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初心者でもすぐわかる!ベンチマーキングの基本

      2016/02/05

ベンチマーキングって知っていますか?
同じ業界のライバル企業や、異業種の優れた企業のプロセスを研究して、自社のプロセスに取り入れようとする考え方や活動のことです。
要するに、「強い会社には、優れたやり方があるはず。だったら、優れた企業のやり方を真似すればいいのでは?」という発想ですね。
とってもわかりやすいメッセージですよね。

基本的には、先行してる企業のいいところを真似することで、ライバルの優位性をなくしたり、ノウハウ習得までの時間を節約しましょうという考えに基づいていて納得できるものだと思いますが、でも、実際にはどうやっているのでしょうか?

ベンチマーキングの3つのステップ

ベンチマーキングを進めるには、大きく3つのステップが必要になります。
簡単に言うと、1.どこを?2.どこから?3.どうやって?ベンチマークするのかというステップです。以下、簡単に概略を説明しますね。

どこを?

まずベンチマーキングするためには、自社が改善したいと思っている課題や、調べたい工程(業務プロセスなど)を選びます。漠然とした課題認識では、調べる内容もわかりません。できるだけ具体的な内容に絞り込んで調査する必要があります。
たとえば、製品の機能なのか?営業プロセスなのか?などです。
もちろん、新規事業を検討するにあたり、すべてのプロセスについて研究したいという考えもあるでしょう。その場合は、新規事業として想定している、すべてのプロセスをあらかじめ洗い出しておかなければ、調査する項目まで落とし込むことができません。

ベンチマーキングしたい箇所の特定は、あるべき姿と現状とのGAP分析が必要になってきます。
あるべき姿の議論ができていない中で調査だけすすめても、何のための調査か見失ってしまうので、注意が必要です。

どこから?

GAP分析などで、自社のあるべき姿と現状の比較から課題が見えてきたら、次にすべきは自社と比較したい相手を選ぶことです。よく、ベス・トプラクティスという言葉が使われることがありますが、自社が抱えている問題を適切にこなしている企業などを特定することが重要なポイントになってきます。
この際、からなずしも自社と同じ業界である必要はありません。むしろ、異業種からヒントを得ることがライバル企業を出し抜く秘訣かもしれません。
もともと、「この会社のこういうところがすごい!真似したい!」と、調査したい会社とプロセスが明確になっているのであればいいのですが、新規事業などの場合はそうではないことも多いと思います。そんな場合は、まず、その事業が成功するための条件を仮説ベースで洗い出してみたり、いろいろな業界の成功事例をひたすら集めてみたりして、「こんなイメージの企業になりたい!」といった視点で検討してみることも有効かも知れません。
会社や事業の理想像が描けないようだと、ベンチマーキングしても、あまり意味がないかもしれません。

どうやって?

ここまでは、誰でも理解できると思いますが、もっとも重要でナゾに満ちているのは、どうやって比較するか?ですよね。ベンチマーキングの成功を左右する最も肝心なポイントは、「情報源」です。ベスト・プラクティスと比較するためには、当然、他社の内部情報を入手する必要がありますが、どうやって仕入れるのでしょうか?

この情報入手のノウハウの獲得は、かなりハードルが高いですし、完璧な情報を仕入れることはできないと考えたほうが良いと思います。まあ、企業秘密なのだから当たり前ですよね。それでもなんとか研究するためには、いくつか代表的な手段がありますので、ここで紹介いたします。

五感を使ってしらべる

読む、聞く、はなす

基本中の基本ですが、新聞や専門誌で公開されている情報を使わない手はありません。企業のサクセス・ストーリーを書籍にまとめているビジネス書も大いに参考になるでしょう。概略的なポイントはまとまっているので、いちばん最初にとる方法としては、もっともオーソドックスな研究方法ですね。

ネットや文献調査も当たり前です。ネット検索は、時間短縮できるのが最大のメリットですが、当然内部情報は見つけることはできませんし、信憑性も低いといった問題もあります。その点、学術論文などの文献をつかって調べることは、より信憑性が高く、より深く調べることができるので有用です。かつて私がPCメーカーのDELLを調査したとき、製造工程からロジスティクスなどSCMのしくみから顧客サービスの手法まで、膨大な研究資料を見つけることができました。このように、一企業の成功要因を研究した論文でも、調べれば結構でてくるものです。

ずばりベスト・プラクティス自身に聞いてみることもアリです。かつてアサヒビールが低迷していたときに、新たに就任した社長が業界のライバル企業に成功要因を聞いて周り、それらを実践して大成功した話は有名です。ただ、ライバル企業に聞けないよっていうことが多いですよね。そんなときには、調べたい対象を研究している大学の教授や調査会社やコンサル会社に調査をお願いしたり、その会社を退職した専門家などに聞いてみることも、ときとしては有効な手段です。

食う、嗅ぐ、さわる

いわゆるリバースエンジニアリングですね。ハードであれば、商品を実際に買って、分解してみたり、食品であれば食べてみるといった実体験によって、ベスト・プラクティスの秘密を研究することです。
かつてPC黎明期に、IBM-PCが世界的に普及したとき、IBMと同じようなPCが世の中に出回りました。これは、ライバル企業が徹底的にIBM-PCを研究し尽くして、真似することができたからです。
もちろん、ハードや食品だけではありません。サービスであれば、サービスを受けてみることも可能です。自分で経験したことは、聞いて知るよりも、より感覚的に理解しやすいはずですよね。

ベンチマーキングでできること、できないこと

ベンチマーキングは、ライバル企業や異業種の優れた企業のいいところを真似しようという、ちょっと都合の良い考え方ですが、もちろん万能ではありません。そもそも、内部情報を入手すること自体がハードルが高いのですが、たとえ、苦労して入手し、首尾よく真似することができたとしても、それで完成ではありません。
ベンチマーキングのできることと、できなことを見てみましょう。

追いつけるけど、追い越すことは難しい。

そもそもライバル会社をベスト・プラクティスとして研究した場合は、たとえ追いつけたとしても追い抜くのは至難の業です。当然、「これで真似できたぞ!」と思った瞬間には、すでにライバル会社は次のステージにいるかもしれません。追いかけっこになってしまっては、常に先行しつつ、同じ業界でどこよりも豊富に経験を積んだライバル会社には追いつくことはできないでしょう。

手っ取り早いけど、独自性が失われる。

真似することは楽かもしれませんが、自分で考えて自分で決断するという、決定的に重要なプロセスを他者任せにしていることを忘れてはいけません。企業がこれから先成長していくためには、いや、し続けていくためには欠かせないプロセスです。この貴重な経験をすることを捨て、誰かの真似をすることで時間を手に入れることに、どれだけのメリットがあるのか、しっかり考える必要があります。

表面上は真似できても、本質は真似できないかもしれない。

トヨタのカンバン方式は、JIT(ジャストインタイム)という方式で体系化され、仕組み自体は誰にでも真似することができます。
しかしトヨタと同じような優れたプロセスにはなりません。それは、各プロセスでの課題解決のしくみ(5Whys)が優れていたからです。このように、見た目は真似することができても、本質的なコアコンピタンスは真似できないことが多いのです。

このようにベンチマーキングは万能ではありません。一長一短を頭に入れつつ、効果的に賢くやることが、いちばんのポイントなのではないでしょうか?

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