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MBAをとって経営コンサルタントも経験した私が、独立しないで社内で起業する道を選んだ3つの理由

      2016/02/05

「いいアイデアを思いついた!いまのところだれも思いついてないみたいだから、話題になったら大成功するかも!あぁ早くしないと、だれかが先にやってしまうかもしれない。」

そんな、考えるだけで楽しくて、いてもたってもいられないようなアイデアが浮かんだことありますか?そして、そのときみなさんならどうしますか?

独立して自分の会社を立ち上げる方法を考える人も多いと思いますが、かならずしも、道はひとつではありません。独立以外の選択肢もいれて、まずはどういう方法があるのか考えてみないと、いきなり独立するのは、いろんな意味でリスクが高すぎます。

私が、独立ではなく社内で起業した(新規事業を立ち上げて自分の組織を立ち上げた)理由は3つありました。社内起業のメリットとデメリットを比較したら、独立よりも可能性があると感じたから社内で起業したわけです。

1.リソースを活用しやすいと思ったから

まず一番目の理由としては、社内のリソースを利用できそうだと考えたからです。
リソースにはいろいろな種類があります。たとえば資金、土地、技術、情報などです。これらのリソースの中で自分がもっているものには限りがあるので、アイデアを実現するためにはいろいろなところから、それらのリソースを取り揃える必要があります。そんなとき、自分がもっていないリソースを仕入れるには、自分のことをよく知ってくれている身近なところから仕入れたほうがスピードも早く、費用も安価ですむことが多いはずです。
独立してリソースを仕入れようとした場合は、銀行や投資家を説得するために膨大な時間や労力がかかるだけでなく、開発スタッフや販売チャネル、販売促進や広告宣伝のノウハウなどが必要になります。その点を考えると、すでに信頼関係があってリソースの特徴もよく知っているところから仕入れたほうが効率もいいし、時間も短縮できるはずです。

また、リソースを提供する側にとっても、リソースの有効活用ができていればお互い満足になるものです。たとえば、工場のラインや機械などは、使えば使うほど製品ひとつあたりの費用がどんどんどんどんやすくなっていく特長があるので、工場長や経営者は遊休リソースをできるだけ減らそうと考えています。そんなとき、同じラインや機械を使ってできることを提案してラインや機械がフル回転できるようなチャンスを提供できれば、きっとあなたのアイデアに賛成してくれるはずです。ラインや機械だけではありません。営業マンもウェブサイトも同じことがいえるでしょう。こういった考え方を経済学用語で「範囲の経済」というのですが、いまあるリソースをもっともっと有効活用することで利益が増えると思ってもらえるようなストーリーで話すことができれば、リソースを出してもらえやすくなるものです。
このように社内のリソースをうまく使える(お互いが満足する)と思われる場合は、社内で事業を立ち上げたほうが時間も費用も圧倒的にすくなくてすみます。

2.競争に勝ちやすい方法だと思ったから

二つ目の理由は、会社の中で起業したほうが勝負に勝ちやすいと思ったからです。
そもそも競争に勝つためには、お客さまがどういう基準で商品やサービスを選ぶのかを知っておかないといけません。できたばかりの会社であっても、小さな会社であっても絶対にお客さまから選んでもらえる決め手があれば、独立しても勝負できます。お客さまの悩んでいることとか、気づいていないことを、誰よりも早く安く的確に提供できる場合は、会社の大きさに関係なく選んでもらえるかもしれません。
ただ、どんな商品やサービスでも、ライバル企業に勝ちつづけないといけません。知名度があったり、安くて品質がよい商品を大きな販売チャネルで売ることができるライバルが多いと、リソースがすくない会社にとっては次第に勝ちにくくなっていきますし、今はライバルはいなくても、おいしい市場だとわかったとたんに簡単にまねされてしまうようなら、あっという間にレッドオーシャンになって利益が出なくなってしまいます。そうなってしまうと体力勝負になってしまい、資金力のすくない新興企業はすぐに苦しくなってしまいます。

そんな状況になっては意味がないので、どのようなかたちで勝負するのがもっとも勝ちやすいかをあらかじめ考えておく必要があるのです。会社として体力がなくても特許などの法律に守られるとか、自分にしかできない独自の特殊な技術があるとか、業界では非常識といわれていることをやるとか、なんらかの「ライバルに簡単にまねできないこと」があれば勝負ができます。当然、特許をとれるだけの技術力や発想力が必要ですし、業界で非常識だといわれていることは非常識といわれる理由があるので簡単なことではありません。それでも、もしライバルたちを出し抜くことができたとしたら、独立して成功することも可能なのかもしれません。

この場合、問題はその「ライバルに簡単にまねできないこと」は、独立したほうが実現しやすいのか、それとも会社のなかでやったほうが実現しやすいのかです。そのヒントになるのが、いわゆるテコの原理です。1つ目で述べたリソースの活用の逆ですが、ライバル企業が持っているリソースを足かせしてしまうことで、簡単にまねできない仕組みを作ってしまうのです。なんだか魔法みたいで、難しそうに思われるかもしれませんが、世の中にはたくさんの成功例があります。法人向け文具販売大手のアスクルの事例は有名です。メーカー直販のカタログ販売で、ライバルのコクヨの全国販売網を足かせにすることに成功し、簡単にまねできない仕組みをつくって大躍進しました。
ただこの場合は、独立してテコの原理を使ってしまうと他のライバルを呼び寄せることになる可能性があるので注意が必要です。つまりライバル企業に簡単にまねできない仕組みを作っても、そのライバル(つまりほかのライバル企業や新規参入企業)があなたと同じ仕組みで参入する可能性があるということです。「敵の敵はやっぱり敵」になってしまうのです。なので、その先も見据えて独立すべきか、やっぱり会社の中でリソースをうまく使いながら戦ったほうが勝ちやすそうなのかを見極める必要があります。
私もいろいろ考えて、会社の中で起業したほうがテコの原理を使ってライバル企業にまねできないしくみを、より早く、安価に、大きいインパクトで実現できると読んだので、独立せずに会社の中で起業しました。

3.たとえ失敗しても、再挑戦しやすいから

独立して起業する場合でも社内で起業をする場合も同じですが、新規事業という分野は非常に成功する確率がひくいことはよく知られています。どんなにしっかり計画をたてても、市場調査でお客さまの声をひろっても、実際にはじめて「こんなはずじゃなかったのに!」と叫びたくなることは山ほどあります。その結果、事業として失敗してしまうことも山のようにあります。
一般に起業して3年以上継続することができる企業の割合は30%といわれています。10年以上となるともっと減って、たった10%です。そのような状況を知ってあえてリスクをとって新規事業を興すのだから、成功したときの夢だけでなく失敗したときの再起の方法もしっかり考えておかなければいけません。

失敗することはしかたがないと思います。何かを始めないと失敗することすらできないのですから、何もしないことと比べると意味があることですし、そもそも次元が違うので比較すること自体が無意味です。
問題なのは、失敗を次に生かすことができるかどうかです。再チャレンジすることさえできれば、失敗をいかすことができます。そして成功する確率が飛躍的にあがります。なにより、多くの偉大な経営者が大成功の前に失敗をした経験があるのには、「再チャレンジできた」という事実が隠れていることを見逃してはいけません。サクセスストーリーの影にかくれてあまり触れられないことなのですが、実は「再チャレンジできやすい方法を選ぶ」ということは、実はとってもとっても重要なことなのです。
とくに、日本にはあまり再チャレンジを支援するしくみが整っていないといわれています。もし個人で起業して失敗したら、再起するまでの道のりが長く、お金の面でも精神的にも負担が大きくなってしまいます。その結果、「絶対」失敗できないという心理状態になってしまいます。失敗できないと思ってしまうと、必要なリスクをとれずに後手にまわり、経営が悪化し悪循環になっていきます。

独立して失敗した人のことを、「準備が不十分だった」とか「先が読めなかった」とかいって批評することは簡単です。でも、どこまで準備しても十分ということはないし、やってみてはじめてわかることのほうが多いのが実感です。だからこそ失敗することや再起の方法を織り込んだ上で、どういう形で起業するべきかを選ぶべきだと今でも思っています。たまに「成功する自信があれば独立するべき」とか「独立しないのは自信がないからだ」という人がいますが、私はそんな単純な二元論の話だとは思いません。社内で起業すると、リスクを会社にとってもらえるので、もし事業に失敗しても個人としては何回でも立ち直ることができます。無思慮な狭い二元論の批判には耳を貸さず、自分なりのしっかりした基準をもって判断すべきだと思います。

ここで述べた3つの理由は個人的なものですが、だれもが自分の答えをもっておいたほうがいい基本的なことだと思います。
もちろん、これだけで決めたわけではありませんが、これらのバランスを考えて独立と社内起業をくらべることをお勧めします。
みなさんのお役に立てればうれしいです。

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