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組織の3要素とは何か?組織論上の課題とあわせてできるだけわかりやすく説明してみましたがいかがでしょうか?

      2017/03/22

組織が成り立つために必要な3つ要素

「集団と組織の違いを説明できますか?」
これは、私がMBA留学していたときに経営管理論(Managemento Role of Organization)の講義で教授が出した質問です。
答えは、集団は人が集まっただけであり、組織は以下の3つの要素を満たす人の集まりであるとのことでした。

    <組織の3要素>

  • 共通の目的をもっていること(組織目的)
  • お互いに協力する意思をもっていること(貢献意欲)
  • 円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)

これは、チェスターバーナードが提唱している組織の3要素ですが、これらの3つがそろって始めて組織が成立するというのです。

もうすこし具体的な例というと、横断歩道をわたっている人は集団なのでしょうか?それとも組織なのでしょうか?
横断歩道をわたっている人や、信号待ちで横断歩道の前に並んでいる人たちには、向こう側にわたるという共通の目的があるので、一見組織といえそうですが、目的を果たすために互いに協力したり、コミュニケーションをとらないので、組織ではありません。
では、サッカー・チームはどうでしょうか?
相手チームよりもできるだけ多くのゴールをとることを目的としている人たちの集まりであるだけでなく、その目的にむかってお互いに協力して相手からボールを奪ったり、パスをまわしたりするのだから、サッカー・チームは組織といえそうですよね。
このように、目的を共有するだけでなく、お互いに協力しあったり、そのためにコミュニケーションをとらないといけない状況でないと、組織にはなりえません。

また、このバーナード定義を逆に解釈してみると、組織の存在意義や必要性も見出せそうです。
つまり、目的を共有する必要もなく、だれともコミュニケーションをとる必要もなく、だれかに協力してもらわなくても良いときは、組織は不要ということなのだから、逆に言えば、一人では達成が困難な目的や目標があり、集団で取り組めばより高い付加価値を提供できるときになってはじめて組織が必要になってくるということなのです。
高い付加価値を提供するために、貢献する意欲がある人たちが円滑なコミュニケーションを行う集団のことを「組織」と呼ぶのですね。

組織の中にも組織をつくると、付加価値が生まれる

バーナードの定義上、組織は(目的の数だけ)いくつも存在することができます。たとえば、大きな組織の中に、さらに小さな組織が生まれることだってできます。
たとえば、会社という大きな組織の中には事業部、営業部、人事部などの組織がありますが、その組織の中にもさらに小さな組織があるのが一般的です。
事業部は開発する商品ごとに分かれている場合が多いと思いますが、商品ラインナップが多い場合は、たとえ違う商品を扱っている組織同士であっても、似たようなお客さまを対象としている場合は、それらの組織をひとつの組織にまとめていることもあります。営業部だったら、地域別に分かれていたり、取り扱う商品で分かれているかもしれません。
このように、似たようなカテゴリーで組織を集めることでコミュニケーションを取れやすくしたり、目的や目標を共有したりしているのです。

また、大きな目的でひとつのおおきな組織をつくり、その組織の中に細分化された目的と小さな組織をつくっていくと、細分化された目的の数だけの組織をつくることができます。
組織を細分化すること、その目的を担うメンバーが責任をもって担当する仕事や役割が限定されるので、より集中して技能を磨くことができるようになります。こうやって組織を細分化することによって、専門性を高め、より高い付加価値を提供できるようになるのです。このような組織のしくみのことを「官僚制」といいます。官僚制のしくみに興味があれば、ぜひマックス・ウェーバーの「権力と支配」を読んでみてください。

組織の失敗

上述したバーナードの定義では、3つの要素がバランスよく存在すれば「組織」は成立するといいます。
その定義によると、チーム内に一人でも協力しないメンバーがいたりした場合は、組織的な行動がとれなくなるはずです。
サッカーの試合で、チームが勝利をめざしていない「投げやり」な場合や、相手チームに勝つ目的を共有していても、コミュニケーションをとらず自分勝手なプレーをしていたら、組織的な動きができなくなるのは直感的に理解できると思います。

実際に、日本の戦後の復興は日本人の協力する意欲、コミュニケーションがとりやすい環境、目的を共有しやすい性格などから、世界を驚愕させるほどのスピードで達成しましたが、それは日本人の高い貢献意欲とか単民族国家故のコミュニケーションによものだとされてきました。日本は島国という特徴からくる文化的背景や性格から、比較的3つの要素を満たすことが得意な人種だといわれていたのです。(ちなみに、日本人の特長を研究した著名な書籍に『甘えの構造』があります)。


では、それらの3つをがっちりと高いレベルで維持することができれば、本当に組織だって正しい行動がとれるのでしょうか?または、目的や目標に到達することができるのでしょうか?

実は、そう簡単にはいかないのが組織論のむずかしいところなのです。
官僚制組織は高度に機能的で効率的な組織であるの反面、画一的な考え方や組織内の空気による意思決定など、逆機能が働いてしまうこともあります。
それを研究したのが、『失敗の本質』という本です。旧日本軍の組織内のコミュニケーションや意思決定の仕方が官僚制の失敗を招いた背景を追究した、組織論研究の最高傑作です。
急激な環境の変化には、このような階層が深い組織では対応できず、合理的な判断よりも義理人情を重視した意思決定を行ってしまうことがあるのです。組織の3要素を強化しすぎたため、組織が硬直化してしまいイノベーションを興すことができず(またはイノベーションを興したにもかかわらず、自ら放棄してて)、環境の変化に追いついていけなくなってしまったのです。


これは軍事組織に限らず、大企業にも同じことが言えます。いわゆる大企業病ですね。イノベーションがおきにくくなってしまった企業には、すくなからず旧日本軍とおなじような組織の硬直化が見られるはずです。
また、マックスウェバーにれば、官僚制組織は組織としてほぼ完璧な形だといわれていますが、その一方で細分化されたことによって、規則を過大視することや権威主義的な態度、責任回避なども問題があります。それを研究したのが、マートンの「官僚制の逆機能」です。

規則万能(例:規則に無いから出来ないという杓子定規な対応)
責任回避・自己保身(事なかれ主義)
秘密主義
前例主義による保守的傾向
画一的傾向
権威主義的傾向(例:役所窓口などでの冷淡で横柄な対応)
繁文縟礼(はんぶんじょくれい)(例:膨大な処理済文書の保管を専門とする部署が存在すること)
セクショナリズム(例:縦割り行政、専門外・管轄外の業務を避けようとするなどの閉鎖的傾向)

wikipediaより

日本経済がバブル経済がはじけたことによる不況から抜け出すまで20年以上の時間がかかったのも、行政や巨大組織におけるこのような組織のあり方や意思決定の問題に起因していたことは多いはずです。

このように、組織のありかたや理論は、いまでも様々な課題も多く、したがってこれが正しいというものはないようです。ただ、これまでの研究結果からいえることは、環境変化の程度や目的や定型業務の比重などによって、組織のあり方は柔軟でなければならないということくらいではないでしょうか。

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