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新規事業が失敗する理由

      2017/11/13

新規事業の企画立案から立ち上げを担当していると、なかなか企画が動き出さないことにストレスがたまってしまうことが多々あります。

これまでの経験から、うまく立ち上がらない組織的な理由として大きく3つほどあることがわかってきました。
誰かが悪意をもっているわけでも、能力がないわけでもありません。むしろ、健全に考えようと努めた結果であり、これまで他の分野で優れた能力を発揮してきた結果であるような気がしています。

そんなわけで、立ち上げを遅らせている張本人は自分が遅らせているとは、露とも気づいていないはずです。
さっそく見ていきましょう。

1. 完成度を高めようとする

戦術用語に探索射撃という言葉があります。
敵がどこにいるか探りを入れるために撃ってみる、試し撃ちのことです。
もし敵が隠れていれば、撃ち返してくるはずです。撃ち返してきたところに敵が隠れているのがわかります。

新規事業の立ち上げ段階では、潜在ニーズがはっきりしていないケースも多いはずです。
だから、探索射撃をしながら、ターゲットを絞り込んでいくような冒険的なアクションが必要ですし、いかにすばやくターゲットを見つけて、捕まえる方法を立ち上げるかに、新規事業が成功するかどうかがかかっているわけです。

しかし、試しうちには反撃されたときの被害や、想定外のことが発生するなどのリスクが発生します。

そのため、新規事業の立ち上げを経験したことがない場合は、試し撃ちをすることよりも、まずは情報を集めて机上の検討だけで完成度を高めようとしてしまいます。
リスクを回避しようとするのは健全な反応なのですが、いつまでの情報収集ばかりやっているとどこまでいっても、きりがありません。これは、知りたい情報が得られないと決断できない、いわゆる「満点病」にかかってしまっているのです。

満点病とおなじような症状ですが、新規事業の進め方を、これまで経験してきた実務の進め方を当てはめようとしてしまい、準備を完璧にしてから、取り組もうとしてしまうため、いつまでたっても行動できないこともよくあります。
実務で優れた実績を残してきた担当者や部門責任者は、ゼロベースで新しいことに取り組むときにも、不安に駆られて無意識のうちに、過去の成功体験に従おうとしてしまうのです。
そうなると、これまでの実務の基準で、すべてを完璧に準備しておかないと決断が下せないような心理状態になってしまうのです。

この満点病は最悪です。いつまでも決断できないでもたついてしまうことが、ビジネスでは致命傷になってしまいます。
だからこそ、ビジネス・スクールでは、よく未経験の分野での競争環境において、限られた情報だけで次のアクションを決断するように訓練されているのです。これらの訓練によって、決断力を鍛えるのです。

新規事業では、先が見えないことが多いので、まずはやってみることから始めてみて、実地で情報を集めることが大切なのです。

2. 客観的な意見や、多くの意見を取り入れようとする

まったく新しいことを始めようとする場合は、過去の経験が生かせなかったり専門知識がないので、新しいアイデアがうまく行くのかどうかの判断が付きにくいことが多いはずです。最悪、いいか悪いかの判断基準もわからないことだって、あるかもしれません。

本来であれば、そんなときは自分で考えて、自分で決断して、自分で実行して、学習していくことがなによりも大切なことなのですし、そのような経験こそが次の新規事業を成功させるための貴重な経験になるはずなのですが、残念ながら、多くの場合は外部の専門家に聞いてみたり、衆知を集めるという目的で、多くの人の意見を聞こうとしてしまうことがあります。

外部の専門家の意見を聞くことは、確かに時間の節約ができて、権威のおかげで安心だし、なにより楽ちんです。また、できるだけ多くの人に検討に参加してもらうことで、独断するよりも自分の責任も分散させることができるし、社内の関係者の顔を立たせることだってできるでしょう。

でも、新規事業に限っていえば、これらのやり方ははっきり言って間違いです。

そもそも外部の専門家がいつでも正しいことを言っている保証はどこにもありませんし、むしろ過去の通念や固定観念や既成事実を教えてくれているだけに過ぎないのかもしれません。であれば、新しいアイデアで市場にインパクトを与えようとしたい場合は、むしろ専門家の意見は有害であるかもしれません。
衆知を集めるようなことも、新規事業に限ってはやめるべきです。このような行動は、結局リーダーシップのなさを露呈するだけです。最悪の場合、画期的なとんがったアイデアが総花的な企画になってしまい、だれも得しないお荷物に成り下がってしまうでしょう。

そもそも、新規事業の立ち上げに成功の法則や勝ちパターンなどないのです。外部の専門家の意見も、社内の様々な意見を集めて考えてみても、成功の近道にはなりえません。
強いて法則めいたことを挙げようとすれば、自分で考えて、自分で決断して、自分で実行して学習を繰り返すだけだと思います。

3. 決断できない

もしかしたら、満点病にかかって完全をもとめてみたり、衆知を集めたがったりすることは、決断を先延ばしにしてきたことの結果なのかもしれません。

投資の決断は、部門責任者などの意思決定者の専権事項なので、現場や立案者レベルではできません。
したがって、決断を先延ばしにするということは、現場の判断や担当者の意図を信じられず、任せることができないということです。
責任者が決断を先送りにして、その理由を立案者のレベルの低さや情報の足りなさにしているようだと、責任者の意思決定力に問題があるといわざるを得ません。
結局、小さな決断の積み重ねが、大きな決断になります。小さな決断すら部門責任者がでしゃばって先延ばししているようだと、立案者のアイデアはつぶされてしまいます。多くの小さな決断を立案者に任せて実践を積み重ねることで、結果的に大きな決断ができるようになるはずです。

結局は、たとえ不完全な情報であっても、仮説の精度が低かったとしても、現場や立案者に実践をまかせるべきなのです。
むしろ、現場や立案者が助けを求めたときにしっかりサポートすることや、社内外から批判の矢面に立たされたりして孤立しないように、配慮するのが責任者の役割であるべきです。

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