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あなたの組織は元気ですか? 官僚化の度合いのはかり方

      2017/03/28

新規事業は一般的にスタッフ部門が担当することが多いと思いますが、新規事業のスタッフとして新しい企画をすすめるときに一番苦しむのは、社内の誰に相談しても社内規定などのルールやこれまでの慣例・前例を重視しすぎて、誰も新しいビジネス・チャンスを理解できない、またはリスクを負いたくないといった状況になったときです。このような状況にぶつかるのはイノベーターやイントラプレナーの宿命だといえますが、もしそんな症状が見られたら、まずは組織全体がどこまで官僚的になってしまっているのか、調べてみたほうがいいでしょう。今回は、あくまでもざっくりとですが、組織全体がどこまで官僚化されているかをはかる「ものさし」を解説してみたいと思います。

スタッフに求められる3つの能力

そもそも、スタッフなどの間接要員に求められる能力には「企画力」「管理力」「調整力」の3つがありますが、会社がスタッフに対してこの3つの能力のどの能力をもっとも重視しているか、または人事評価で高く評価されているかによって、組織全体の官僚化度合いや元気度合いを、なんとなく見積もることができます。
ここで、それぞれの能力について簡単に説明しておきます。

企画力

企画とは、組織や事業の本来あるべき姿と現在おかれている状況とをくらべて、問題点や課題を見つけることから始まります。問題点を探す対象が商品なのか、営業活動なのか、生産活動なのか、自分が所属する組織によって考える対象はかわるのですが、対象が何であっても、基本的に問題を見つけるところが出発点になっているはずです。このような問題点はスタッフ自らでてくる場合と、自分よりも地位の高いひとから指示が下りてくる場合がありますが、スタッフ自ら問題を提起できる組織が当然元気な組織といえます。一般的に、「問題発見力」といいます。
課題が上から降ってくる場合でも自分から発案した場合でも、課題がみつかったあとは、次にどうやって解決できるかを考えることが必要になってきます。このときにすばらしい解決策を考えることができたり、的確に実行できたりする能力のことを「問題解決力」といいます。いろいろな人の意見をまとめて最適な解決策を考え出して、具体的な実行計画をたてて、わかりやすく説明しながらまわりの協力をあつめて、問題を解決していく能力のことです。
このように、企画力には大きく分けて「問題発見力」と「問題解決力」の二つの能力からなりたっているのです。

管理力

企画力で述べた問題発見力ですが、そもそも事業や担当業務がうまく行っているのかどうかの判断基準が漠然としていては、問題そのものを発見することができません。かりに問題らしきことを思いついたとしても、それが本当に問題なのかどうかを見極めることができません。当然、具体的な課題として把握するためには、売上や費用がどのように変化していったのかなどの数値上の推移や変化をあらかじめきちんと把握しておかなければいけません。そんなときに重要となってくるのが、管理力です。もちろん管理すべき対象は、数値だけではありません。プロジェクトの進行や部下の業務内容やストレス、外部業者との契約内容、得意先の購買履歴など多岐にわたります。
いかに優れた企画を思いついたとしても、その裏づけとなるような数値や過去の言動など証拠がなければ説得力がありません。いかに正確な情報をあとから使いやすい状態で保持しておけるか、そしていつでもウォッチできるようにしておけるかが重要な能力です。
このように、管理力も大きく分けて、基本的に主に時間とともに移り変わっていく何か(数値や言動など)を、後から分析したり確認したりできるようにする「記録しつづける能力」と、あとからすばやく正確に情報を引き出して「分析できる能力」の二つの能力からなりたっているのです。

調整力

どんなアイデアでも、最終的には組織間(または組織内)での意見整合が必要になってきます。こんなときに必要となるのは、すみやかに、ほかの組織からの協力を得て、お互いの思惑や利害関係を考えながら物事を進めることができる能力です。この能力を調整力といいます。
調整力も大きく分けて二つの能力があります。一つ目は、相手の意図を読んで、話し合いのなかで議論進行の障壁となっていることを探したり、自分の主張を通すためにあらかじめ仲間を増やしておくといった力のことです。場の「空気を読む・作る」能力だといってもいいかもしれません。場の空気といっても、会議室の空気だけに限りません。社内の人間関係や歴史的な背景も含まれます。このような事情に精通しつつ根回しができることで、物事をすみやかに進めることができるようになります。場合によっては、政治的な配慮も必要かもしれません。
もうひとつの能力は、おとしどころを探る能力です。これは議論の最終ゴールをいくつか出して、できるだけ利害関係者とってメリットのある(もしくは負担にならない)解決策を提示して合意を取り付けることです。組織間の協力体制がないと進まない議論では、とっても重要な能力にも見えますが、この能力がスタッフに求められすぎているとすれば、むしろ組織内に強力なリーダーシップがないことの裏づけともいます。

組織の官僚化の度合いをはかってみる

それぞれの能力のアウトプットは、企画力が「アイデア」で、管理力は「事実」、調整力は「おとしどころ」といったところでしょう。
このなかで一番難易度が高いのは企画力です。自分のアイデアを論理的にも、魅力的にも、説得力あるように説明しないといけませんし、反対意見をひとつひとつ攻略していくなど、とっても面倒くさいし時間もかかる。いちばん失敗が多いのもこの能力をつかった仕事です。アイデアに自信があっても、まわりからけちょんけちょんに言われることばかりだし、いざ承認されてようやく実行できても大失敗したりして、自分の能力の限界を知ってがっかりしたくないと考えるスタッフであれば、一番避けたい仕事でもあります。
管理力は次に難しい能力ですが、数値管理などの比較的マニュアル化できる能力でもあるので、一旦しっかり知識を身につけてコツをつかむと比較的スムーズにいく業務でもあります。逆に言えば、とってもタコツボ化しやすい業務でもあるので、組織の官僚化の入り口になりやすいともいえます。私の経験では、企画や調整が苦手なスタッフが管理に逃げている場合もおおく見られます。
調整力は難易度そのものは高くありません。なぜならば、調整に失敗した場合であっても、調整に応じなかった相手に責任を押し付けたりして、自分の側を正当化しやすい厄介な部類だからです。ただ、大変さや労力となると話は別です。人間関係上のいろいろな事情に挟まれて、非常にストレスがたまる仕事でもあります。

もちろんこれらの能力は、ひとつでは成り立たない能力であって、スタッフ業務にはすべての能力が必要とされています。ただどのスタッフにも得手不得手や好き嫌いがあるので、自然と偏重がみられるようです。そのようなスタッフの志向性が組織全体の性格を決めてしまっているケースがあると思われます。いわゆる官僚化というのは現場から発生することはあまりなく、スタッフなどの間接要員・部門からしだいと広がっていくもののようです。それでは、どの能力が重視されているか、あるいは偏重しているかによってどのような組織の性格が見て取れるか解説してみましょう。

1.イノベーティブな組織は企画力偏重

企画力を重視している組織では、スタッフからいろいろなアイデアがスタッフでてくるものです。もしその中で面白いアイデアや成功したアイデアが出てきたとしたら、ほかのスタッフも躍起になってもっと面白いアイデアを出そうとして好循環がうまれます。このような組織では、比較的発想の自由度が高いので一見非常識なアイデアが会議室内で飛び交ってとっても活気があふれています。発想の自由度が高いということは、それだけで官僚化の度合いが低いということでもあります。失敗することが一番おおい新規事業に積極的にとりんでいる会社、とくに社長自ら新しいことに取り組む会社には、このような文化が育っていることが多いです。創業者が牽引していたときのSONYが元気だったのもこのためだと思います。

2.官僚化移行中の組織は管理力偏重

企画力がもっとも求められる組織はトライ&エラーの文化でもあるなので、しぜん成功率も低く失敗したときの影響もすくなくありません。そんな失敗を何度も経験してしまうと、できるだけ失敗を減らしたくなるのが人情です。そして、失敗を減らすために考えられるのがルール作りです。これは明文化されるわけではなく、おもに意思決定者や専門家などの権威によってルールがつくられます。管理力はこのようなルールを決めたり、監視したりするには最も適した能力ですが、管理力を重視してしまうと将来的に大きな問題になっていきます。もうすこし正確にいうと、ルールを作る意思決定者が企画力を重視している場合はおおきな問題にはならないのですが、たとえば新規事業を興したことがない人がルールをつくってしまうなど企画力を重視していない人がルールをつくってしまうと、リスクを過大視してアイデア発想の自由度を抑制しすぎてしまいます。このようにして、しだいにルール偏重(=官僚化)の組織になっていくのです。

3.官僚化から抜けられない組織は調整力偏重

元気な会社では、スタッフから出たいろんなアイデアが、いたるところで飛び交っているものですが、官僚化がすすんだ会社では、社内の手続きや社内外のルールを最優先されるため、「制限付の自由な発想」しかできなくなって、スタッフからアイデアがあまり出てきません。このような場合では、新しいアイデアが出てきたとしても、いつの間にか、実行の際のリスクをどの部門や組織がとるのかが、最大の問題に摩り替わってしまいます。そんなときに必要とされる能力は、調整力でした。調整力は、組織間の平等さや公平さを重視するため、たとえば新規事業であれば、各組織のリスクを極限まで小さくすることで、すくなくともアイデアの実行段階まではたどり着けるかもしれません。しかし、各組織のリスクを最小限まで小さくしたことによって、結局「カド」がとれた企画になり、お客さまにはなんとも魅力に欠ける、ふ抜けたアイデアになってしまっていることが多いのです。そして、新しいアイデアの成功例がうまれなくなり、ますますアイデアが生まれなくなっていくという最悪の負のスパイラルになっていくのです。

どうでしたか?自分の組織がどこまで官僚的になってしまっているのか振り返ってみませんか?

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