦軸と横軸を真ん中で交差させて左上、左下、右下、右上の4つの象限(グループ)をつくることで、各グループに意味が生まれてきます。
きちんと、各グループに意味を持たせることができればマトリックスの完成ですが、各グループが示す意味が曖昧だったりすると、2つの軸がきれいに対極になっていなかったり、縦軸と横軸そのものが近い意味を持っている場合がありますので、そんなときには軸を見直す必要があります。

3.4つの象限(グループ)に名前をつける

かならずしも名前をつける必要はありませんが、それぞれの4つのグループの特長や特性を示すことで、マトリックス全体の価値がわかりやすくなります。たとえばSWOTは、「内部環境と外部環境」という対立項と「ポジティブとネガティブ」という対立項で分けて、4つのグループに名前(強み、弱み、機会、脅威)をつけることで価値を生んでいます。

さらに言えば、これらの4つのグループ間の関係を示すことが、より重要です。
ただ4つに分けるだけでは、マトリックスの価値は半減されてしまいます。4つのグループ間のパワーバランスや動的な関係を示すことがより重要なのです。たとえば、上のSWOTの例で言えば、「今現在自社の弱みだと思っていることは、逆転の発想で強みに変えることができる。そのためには、市場の脅威に対する認識をこういうふうに捕らえなおさなければならない。」などといったグループをまたがったマトリックス全体に対する考察が必要なのです。
とはいいつつも、ここまで踏み込むのはMECE初心者や分析を始めたばかりでは、ちょっとハードルが高いかもしれません。まずはマトリックスをつくる手順をしっかり覚えて、最後に4つのグループに名前をつけておけば、しだいにグループ間の関係を考えれるようになると思います。

対立項で分けるコツ=リストを作っておく

最初っから自力でがんばるのも大切ですが、最初のうちはなかなかきれいにMECEにできないことが多いと思います。
そんな人のためにお勧めするのが、あらかじめ対立項を作っておくことです。
対立項が自然と出てくるまでは、手帳などに対立項のリストを書き出しておいて、いつでも必要なときに見れるようにしておくなどの工夫をしておけば十分です。
何度か訓練を重ねると自然と対立項が出てくるようになるはずです。それまでの覚書だとでも思っておけばいいのです。

以下は例です。自分で作っておけば結構便利ですよ。あまり参考にならないかもしれませんが、私の過去のリストの一部を紹介します。かならずしも対立項になっていないのも多いはずです。

<因果関係の対立項>
 原因と結果
 過去と未来
 動機と行動
 種子と果実
 投資とリターン
 インプットとアウトプット
 入口と出口
 最初と最後

<排他的な関係>
 短期と長期
 連続と断続
 静的と動的
 相対と絶対
 自分と他人
 直接と間接
 固定と変動
 男と女
 右脳と左脳
 潜在と顕在
 自動と他動
 主観と客観
 コントローラブルとアンコントローラブル
 具体的と抽象的
 個別と全体
 私的と公的
 競争と協力
 オールオアナッシング
 受動的と他動的
 法人と個人
 既知と無知

<対極的な関係>
 1と0
 AとZ
 高いと低い
 縮小と膨張
 多角化と集中
 進化と退化
 悲観と楽観
 アメとムチ
 経営者と従業員

<共通の概念や方向性がない関係>
 質と量
 効果と効率
 コンテキストとコンテンツ
 切片と傾き
 売上と利益
 すべきか?とできるか?
 理論と経験
 広さと深さ
 価格と費用
 定量的と定性的
 多様と一様
 ハードとソフト
 損と得
 部分と全体
 義務と責任
 速さと正確さ
 IQとEQ
 知識と経験

マトリックス以外でMECEに分割する方法

余談ですが、折れ線グラフや棒グラフなどの「グラフ」もMECEな表現のひとつです。
たとえば、よく見る売上推移を表すグラフは、横軸を「時間」で、縦軸を「売上金額」でMECEに分割しているのです。ただし、この場合気をつけなければならないのは、時間などの軸は対立項ではなく断続的な要素(たとえば過去5年間であれば、1年単位の5つの要素)であるはずです。
縦軸も、たとえば売上であれば連続的な要素になるはずです。単純に高い低いなどの対立項で分割してしまうと、推移が見れなくなってしまいます。論理的思考とかMECEとかとっつきにくいようですが、無意識のうちに日常的にかかわっていることなんですね。
このように、プロットされる要素が連続的または断続的な要素を、二軸でMECEに分割するにはグラフが最適なのです。
図解表現は取り扱うデータによって、様々だということですね。覚えておくとプレゼン資料作成にとっても役に立ちますよ。

計算式を因数分解してMECEに分割する

それでは「グラフ」のほかにも、マトリックス以外の方法でMECEに表現する方法を見てみましょう。
分析したい対象には、そもそも対立項で分割することが適切でなかったり、固有名詞で際限なく分割できたりする場合があります。そんな場合はMECEに分割する方法はどのようなやり方があるのでしょうか?

まずは、分析したい要素を計算式で表して、それぞれの要素に分割する方法です。
たとえば、売上金額を因数分解してMECEに分ける方法だけでも少なくとも以下の計算式が成り立ちます。これ以外でも挙げようと思えば、いくらでも出てくるはずです。

 売上金額 = 販売単価 × 販売数量
 売上金額 = 市場規模 × 市場シェア
 売上金額 = 引き合い件数 × 制約率

また、ここで挙げたそれぞれの要素(販売単価や販売数量など)もさらに因数分解することができるかもしれませんね。
たとえば、 売上金額 = 引き合い件数 × 制約率 は、「引き合い件数」を(インプレッション数 × クリック率 × CVR)として表現しなおすことで、以下のように要素を再分割することができはずです。

 売上金額 = インプレッション数 × クリック率 × CVR × 制約率

もちろん、ここであげた売上以外の計算式だってたくさんあるはずですよね。
それらの計算式もリスト(カンペ?)を作っておきましょう。

プロセスでMECEに分割する

時間的な前後関係や因果関係を軸に、MECEに分割する方法もあります。
たとえば社内の業務改善をしようとした場合がそうです。業務改善のために課題を洗い出そうとして、社内業務を何らかの対立項で分割することは難しいはずです。
そんなときには、プロセス全体を業務単位に分割するほうが、MECEです。なぜならば、そもそも業務プロセス自体がモレもダブりもないように設計されているはずだからです。

プロセスの場合は時間的な流れの中で発生する要因をMECEに分割することですが、因果関係でMECEに分割することもできます。相関図がそうです。テレビドラマや推理小説の登場人物を因果関係であらわした図などは、よく見かけると思いますが、同じような相関図を分析したい対象に用いることもMECEにわける方法のひとつです。
ある要素と別の要素の因果関係を→などで結び、複数の要因が重なり合っている様子を表すのに向いています。
いわゆるガントチャートといわれる作業計画表にも使われる手法です。

三つ以上の要素にMECEに分割する

MECEにわける訓練を重ねていると、分割した要素をさらに細かく分割できることに気づくはずです。
そうやって分割された要素を、ひとつ上の階層でまとめながらつなぎ合わせたのが、いわゆるロジックツリーです。
ひとつの大きな要素があって、それをいくつかの要素にモレなくダブりなく分割し、分割された要素をさらに細かく分割し、それをこれ以上分割できないと思われるまで繰り返してつなぎ合わせたのがロジックツリーなのです。

ロジックツリー以外で、複数の要素に分割する方法には「構造マップ」もあります。
これは、ロジックツリーとは異なり、縦軸と横軸の2軸で仕切った2次元に3つ目の要素を入れて表現する方法です。
たとえば、2軸の要素を軸で表現したい要素を対極的な二つの言葉ではなくて、連続的な数値(たとえば全売上に占める商品ごとの売上シェアなど)で仕切ることで、視覚的にある要素が全体を占める割合をわかりやすく表現することができます。(たとえば商品Aの全社売上にしめる割合など)
または、マトリックスで分割された意味のある領域について、それぞれのグループが全体のうちどの程度の割合を占領するのかを示したものにバブルチャートがあります。
ロジックツリーとの違いは、構造マップやバブルチャートのほうがビジュアル的にわかりやすいということですが、構造マップやバブルチャートは数値が得意である反面、ロジックツリーは定性的な要素が得意という違いがあります。
また、扱える次元(軸の数)が構造マップやバブルチャートが3つまでであることに対して、ロジックツリーは理屈の上では無限(何階層でもいける)という違いがあります。

MECEじゃなくても、気にしない

びっくりするかもしれませんが、あまりMECEを気にしすぎることはありません。
そもそも、世の中に出ているフレームワークは必ずしもMECEではないのです。
たとえば、3Cはどうでしょうか?これは自社(Company)、競合(Competitor)、顧客(Customer)の3つに分けられたフレームワークですが、本当にモレはありませんか?
網羅的になっているかどうかを考える以前に、そもそもこのフレームワークは、何を「全体」としているのでしょうか?
仮に「業界」を全体とした場合のフレームワークであれば、販売パートナなどのチャネルが抜けていますね。仕入先も抜けています。

4Pも同様です。製品(Product)、価格(Price)、チャネル(Place)、販売促進(Promotion)は、何を「全体」と捕らえているのでしょうか?この場合はおそらく「マーケティング」ですが、マーケティングという言葉そのものが包括する範囲は非常に曖昧です。
「戦略」は含まれるのでしょうか?「サービス」は含まれないのでしょうか?ちなみに、サービス・ドミナント・ロジックはマーケティングの研究領域です。

このように、3Cも4Pも厳密にはMECEなフレームワークではありません。
それでも3Cも4Pも非常に有用なフレームワークだと考えられています。なぜでしょうか?
それは、3Cや4Pが事業戦略を考える上では、検討からはずすことができない重要な視点を含んでいるからなのです。
それは3Cや4Pのような有名なフレームワークだけではないはずです。
たとえ綺麗にモレなくダブりなく分割できなかったとしても、あなたにとって有意義だと思われるように分割できさえすれば、MECEは十分に機能を果たしたと考えるべきではないでしょうか?

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