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PEST分析の基本、基礎知識や情報収集と整理の具体例です。

   

さて、今回は、結構分析に時間がかかる「PEST分析」の基本について解説していきます。

PEST分析の基本 その前に

これからPEST分析の基本について解説していきますが、そもそもPEST分析って、なんのための分析ツールなのか知っておく必要があります。分析というだけあって、なんらかのデータや情報を取り扱いますが、いったいどのような情報を分析するのでしょうか?

PEST分析は、マーケティングや経営戦略で使われるフレームワークで、外部環境の変化の収集と整理が目的の分析ツールです。
外部環境にもマクロとミクロがあり、世の中の大局的な動向がマクロ環境で、目の前の競合情報や顧客情報などの外部情報がミクロ環境です。

PEST分析が取り扱う外部情報はマクロ環境であり、マーケティングや経営戦略の立案や検討のために、まずは、大きな枠組みの動向を把握するために、多面的に情報収集を行って、整理することが目的なのです。

大局的、マクロ的な情報といっても、漫然と新聞記事などの情報を切り抜いてまとめているだけでは、情報の羅列になるだけで、意味を持たない無価値な分析になってしまいかねません。
そこで、PEST分析では、ビジネスにおいて重要な変化と思われる主要な4つの視点から情報収集し、整理、分析すべきだという思想から考え出されたフレームワークなのです。

では、さっそくPEST分析の基本と、主要な4つの視点について、例をあげながら解説していきましょう。

PEST分析の基礎知識

前述のとおり、PEST分析で取り扱う情報は、外部環境に関するマクロな情報です。マーケティングや経営戦略を立案するためには、企業を取り巻いている外部でどのような環境変化が起こっているかを把握しておくことはきわめて重要なことです。

外部環境とは、結局、自社がコントロールできない環境要因のことです。
つまり、政治や経済、技術の進歩、お客さまの嗜好の変化などのことです。
企業はこういった自社を取り巻く環境をただしく理解して、変化に対応していかないと淘汰されてしまうと言われています。

とは言っても、外部環境を調査するのは手間も時間もかかる大変な作業です。
なんの切り口もなく、気が付いたことから行き当たりばったりで進めては、時間がかかりますし、出口も見えない情報収集に嫌気が差してしまいます。
また、情報をあつめているうちに状況も変わり、いままで集めた情報が無駄となってしまうことも良くあることです。
そのため、いかに効率的に情報収集を行うかと言った、方法論を習得しておく必要があるのです。

このような情報収集のデメリットを、マクロ的な外部環境を、政治:Politics、経済:Economics、社会:Sosiety、技術:Technologyの4つの切り口から分析することで解決しようとして、フィリップ・コトラーによって考え出されたのが、PEST分析です。

PEST分析の4つの視点

では、その4つの視点を見ていきましょう。

Politics(政治的な環境変化)

一つ目は、法律や規制緩和などの政治的な環境変化です。
政治的な側面は、企業のロビー活動などによってある程度は、政治的な環境変化に貢献できる箇所もありますが、やはり、かなり限定される領域でしょう。
上に規制緩和と書きましたが、もちろん規制が強化されることもあるでしょう。新しいテクノロジーが普及するにしたがって、これまで想定されなかった新しい脅威が市民に及ぼされる可能性がある場合は、規制緩和だけでなく規制強化が行われることがあるのです。こういった動きは、企業活動に大きな影響を及ぼすので、常にアンテナを立てておく必要があります。

Economics(経済的な環境変化)

2つ目は、景気や失業率、消費動向などの経済的な環境変化です。
たとえば、一企業によって景気動向を上向きにすることなどはできません。失業率に貢献できることも限定的でしょう。顧客の嗜好の変化やトレンドを恣意的にコントロールすることも困難なはずです。
むしろ、こういった環境変化は企業と消費者が一体となって形作るものであるため、市場の動きだけでなく、競合の動き、仕入先や協力パートナーの業界の動きなど、より包括的な視点でウォッチしておく必要があるのです。

Society(社会的な環境変化)

3つ目は、少子高齢化や自動車社会、文化やライフスタイルの変化、犯罪の傾向や価値観の変化といった社会的な環境変化です。食の欧米化といったこともあるかも知れません。
より日常に近い、身近に起こっている変化ともいえるでしょう。
こういった変化は長い時間をかけて変化が起こるものが多い反面、確実性が高く、予見しやすいものが多いのが特徴です。
ただ比較的予見できるものの、対策が難しいのも特徴で、特定の企業だけではやはりコントロールできないといった側面もあります。

Technology(技術的な環境変化)

4つ目は、情報、通信、ガジェット、AI、ロボットなどの技術的な環境変化です。
技術的な領域は常に企業同士が切磋琢磨し、しのぎを削っている環境であり、市場の中の生き残りをかけて、競合に予見されないように、模倣されないようにしながら、その一方で顧客を驚かせるようなイノベーションを模索しているものです。
したがって、やはり一企業ではこういった技術トレンドを左右するような力を持つことは稀で、コントロールすることが難しい領域なのです。
企業活動としては、当然、常にウォッチしなければならない領域でしょう。

PEST情報の収集と整理の例

前項ではPEST分析で集める情報の種類(政治、経済、社会、技術の4つ)について述べましたが、それらを知っているだけでは、まだ足りません。
4つの視点で情報を集め始めても、結局、「情報の海」でおぼれてしまうだけです。

4つの視点で集めた情報を最大限生かすには、整理と示唆だしが最重要です。
では、どういった整理の仕方が必要なのでしょうか?また、示唆を得るには、どういった着眼点が必要なのでしょうか?
以下に一例をまとめましたので、参考にしてみてください。

問題意識を持つ

一企業が、全世界のすべてのPEST情報を集めることには、あまり意味はありません。その企業が抱えている問題意識や解決したいと思っている課題に対して、領域を絞って情報収集する必要があります。
たとえば、自社が属している業界のPESTなのか、それとも新規参入しようとしている周辺領域のPESTなのか?といったことです。

変化の流れを知る

4つの視点で情報を集めるとき、もっとも重要な着眼点は「変化」です。
これまでは何が常識だったのが、何がきっかけで変わろうとしているのか?変わったのか?そして、その背景と理由を知っておくことが、大局的な理解につながります。

先を読む

変化を理解していくと、次第とその変化の先が気になってくるはずです。
このまま変化がおこると、次に市場はどういう反応をするのだろうか?規制は緩和されるのか?強化されるのか?といった着眼点です。

他の要素との関係を見る

PEST分析でだれもが失敗してしまうことが、それぞれの4つの要素だけで完結してしまうことです。
PESTの4つの視点は、つねに連携を持って変化が起こっています。ある変化によって、時間の経過とともに、他の要素に影響が及ぼされていきます。
この関係を理解することで、先読みができるようになってくるでしょう。
その結果、一企業としてできる最適解を導き出すことが出来るようになるのです。

漏れダブりを探す

PESTの4つの情報を何らかの軸(時間、空間など)で切って情報を整理していくと、これまで気付かなかった漏れに気づくことがあります。また、時間をかけて同じ情報を集めていることに気付くこともあるでしょう。漏れダブりに気をつけることは情報収集と整理には不可欠な着眼点です。
さらにいうと、PESTの4つは必ずしもMECE(漏れダブりなし)ではありません。
あくまでもコトラーが提唱したフレームワークに過ぎないのです。
ちがった視点で情報収集ができないか考えてみても
面白いかもしれません。

まとめ

今回は、外部環境とくにマクロ環境の情報を収集し、整理、示唆だしするためのフレームワークであるPEST分析の基本について解説しました。
4つの視点として政治、経済、社会、技術があること。そして、情報収集と整理のときの着眼点として、問題意識を持つこと、変化の流れを知ること、先を読むこと、他の要素との関係を見ること、漏れダブりを探すことをあげました。
これらに気をつけておけば、PEST分析の基本はマスターできることでしょう。

ここでは、PEST分析の基本について簡単に説明しましたが、前述したように、実際に分析を進めていくと、大変骨の折れる作業になるものです。
そんな問題点を明らかにして、具体的にどのような進めかたをすべきかについては、過去に記事を書いていますので、そちらをご覧ください。

まじめにやると行き詰ってしまうPEST分析の目的とテンプレートを解説!

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