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誰でもできる!マーケティングの4P(マーケティングミックス)分析の進め方と事例

      2017/11/13

マーケティングの4つのP、またはマーケティングミックスとは?

マーケティングという言葉は多くの方が聞いたことがあると思います。
マーケティングという言葉には、たくさんの定義や使い方があって、コンセプトが広すぎるので使い方を間違うと社内で混乱したり、正しく理解できずに間違った分析をしてしまうこともあります。
そんなマーケティングをできるだけわかりやすく書いた記事がありますので、興味があればそちらも読んでいただきたいのですが、今回はそんなマーケティングで使われる分析手法であるマーケティングミックス(まはたマーケティングの4P)分析の進め方と事例を紹介したいと思います。

マーケティングとは一体何者?人によって定義がかわる「マーケティング」を理解しよう。

マーケティングの4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、販売チャネル(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字の4つのPで形成されたマーケティングを検討するためのフレームワークです。
そもそも「4P」は、1960年にミシガン州立大学などでマーケティングを研究していたエドモンド・ジェローム・マッカーシーが1960年に提唱して、フィリップ・コトラー等が使ったことで有名になった分類法です。

4Pは、マーケティングミックスとも言われますが、これは「ミックス」という言葉からもわかるように、マーケティングが様々な要素から成り立っていることを示唆しています。分類によっては4つ以上の要素も出てきますが、企業が販売活動を続けていくためには、かならずすべての要素が多かれ少なかれ何らかの形で相互に影響を与えています。
このように、販売拡大のためには、マーケティングに必要な要素を組み合わせていることから、マーケティングミックスといわれているのです。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)で分析できること - 検討内容と考え方

それでは、4つのPで分析できる内容と視点を見ていきましょう。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)の1つ目のP:製品(Product)

まずは、製品ですがここではハードとしての製品だけではなく、製品が提供する「機能」や「デザイン」なども含まれます。基本的には、以下の流れで検討します。必ずしもステップを踏むわけではなく、並行して検討したり、前後することもあります。自社が所属する業界や市場によっても大きく異なります。

1.保有技術のたな卸し
 ・・・ 企業が保有する固有技術やコアコンピタンスがある状態です。

2.イノベーションのアイデア
 ・・・ 新しい機能などのアイデアを検討している段階です。

3.機能的差別化要素の実現性テスト
 ・・・ 新しい機能が提供する競合製品や代替製品との差別化を実現できる手段を検討している段階です。差別化要素には機能以外にも品質や納期なども含まれます。

4.市場調査
 ・・・ 新しい機能が市場に受け入れられるかを調査する段階です。

5.プロトタイプの開発とテスト
 ・・・ プロトタイプを開発しテストする段階です。

6.製品開発
 ・・・ 製品開発に向けて必要な要件を検討する段階です。開発要件には、コスト、原材料の仕入れ、開発パートナシップなども含まれます。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)の2つ目のP:価格(Price)

価格を決定する方法には、従来の製品を販売する場合と、新しい商品を販売する場合とで異なります。

<従来製品の価格決定>

従来の製品を販売する場合には、これまでの経験や業界の商慣行などから比較的普遍的に価格を決めることができます。

積み上げ式価格決定法(コスト・プラス) ・・・ 製品開発に必要なコストを割り出し、利益がでるために必要なマージンを上乗せすることで価格を決定する方法です。

需要価格による価格決定法
 ・・・ 顧客の購買条件に見合った価格で提供する方法です。

競争価格による価格決定法
 ・・・ ライバル企業に勝てる価格で提供する方法です。

<新商品の価格決定>

新商品などではライバルが少ない反面、需要価格が不明確である場合も多いため、市場にどのような態度で臨むかによって大きく価格戦略が変わってきます。

上澄み戦略(スキミング)
 ・・・ 需要が不明確なため、リスクをとらず利益を重視した高めの価格設定を行います。この場合は、利益を出せるかもしれないが、製品自体の普及速度がすすまないためシェアの獲得スピードは遅くなると考えられます。

浸透戦略(ペネトレーション) ・・・ スキミングとは逆に一気にシェアを獲得するために、当初から低い価格で提供する方法です。当初は赤字が出てしまうが、普及にともない将来的には規模の経済で利益が生まれるという考え方です。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)の3つ目のP:販売チャネル(Place)

間接販売
 ・・・ 販売に協力してくれるパートナと契約し、パートナがエンドユーザーや最終消費者への製品を提供する方法です。パートナに販売してもらうことで、自力では販売し得ない広範囲のエリアでも、数多くのお客さまに製品を提供できるようになります。また、故障対応や障害発生時の対応もパートナが責任を持つことになるので、メーカーとしてはリスクが分散されます。その反面、パートナへの販売協力金などの支出が増えてしまうことや、パートナの品質を一定のレベルに維持しないと管理コストが高くなってしまうことがあります。

直接販売
 ・・・ 間接販売とは異なり、主にメーカーがエンドユーザーや消費者に直接販売する手法です。農家の産地直送と同じ考えです。企業がかかえる営業要員が直接お客さまに会って提供する方法もあれば、インターネットにウェブサイトを構築して、お客さま自ら製品を選んで、購入する方法もあります。間接販売のメリットとデメリットが逆転します。パートナへのマージンの支払いが不要になる反面、営業マンがカバーできない範囲がある場合の課題や、保守等のリスク分散ができないなどの課題があります。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)の4つ目のP:プロモーション(Promotion)

プロモーションは、お客さまに製品のよさをアピールするためのコミュニケーションの手段のことです。TVコマーシャルなどのマス広告から折込チラシまで、数多くの手法があります。インターネット広告やSNSの普及も進んでいるので、多様化が進む一方です。細かく分ければキリがありませんが、多くな分類としては以下のようになります。

4マス広告
 ・・・ TV、新聞、ラジオ、雑誌の4つの媒体を使ってプロモーションする手法です。TVコマーシャルを流したり、雑誌広告を載せることで、ターゲット顧客の注意を引くことで、製品の購買意欲を高める方法です。影響力は大きいですが、費用もかかり、一般的に費用対効果もわかりにくい手法です。

SP
 ・・・ 4マス広告以外の宣伝広告をSP(セールスプロモーション)と呼びます。具体的には、屋外の交通広告、DM(ダイレクトメール)、織り込みチラシの投函(ポスティング含む)、パンフレット、ポスター、テレマーケティングなど多種多様です。

Webプロモーション
 ・・・ インターネットの閲覧者をターゲットにしたコミュニケーション手法です。マス広告と同じようにサイト上に広告を掲載する純広告や、検索エンジンへの上位表示を行うSEO(検索エンジン最適化)、検索結果に広告を表示するリスティング広告、ソーシャルネットワークサービス上に広告を表示する手法など様々です。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)の常識を破って成功した事例

販売を拡大するには、自社の製品を広く市場に認知してもらうだけではなく、ライバル企業に勝たなければなりません。
そんなとき、いくらマーケティングの4Pを使ったとしても、常識的なことをしていては、あっという間にライバル企業に真似されるだけです。業界の常識や商慣行に従っていては、市場を驚かせることもライバル企業の意表をつくことはできません。市場に自社の優れた製品を知らしめて競争に勝つためには、業界常識を覆したマーケティングミックスが時には有効です。ここでは、そんな4Pの常識を打ち破って成功した事例をいくつか紹介します。

製品の常識を覆した成功例

<魔法瓶の常識を覆したサーモス>
かつて魔法瓶はガラスでできていたので、重くて割れやすいのが当たり前でしたが、サーモスが真空管の技術を使ったステンレス製魔法瓶を開発したことで製品の常識をひっくり返し、今ではシェアNo1の企業に成長しました。

サーモスの成功とビジネス・モデル【古典ケース・スタディ】

<検索エンジンの常識を覆したGoogle>
かつての検索エンジンは、キーワードの出現率や出現数だけの評価基準で上位表示させるのが常識でした。Goolgeはページランクというリンクを受けている数を指標に入れたことで、より精度のたかい検索結果を表示させることに成功し、たった数年でインターネットを牛耳るシェアNo1の大企業に成長しました。

価格の常識を覆した成功例

<値札を貼るという非常識をやってのけたワナメーカー>
正札販売というのをご存知ですか?百貨店やデパートで洋服などにつけてある値札のことです。以前は、商品には値札は貼っておらず消費者と販売者が価格交渉して販売するのが常識だったのです。ワナメーカーは正札販売などの常識を覆す多数のプロモーションによって世界一の百貨店王にのし上がりました。

マーケティング・ミックスのイノベーション事例 ~ワナメーカーの常識やぶりのアイデア~

<タダで利用できるという非常識で成長したDropbox>
Dropboxは、インターネット上にストレージサービスを無料で提供することで大量の利用者を集め、そのうちの一部のユーザーに有料サービスを使ってもらうことで、利益を上げるビジネスモデルを確立しました。このような手法を一般にフリーミアムとい呼びますが、利益を上げる手段はDropboxのような有料サービスだけではなく、広告料、会員登録料、紹介料など様々な収益源(マネタイズ)があります。

販売チャネルの常識を覆した成功例

<業界常識を覆す直接販売で参入に成功したYKK>
従来のサッシメーカーはアルミ製剤をガラス屋に届け、そこで組み立てたサッシをそのガラス店から現場に納入し、取り付けるという方法をとっていたところに、YKKの工場でガラスをはめ込んだサッシを完成させ、現場まで直接流通させる方法をとって新規参入を果たしました。これによって、YKKはガラス店ルートを通す必要が無くなり、営業の仕方も変わり、工務店、設計事務所との直接コンタクトが可能となったのです。

<SPAという直営店システムで立ち直ったワールド>
従来のアパレル・メーカーは、アパレル卸を通した販売形態が一般的なビジネスモデルでしたが、ワールドはアパレルメーカーが直営店を経営するというGAPが成功したSPAのしくみを使って、トレンドの多様化や変化に柔軟に対応できる仕組みをつくりあげ、アパレルメーカーのシェアNo1に成長しました。

ワールドの成功とビジネス・モデル【古典ケース・スタディ】

プロモーションの常識を覆した成功例

<競合に真似できない広告メッセージで躍進したファンケル>
近年苦戦が続いているファンケルは、市場に対する新しいメッセージで業界を席巻しました。当時の化粧品の販売は、チェーン展開や訪問販売による大量生産、大量消費が中心でしたが、ここでファンケルは「長持ちする化粧品には防腐剤が入っている」ことを暗に消費者に示すことと、通信販売による対面販売のわずらわしさを解消することで、大手化粧品に真似できない独自の地位を確立したのです。

マーケティングミックス(マーケティングの4P)の4つのPが整合していることが重要

上では、4つのPの常識を覆すことで成功した事例を見てきましたが、4つのPのそれぞれがうまく連携しないとうまくいきません。

たとえば、当時のファンケルは、大量生産をしない製品(product)だからこそ、防腐剤を否定するプロモーション(Promotion)を行うことができました。そのためには、通信販売(Place)によって営業費用や販売促進費用を抑制することができるため、高い利益を生み出す価格設定(Price)ができたのです。

また、Dropboxは提供価格をタダ(Price)にすることで集客し、次第に有料サービスへの乗り換えを促すフリーミアムの成功事例でもありますが、当初は顧客獲得がうまく行っていませんでした。
しかし、既存ユーザーに対して新規ユーザーを開拓した場合には、無料でストレージ増量するというキャンペーン(Promotion)を組んだことで爆発的にユーザー増やすことに成功したといいます。このとき販売チャネルは使わず、口コミだけを頼りにして顧客を増やしたこと(Place)も、ネット時代やソーシャル時代のソフトウェアの特長をうまく捉えた拡販方法だったのかもしれません。
無料(Price)で利用できるソフトウェア(Product)を、ソーシャルなどの時代にマッチしたネット(Place)で紹介キャンペーン(Promotion)が奏功した例といえるでしょう。

このように、フレームワークが働くには、それぞれの要素を個別に最適化しても意味がなく、フレーム間の文脈にそった整合性がないと意味がないのです。

さいごに マーケティングミックス(マーケティングの4P)ではできないこと

そもそも4Pは、STPモデルの流れの中での具体的な戦術論に過ぎません。STPモデルとは、4つのPを検討する以前に、検討しておくべき課題であり、それぞれSはセグメンテーション(Segmentation)、Tはターゲット(Target)、Pはポジショニング(Positioning)の頭文字からなっているマーケティングのフレームワークです。
このSTPでは、市場の中で製品を届けたいお客様の属性を規定して、ターゲット顧客を絞り込むことで、製品とのマッチングを行いますが、4つのPは、このSTPによって規定された顧客の群に対して行う、マーケティングの手法に過ぎません。
つまり、STPがぶれていては、いかに4つのPが優れていても、自分たちが狙っている顧客層にはメッセージも製品も届かないという自体になってしまいます。

同様に、4つのPでは、戦略やイノベーションは扱うことができません。競合に真似されにくい仕組みはあらかじめ戦略レベルで検討されておく必要があるのです。たとえば、4つのPのひとつである「製品」のイノベーションは、保有技術や現状を否定するアイデアを評価できる企業文化が重要になってきます。
イノベーションが起きるためには、社内で適切なノウハウや経験が効果的に共有される場が必要であったり、イノベーションを促すための雰囲気などが必要です。
このような課題には、マーケティングは貢献することもコントロールすることもできないのです。

マーケティングを最終的に聖子させるためには、目の前の4つのPにとらわれることなく、常に上位の思想や戦略を意識することが大切です。マーケティングミックスは、成果が表に現れやすい段階なのでとっても楽しいのですが、「木を見て森を見ず」にならないように注意がけが必要なのです。

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